Excelで作成した表や書類を印刷しようとすると、パソコンによってページレイアウトがずれてしまう問題に直面することがあります。
自分のパソコンでは完璧に1ページに収まっていた表が、同僚のパソコンで開くと2ページに分割されてしまったり、印刷範囲が微妙にずれて中途半端な位置で切れてしまうという現象です。
特に請求書や見積書、納品書など、決まった用紙サイズに合わせて作成した帳票類でこの問題が発生すると、印刷位置がずれて使い物にならなくなってしまいます。同じExcelファイルを開いているはずなのに、なぜパソコンによって印刷レイアウトが変わってしまうのでしょうか。
この問題の主な原因は、Windowsのディスプレイ設定における「拡大縮小」の設定値がパソコンごとに異なることです。
デスクトップパソコンとノートパソコン、画面サイズの違い、解像度の違いなどにより、ディスプレイ設定が100%、125%、150%と異なる値になっていることが多く、この設定の違いがExcelのページレイアウトに影響を与えてしまいます。
本記事では、パソコンによってExcelのページレイアウトがずれる原因を詳しく解説し、ディスプレイ設定の確認方法と変更方法、Excelの拡大縮小設定の調整方法、改ページプレビューを使った対処法など、複数の解決策を紹介します。
複数のパソコンで同じExcelファイルを扱う環境で働いている方は、ぜひ最後までお読みください。
ポイントは
・Windowsのディスプレイ設定の拡大縮小率の違いが原因
・ディスプレイ設定を100%に統一すると改善される
・Excel側の拡大縮小設定や改ページプレビューでも調整可能
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
ページレイアウトがずれる主な原因
まずはパソコンによってページレイアウトがずれてしまう原因について理解しておきましょう。
Windowsのディスプレイ設定の影響
Excelのページレイアウトがパソコンによってずれる最大の原因は、Windowsのディスプレイ設定における「拡大縮小とレイアウト」の設定値の違いです。
Windowsでは、画面上の文字やアイコンの見やすさを調整するために、表示倍率を変更できる機能があります。デスクトップの何もないところで右クリックし、「ディスプレイ設定」を開くと、「拡大縮小とレイアウト」という項目で「テキスト、アプリ、その他の項目のサイズを変更する」という設定が表示されます。
この設定は通常、画面サイズや解像度に応じて推奨値が自動的に設定されます。大型のデスクトップモニターでは100%が推奨されることが多く、ノートパソコンの小さい画面では125%や150%が推奨されます。23.8型のデスクトップモニターでは100%、15.6型のノートパソコンでは125%というように、画面サイズによって異なる値が設定されているのが一般的です。
100%の環境で1ページに収まるように作成した表が、125%の環境では拡大表示されるため、印刷範囲からはみ出してしまうのです。
Excelの拡大縮小設定との関係
Windowsのディスプレイ設定がExcelに影響を与えるもう一つの理由は、Excel自体の「拡大/縮小」設定が環境によって自動調整されてしまうことです。
Excelのページレイアウトタブには「拡大/縮小」という設定があり、通常は100%に設定されています。しかし、ディスプレイ設定が異なる環境でファイルを開くと、この値が自動的に96%や104%などに変更されることがあります。
例えば、ディスプレイ設定100%の環境でExcelの拡大/縮小も100%で作成したファイルを、ディスプレイ設定125%の環境で開くと、Excelの拡大/縮小が自動的に96%などに調整され、印刷範囲が変わってしまうのです。
このため、同じファイルなのに印刷プレビューで見ると改ページの位置が異なり、1ページに収まるはずの表が2ページに分割されてしまいます。
| 環境 | ディスプレイ設定 | Excelの拡大/縮小 | 印刷結果 |
|---|---|---|---|
| デスクトップPC（23.8型） | 100% | 100% | 1ページに収まる |
| ノートPC（15.6型） | 125% | 96%（自動変更） | 2ページに分割される |
| 高解像度ノートPC | 150% | 92%（自動変更） | 2ページに分割される |
プリンタードライバーの違い
ディスプレイ設定以外にも、使用しているプリンターの種類やドライバーの違いが影響することがあります。
