torrとmmhgの単位変換・換算方法・違いは?1mmhgは何torr?1torrは何mmhg?例題付の計算方法
理科や化学・物理の学習、あるいは医療・産業の現場で「torr(トル)」と「mmHg(ミリメートル水銀柱)」という単位を目にしたことはないでしょうか。
この2つの単位は、どちらも圧力を表す単位として広く使われています。
しかし、両者の関係や変換方法が分からず、戸惑った経験を持つ方も少なくないはずです。
本記事では、torrとmmHgの定義・違い・変換方法をわかりやすく解説し、例題を交えた計算方法まで丁寧にご紹介します。
圧力単位の理解を深めたい方、単位換算をスムーズに行いたい方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、圧力の単位には他にもPa(パスカル)・atm(気圧)・bar(バール)など様々な種類があります。
これらとの換算についても本記事で触れていますので、幅広く圧力単位を学びたい方にも参考になる内容でしょう。
torrとmmHgはほぼ同じ単位!結論からわかる両者の関係
それではまず、torrとmmHgの基本的な関係について解説していきます。
結論から言えば、1 torr = 1 mmHg(厳密には近似的に等しい)という関係が成り立ちます。
日常的な計算や換算の場面では、両者を「同じ値」として扱って問題ありません。
1 torr ≒ 1 mmHg
1 mmHg ≒ 1 torr
(厳密には 1 torr = 0.999999857 mmHg ですが、実用上はほぼ等しいとみなします)
この「ほぼ等しい」という関係が生まれた背景には、それぞれの単位の定義の違いがあります。

torrの定義とその由来
torrという単位は、イタリアの物理学者エヴァンジェリスタ・トリチェリ(Evangelista Torricelli)の名前に由来しています。
トリチェリは17世紀に大気圧の測定に成功した人物であり、その業績をたたえてtorrという単位が命名されました。
彼が行ったトリチェリの実験では、水銀を使ったガラス管を逆さにすることで大気圧を測定し、水銀柱の高さが約760 mmになることを発見しています。
torrは1954年の国際度量衡総会(CGPM)で定義された単位で、標準大気圧(atm)の1/760という形で定義されています。
つまり、1 torr = (1/760) atm という関係が成立します。
標準大気圧は101325 Paと定義されているため、以下のように計算できます。
mmHgの定義とその由来
mmHgは「ミリメートル水銀柱(millimeter of mercury)」の略で、水銀柱の高さで圧力を表す単位です。
0℃における水銀の密度と標準重力加速度を基準に定義されており、1 mmHgは0℃・標準重力加速度下で高さ1 mmの水銀柱が示す圧力に相当します。
水銀(汞)の元素記号がHgであることから、mmHgという表記が使われています。
この単位は医療分野での血圧測定や、気象分野での気圧表示など、実用的な場面で古くから使われてきました。
なぜわずかな差があるのか
torrとmmHgがほぼ等しいのに「完全に同じではない」理由は、それぞれの定義の根拠が異なるためです。
torrは標準大気圧を760で割った値として定義されているのに対し、mmHgは物理的な水銀柱の高さを基準としています。
また、mmHgの定義では水銀の密度として0℃における値(13,595.1 kg/m³)と、標準重力加速度(9.80665 m/s²)が使われています。
この定義の微妙な違いにより、1 torr = 0.999999857 mmHgという極めてわずかな差が生じています。
日常の計算では無視できるレベルの差ですが、精密科学の分野では区別して扱うこともあるため、覚えておくとよいでしょう。
torr・mmHg・Paの変換早見表と計算の基本
続いては、torr・mmHgと他の圧力単位との変換方法を確認していきます。
圧力の単位にはtorrやmmHgのほかにも、Pa(パスカル)・kPa(キロパスカル)・atm(気圧)・bar(バール)など多くの種類があります。
それぞれの関係を一覧表で確認しておきましょう。
| 変換元 | 変換先 | 換算値 |
|---|---|---|
| 1 torr | mmHg | ≒ 1 mmHg |
| 1 torr | Pa | ≒ 133.322 Pa |
