エクセルで勤務時間や作業時間を合計したとき、「26:30」と表示されるはずが「2:30」になってしまった経験はないでしょうか。これはエクセルの時刻の仕様によって起こる現象で、初めて遭遇すると戸惑う方も多いはずです。
原因は表示形式の設定にあり、ユーザー定義の表示形式を変更するだけで、24時間以上の時間も正しく表示できるようになります。難しい関数は不要で、セルの書式設定を少し変えるだけの簡単な操作です。
この記事では、エクセルで24時間以上を表示する方法を基本からわかりやすく解説します。あわせて、時刻の引き算・加算といった時刻計算の基本、さらにIF関数を使って「〇時間以上・以下」といった条件設定を行う応用的な使い方まで幅広く取り上げていきます。時間管理や勤怠集計にエクセルを活用している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
エクセルで24時間以上を表示する方法|表示形式の変更手順
それではまず、エクセルで24時間以上を正しく表示するための具体的な操作手順について解説していきます。
エクセルの標準の時刻表示形式「h:mm」のままでは、24時間を超えた部分が切り捨てられて表示されます。これはエクセルの時刻が「0〜23時」で循環する仕組みになっているためです。
この問題を解決するには、「h」を「[h]」と角括弧で囲んだユーザー定義の表示形式を設定する必要があります。この設定により、時間が24を超えても正確にカウントされ続けるようになります。
セルの書式設定を開く
まず、24時間以上を表示させたいセルを選択します。次に右クリックメニューから「セルの書式設定」を選択しましょう。キーボードショートカット「Ctrl+1」でも同じダイアログを開けるので、素早く操作したい方はこちらが便利です。
「セルの書式設定」ダイアログが表示されたら、上部の「表示形式」タブをクリックしてください。左側の「分類」一覧の中から「ユーザー定義」を選択します。
表示形式コードを入力する
「種類」の入力欄に、以下の表示形式コードを入力します。既存のコードは削除してから入力してください。
秒まで表示したい場合は以下を使用
[h]:mm:ss
入力が完了したら「OK」をクリックします。これだけで、26時間・48時間といった24時間超えの時間が正しく表示されるようになります。勤務時間の週次集計や月次集計など、時間が積み上がる場面で特に役立つ設定です。
SUM関数と組み合わせて合計時間を表示する
実際の業務では、複数のセルに入力した時間を合計するケースが多いでしょう。SUM関数で合計した結果のセルに対して、先ほどの表示形式を設定するだけで正しく表示されます。
=SUM(A1:A7)
この合計セルに [h]:mm の表示形式を設定する
→ 合計が24時間を超えても「50:30」のように正しく表示される
SUM関数の書き方は通常と変わりません。表示形式の設定だけで解決できるので、数式を複雑にせずに済む点が大きなメリットでしょう。
エクセルで時刻の計算をする方法|引き算・加算の基本と注意点
続いては、エクセルで時刻の計算を正しく行うための基本的な考え方と、よく起こるトラブルへの対処法を確認していきます。
エクセルでは時刻は「シリアル値」という数値として管理されています。1日(24時間)がシリアル値「1」に対応しており、1時間は「1÷24」、1分は「1÷1440」として内部的に扱われます。この仕組みを理解しておくと、時刻計算でつまずいたときの原因究明が速くなります。
時刻の引き算で経過時間を求める
退勤時刻から出勤時刻を引くことで、勤務時間などの経過時間を求められます。計算式はシンプルで、退勤時刻のセルから出勤時刻のセルを引くだけです。
=C1-B1
結果:「9:30」(9時間30分)と表示される
結果セルに時刻の表示形式が適用されていない場合、数値のシリアル値(0.395…など)が表示されることがあります。そのときは表示形式を「h:mm」に変更してください。列幅が狭い場合は「####」と表示されることもあるので、列幅の確認も忘れずに行いましょう。
TIME関数を使った時刻の加算
特定の時間数を加算したい場合は、TIME関数を使うのがおすすめです。TIME関数は「=TIME(時, 分, 秒)」という形式で、指定した時間をシリアル値に変換してくれます。
=A1 + TIME(2,30,0)
例)A1の時刻から45分を引きたい場合
=A1 – TIME(0,45,0)
TIME関数を使えば数値での直接指定が不要になり、直感的に時間の計算が行える点が魅力です。
深夜をまたぐ時刻計算への対処法
夜勤や深夜勤務など、日をまたぐ勤怠データを扱うときは注意が必要です。退勤時刻が翌日0時を超えると、そのまま引き算するとマイナスになり「####」と表示されてしまいます。
=MOD(退勤時刻 – 出勤時刻, 1)
MOD関数で「1」で割った余りを求めることで、マイナスになった結果を正しい経過時間として表示できます。たとえば出勤「22:00」・退勤「翌6:00」の場合も「8:00」と正しく表示されます。
日をまたぐ勤務が多い職場でエクセルを使っている場合は、ぜひ覚えておきたいテクニックでしょう。