異なるメーカーのプリンターや、同じメーカーでも機種が違うと、余白の取り方や印刷可能領域が微妙に異なる場合があります。特に、通常使うプリンターとして設定されているプリンターが異なると、Excelはそのプリンターの仕様に合わせてページレイアウトを調整しようとするため、印刷範囲がずれることがあります。
Windowsのディスプレイ設定を確認・変更する方法
ページレイアウトのずれを解決するには、まずWindowsのディスプレイ設定を確認し、必要に応じて変更します。
ディスプレイ設定の確認手順
現在のディスプレイ設定を確認するには、デスクトップ画面の何もないところで右クリックし、「ディスプレイ設定」を選択します。
あるいは、Windowsキーを押して「設定」を開き、「システム」→「ディスプレイ」の順に進むこともできます。ディスプレイ設定の画面が開いたら、「拡大縮小とレイアウト」という項目を探してください。
「テキスト、アプリ、その他の項目のサイズを変更する」という設定の下に、現在の設定値が表示されています。「100%」「125%（推奨）」「150%」などと表示されており、推奨値には「（推奨）」という文字が付いています。この値が他のパソコンと異なる場合、Excelのページレイアウトがずれる原因となります。
ディスプレイ設定を100%に変更する方法
複数のパソコンでExcelファイルを共有している場合、すべてのパソコンのディスプレイ設定を100%に統一すると、ページレイアウトのずれが解消されます。
ディスプレイ設定の画面で、「テキスト、アプリ、その他の項目のサイズを変更する」のドロップダウンメニューをクリックし、「100%」を選択してください。設定を変更すると、すぐに画面全体の表示サイズが変わります。文字やアイコンが小さくなるため、最初は見づらく感じるかもしれません。
設定変更後、一度サインアウトするか、パソコンを再起動すると、設定が完全に反映されます。再起動後、Excelファイルを開いて印刷プレビューを確認すると、他のパソコンと同じページレイアウトになっているはずです。
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | デスクトップを右クリック→「ディスプレイ設定」 |
| 2 | 「拡大縮小とレイアウト」の項目を確認 |
| 3 | ドロップダウンメニューから「100%」を選択 |
| 4 | パソコンを再起動して設定を反映 |
| 5 | Excel作業後、必要に応じて推奨値に戻す |
Excel側の設定で対処する方法
Windowsのディスプレイ設定を変更せずに、Excel側の設定で対処する方法もあります。
拡大縮小設定を調整する方法
Excelの「ページレイアウト」タブには、印刷時の拡大縮小を調整する機能があります。
ページレイアウトタブの「拡大/縮小」グループにある数値を確認してください。この値が100%以外になっている場合、印刷サイズが変わっている可能性があります。値を直接クリックして100%に変更するか、上下の矢印ボタンで調整できます。
また、「次のページ数に合わせて印刷」という機能を使うと、表のサイズに関わらず指定したページ数に自動的に収めることができます。「ページレイアウト」タブの「ページ設定」グループ右下の小さな矢印をクリックすると、「ページ設定」ダイアログボックスが開きます。「ページ」タブの「拡大縮小印刷」セクションで、「次のページ数に合わせて印刷」を選び、「横1×縦1」と設定すれば、内容が自動的に縮小されて1ページに収まります。
| 設定項目 | 効果 | 使用場面 |
|---|---|---|
| 拡大/縮小 100% | 原寸サイズで印刷 | 基本設定として使用 |
| 次のページ数に合わせて印刷（横1×縦1） | 1ページに自動縮小 | 確実に1ページに収めたい場合 |
| 拡大/縮小 手動調整（90%など） | 指定した倍率で印刷 | 微調整が必要な場合 |
改ページプレビューで印刷範囲を調整
改ページプレビュー機能を使うと、視覚的に印刷範囲を確認しながら調整できます。
「表示」タブの「改ページプレビュー」をクリックするか、画面右下のステータスバーにある改ページプレビューアイコンをクリックすると、画面が改ページプレビューモードに切り替わります。このモードでは、印刷範囲が青い太線で、改ページ位置が青い点線で表示されます。
青い点線にカーソルを合わせると、カーソルが上下または左右の矢印に変わります。この状態でドラッグすると、改ページの位置を自由に移動できます。表が途中で切れている場合は、点線を右や下に移動させて、すべての内容が1ページに収まるように調整しましょう。調整後は、標準表示に戻して印刷プレビューで確認してください。