| 1 torr | kPa | ≒ 0.133322 kPa |
| 1 torr | atm | = 1/760 atm |
| 1 torr | bar | ≒ 0.00133322 bar |
| 1 mmHg | torr | ≒ 1 torr |
| 1 mmHg | Pa | ≒ 133.322 Pa |
| 760 torr | atm | = 1 atm |
| 760 mmHg | atm | ≒ 1 atm |
torr→mmHgへの変換方法
torrからmmHgへの変換は、実用上は1対1の関係で換算できます。
精密な計算が必要な場合は、以下の変換係数を使用してください。
mmHg = torr × 0.999999857
例:100 torr → 100 × 0.999999857 ≒ 100.000 mmHg
日常の計算であれば「1 torr = 1 mmHg」として扱っても、ほぼ誤差は生じません。
実際の変換では、まず元の値(torr)をそのままmmHgとして読み替えるだけで十分な場面がほとんどです。
mmHg→torrへの変換方法
mmHgからtorrへの変換も同様に、1対1の関係で換算するのが基本です。
torr = mmHg × 1.000000143
例:200 mmHg → 200 × 1.000000143 ≒ 200.000 torr
この変換係数も1に非常に近い値なので、通常の計算では「1 mmHg = 1 torr」として処理して問題ないでしょう。
医療のデータを物理化学の研究に転用する際なども、この変換を意識するだけでスムーズに計算が進みます。
Paとの相互変換の考え方
国際単位系(SI)における圧力の基本単位はPa(パスカル)です。
Paはフランスの数学者・物理学者ブレーズ・パスカルにちなんで命名された単位で、1 Pa = 1 N/m²(1平方メートルあたり1ニュートンの力)と定義されています。
実験や論文でPaへの換算が必要になる場面も多いため、以下の関係式を覚えておくと便利です。
1 torr = 133.322 Pa
1 Pa = 1/133.322 torr ≒ 0.007501 torr
1 mmHg = 133.322 Pa
1 Pa ≒ 0.007501 mmHg
例題で学ぶtorrとmmHgの計算方法
続いては、実際の例題を通じてtorrとmmHgの変換計算を確認していきます。
具体的な数値を使いながら計算手順を追うことで、変換方法の理解がぐっと深まるはずです。
例題①:760 torrは何mmHg?
760 torrをmmHgに変換してみましょう。
計算:760 torr × 1 = 760 mmHg(実用計算)
精密計算:760 × 0.999999857 ≒ 759.9999 mmHg
答え:760 mmHg(≒ 760 mmHg)
760 torrは標準大気圧(1 atm)に相当する値として知られているため、760 torr ≒ 760 mmHg ≒ 1 atmという関係は特に重要です。
この数値は化学の教科書でも頻繁に登場し、気体の状態変化や蒸気圧の計算における基準点として用いられます。
気圧の基準値として頻繁に登場する数値なので、ぜひ押さえておきましょう。
例題②:120 mmHgは何torr?血圧での活用例
医療現場では血圧の値をmmHgで表しますが、研究分野ではtorrが使われることもあります。
計算:120 mmHg × 1 = 120 torr(実用計算)
精密計算:120 × 1.000000143 ≒ 120.000 torr
答え:120 torr(≒ 120 torr)
収縮期血圧が120 mmHgの場合、torrに換算してもほぼ120 torrとなります。
医療と研究をまたいで作業する場面でも、この1対1の関係を知っていれば迷わず換算できるでしょう。
例題③:500 torrをPaに変換する計算
torrをPaへ変換する計算も確認しておきましょう。
計算:500 × 133.322 = 66,661 Pa
答え:約 66,661 Pa(≒ 66.661 kPa)
500 torrは標準大気圧(101,325 Pa)の約65.8%に相当する値です。
高山や低気圧の環境条件を扱う場面で、こうした換算が役立ちます。
例えば、富士山頂(標高約3,776 m)の気圧は約470 torr(約62,600 Pa)程度とされており、登山や航空医学の分野でも圧力の換算知識は欠かせません。