IF関数で時刻以上・以下の条件設定をする方法
続いては、IF関数を活用して「〇時間以上」や「〇時間以下」といった時刻の条件判定を行う方法を確認していきます。
時刻の条件判定をIF関数で行う際は、比較する時刻をTIME関数でシリアル値に変換してから比較するのが基本です。文字列として「”8:00″」のように直接入力すると正しく比較されないケースがあるため、TIME関数を使った書き方を覚えておくと安心です。
IF関数で「〇時間以上」を判定する
たとえば、1日の勤務時間が8時間以上かどうかを判定して「残業あり」「残業なし」と表示したい場合は、以下のように記述します。
A1には計算済みの勤務時間(例:「9:30」)が入力されている想定
TIME(8,0,0)で「8時間0分0秒」をシリアル値に変換し、A1の値と比較しています。条件が成立すれば「残業あり」、成立しなければ「残業なし」と表示される仕組みです。
IF関数で時刻の範囲(以上かつ以下)を判定する
「〇時間以上かつ△時間以下」のような範囲条件を設定したい場合は、AND関数をIF関数と組み合わせます。
=IF(AND(A1>=TIME(6,0,0),A1<=TIME(8,0,0)),“通常勤務”,“確認要”)
AND関数の中に複数の条件を並べることで、範囲条件もスッキリと書けます。勤怠チェックや業務時間の自動判定など、実務でも使いやすい構成です。
COUNTIF・SUMIF関数での時刻条件の指定
IF関数だけでなく、COUNTIF関数やSUMIF関数で時刻を条件にすることもできます。ただし、これらの関数では条件の指定方法が少し異なります。
=COUNTIF(A1:A10,”>=”&TIME(8,0,0))
「”>=”」と TIME関数を「&」でつなぐのがポイント
時刻を扱うCOUNTIFやSUMIFでは、条件を文字列と数値の連結で指定する必要があります。TIME関数で生成したシリアル値と比較演算子を「&」でつなぐ書き方を覚えておきましょう。
以下に、時刻条件の指定方法をまとめた表を示します。
| 条件の種類 | 書き方の例 | 説明 |
|---|---|---|
| 〇時間以上 | “>=”&TIME(8,0,0) | 8時間以上のセルが対象 |
| 〇時間以下 | “<="&TIME(8,0,0) | 8時間以下のセルが対象 |
| 〇時間未満 | “<"&TIME(8,0,0) | 8時間より小さいセルが対象 |
| 〇時間より大きい | “>”&TIME(8,0,0) | 8時間を超えるセルが対象 |
時刻計算でよくあるトラブルと対処法
続いては、エクセルで24時間以上の時刻を扱う際によく起こるトラブルとその対処法を確認していきます。
時刻に関するエラーや表示の乱れは、ちょっとした設定ミスや書き方の誤解から生じることがほとんどです。よくあるケースを把握しておくことで、トラブルが発生したときにも落ち着いて対処できるようになるでしょう。
「####」が表示されるとき
セルに「####」と表示される場合、主に2つの原因が考えられます。1つは列幅が足りないケース、もう1つは計算結果がマイナスになっているケースです。
1. 列幅を広げてみる(列の境界線をドラッグして幅を拡大)
1. 計算結果がマイナスになっていないか数式を確認する
1. 深夜をまたぐ計算の場合はMOD関数を使う
列幅を広げると解決する場合は表示上の問題なので、内容には影響ありません。マイナス起因の場合は前述のMOD関数を使った対処を試してみてください。
時刻が数値で表示されるとき
時刻を入力したはずのセルが「0.375」のような小数で表示されることがあります。これはセルの表示形式が「数値」や「標準」になっているためです。
対処方法は、表示形式を「時刻」または「h:mm」などに変更するだけです。セルを選択してCtrl+1でセルの書式設定を開き、分類から「時刻」を選択するか、ユーザー定義で「h:mm」を入力してOKをクリックしましょう。
入力した時刻が自動変換されてしまうとき
「1:30」と入力したのに「1月30日」などに自動変換されてしまうケースもあります。これはエクセルが日付データとして認識してしまうためです。
このような場合は、あらかじめセルの表示形式を「時刻」に設定してから時刻を入力すると正しく認識されます。入力後に変換が起きてしまった場合は、一度セルの書式設定を「時刻」に変更してから再入力してみてください。
まとめ
この記事では、エクセルで24時間以上を表示する方法を中心に、時刻の計算方法やIF関数での条件設定まで幅広く解説してきました。
最大のポイントは、表示形式を「[h]:mm」に変更するだけで24時間以上の時刻が正しく表示できるという点です。難しい操作は一切なく、セルの書式設定から「ユーザー定義」を選んで入力するだけで解決します。
時刻の引き算・加算ではTIME関数やMOD関数を活用すると正確な計算が行えます。また、IF関数やCOUNTIF関数で時刻を条件に使いたい場合も、TIME関数を組み合わせることでスムーズに対応できます。
勤怠管理や作業時間の集計など、時間を扱う場面は業務の中でも多いでしょう。今回紹介した内容をぜひ実際のエクセル操作に活かしてみてください。