印刷範囲を明示的に設定する方法
印刷したい範囲を明確に指定することで、他のパソコンでもずれにくくなります。
印刷したいセル範囲を選択し、「ページレイアウト」タブの「印刷範囲」→「印刷範囲の設定」をクリックします。これにより、選択した範囲だけが印刷対象となり、余計な部分が印刷されることを防げます。
印刷範囲を設定すると、改ページプレビューで青い太線が表示され、その範囲内だけが印刷されます。設定を解除したい場合は、「印刷範囲」→「印刷範囲のクリア」をクリックしてください。
余白とページ中央配置の調整
印刷範囲の調整に加えて、余白の設定も重要なポイントです。
余白設定の確認と変更
余白が大きすぎると、印刷できる範囲が狭くなり、表が複数ページに分割される原因になります。
「ページレイアウト」タブの「ページ設定」グループ右下の矢印をクリックし、「ページ設定」ダイアログボックスを開きます。「余白」タブで、上下左右の余白を確認してください。デフォルトでは上下に2.54cm、左右に1.78cm程度の余白が設定されています。
余白を狭くすると、より多くの内容を1ページに収められます。「狭い」プリセットを選択すると、上下左右とも1.27cm程度に設定されます。ただし、余白を極端に小さくすると、プリンターによっては印刷できない領域にかかってしまう可能性があるため、注意が必要です。
ページ中央に配置する設定
表を用紙の中央に配置したい場合は、「余白」タブの「ページ中央」オプションを使用します。
「ページ設定」ダイアログボックスの「余白」タブで、下部にある「ページ中央」セクションを確認してください。「水平」にチェックを入れると左右中央に、「垂直」にチェックを入れると上下中央に配置されます。両方にチェックを入れると、用紙の真ん中に表が配置されます。
ただし、「次のページ数に合わせて印刷」を使用している場合、このページ中央の設定が正しく機能しないことがあります。その場合は、拡大縮小設定を「拡大/縮小100%」に戻してから、ページ中央の設定を行ってください。
Excelのページレイアウトがパソコンによってずれる問題は、複数の要因が絡み合っていることが多いため、一つの方法だけでは解決しないこともあります。
まずはWindowsのディスプレイ設定を確認し、可能であれば100%に統一することが最も確実な解決方法です。ディスプレイ設定の変更が難しい場合は、Excel側の「次のページ数に合わせて印刷」機能を使って強制的に1ページに収める方法が有効です。
また、改ページプレビューを定期的に確認する習慣をつけることで、印刷前にずれを発見できます。複数人で同じファイルを扱う場合は、ファイルを保存する際に改ページプレビューで最終確認を行い、すべてのパソコンで同じように表示されるかテストすることをおすすめします。
まとめ エクセルでページレイアウトがずれる（改ページプレビュー）対処法
エクセルでページレイアウトがずれる場合の対処法をまとめると
・原因はWindowsのディスプレイ設定の「拡大縮小とレイアウト」の値がパソコンごとに異なること、デスクトップは100%、ノートPCは125%や150%が推奨されることが多い、この違いがExcelの印刷範囲に影響する
・Windowsの対処法はデスクトップ右クリック→「ディスプレイ設定」→「拡大縮小とレイアウト」を100%に変更、Excel作業後は推奨値に戻してもOK、すべてのPCで100%に統一すると確実
・Excelの対処法は「ページレイアウト」タブで「次のページ数に合わせて印刷」を横1×縦1に設定、改ページプレビューで青い点線をドラッグして調整、印刷範囲を明示的に設定する
・その他の対処法として余白を「狭い」に設定して印刷範囲を広げる、「ページ中央」で水平・垂直にチェックを入れて中央配置、印刷プレビューで必ず最終確認を行う
これらの対処法を組み合わせることで、パソコンが変わってもページレイアウトがずれにくい設定を実現できます。
最も重要なのは、ディスプレイ設定の違いがExcelに影響を与えることを理解し、環境に応じた適切な設定を行うことです。
特に請求書や見積書などの帳票類を扱う場合は、印刷前に必ず印刷プレビューで確認する習慣をつけましょう。
複数のパソコンで同じファイルを共有する環境では、ディスプレイ設定を統一するか、Excel側で「次のページ数に合わせて印刷」を設定しておくことで、トラブルを未然に防げます。
Excelのページレイアウト設定を適切に管理して、どのパソコンでも正しく印刷できる環境を整えていきましょう！