torrとmmHgが使われる分野と注意点
続いては、torrとmmHgがそれぞれどのような分野で使われているか、また使い分ける際の注意点を確認していきます。
単位の成り立ちや定義を知るだけでなく、実際の使用場面を理解することで、より実践的な知識が身につきます。
医療・血圧測定でのmmHgの使われ方
医療分野では、血圧・眼圧・髄液圧などの測定にmmHgが広く使用されています。
成人の正常血圧は収縮期が120 mmHg未満・拡張期が80 mmHg未満とされており、この表記はmmHgが標準となっています。
| 測定項目 | 正常値の目安(mmHg) | 備考 |
|---|---|---|
| 収縮期血圧 | 120 mmHg 未満 | 成人の正常範囲 |
| 拡張期血圧 | 80 mmHg 未満 | 成人の正常範囲 |
| 眼圧 | 10〜21 mmHg | 正常眼圧の範囲 |
医療機器や電子カルテでは現在もmmHgが主流の表記であり、国際的にも広く認知された単位です。
日本では高血圧の基準として収縮期血圧が140 mmHg以上または拡張期血圧が90 mmHg以上とされており、この数値を知っておくことは健康管理の面でも重要でしょう。
物理・化学実験でのtorrの使われ方
物理化学や真空技術の分野では、低圧・真空状態の表現にtorrが好んで使われます。
例えば、真空ポンプの到達真空度や蒸留装置の減圧度などを表す際に、torrは非常に使い勝手のよい単位です。
標準大気圧が760 torrという整数で表せることも、計算のしやすさという面で支持される理由のひとつでしょう。
また、気体の状態方程式や蒸気圧の計算においても、torrを用いた表記が教科書に頻繁に登場します。
真空技術においては、10⁻³ torr程度の低真空から10⁻⁹ torr以下の超高真空まで、torrを使った表現が世界的に広く使われています。
この単位の使いやすさは、特に真空工学・薄膜技術・半導体製造などのハイテク産業でも高く評価されています。
単位変換での注意点とよくある間違い
torrとmmHgの変換でよく見られる間違いとして、「完全に同じ単位」と思い込んで精密計算に誤差を生じさせてしまうケースがあります。
実用計算では問題ありませんが、精密な実験データや学術論文での引用においては、以下の点に注意が必要です。
・実用計算:1 torr = 1 mmHg として扱ってよい
・精密計算:1 torr = 0.999999857 mmHg を使用する
・学術論文:使用単位を明記し、換算式も記載することが望ましい
・SI単位系では Pa が基本単位なので、必要に応じてPaへ換算する
また、torrとmbar(ミリバール)を混同するケースも見られます。
1 mbar = 100 Pa に対し、1 torr ≒ 133.322 Paですので、この2つは異なる単位です。
さらに、hPa(ヘクトパスカル)との混同にも注意が必要で、1 hPa = 100 Pa = 1 mbar という関係があります。
表記が似ている単位との混同に注意しながら、正確な換算を心がけてください。
まとめ
本記事では、torrとmmhgの単位変換・換算方法・違いは?1mmhgは何torr?1torrは何mmhg?例題付の計算方法について解説しました。
torrとmmHgはどちらも圧力を表す単位で、実用的には1 torr = 1 mmHg として扱って問題ない単位です。
厳密には1 torr = 0.999999857 mmHgというわずかな差がありますが、この差は日常の計算ではほぼ無視できる範囲に収まります。
torrはトリチェリの名前に由来し、標準大気圧の1/760と定義されているのに対し、mmHgは物理的な水銀柱の高さを基準とした単位です。
医療分野ではmmHgが、物理化学や真空技術ではtorrが多く使われており、それぞれの分野の慣習を理解した上で使い分けることが大切でしょう。
また、国際単位系であるSIではPa(パスカル)が圧力の基本単位となっており、1 torr ≒ 133.322 Pa という換算関係も覚えておくと、さまざまな計算場面で役立ちます。
例題を通じて確認したように、760 torr = 1 atm という関係は特に重要で、気圧や蒸気圧の計算でも頻繁に登場する基準値です。
単位変換は一見複雑に見えても、基本的な換算係数をしっかり押さえれば、迷わず計算できるようになります。
本記事がtorrとmmHgの理解を深めるお役に立てれば幸いです。