Excelでバーコードを作成したとき、正しく表示されず困った経験はありませんか。
せっかく設定したのにバーコードが真っ白になってしまう、画面上では表示されているのに印刷すると消えてしまう、別のパソコンでファイルを開いたらバーコードが表示されなくなった、このような状態では業務に支障が出てしまい、在庫管理や商品管理の効率が大きく低下してしまいます。
バーコードは商品管理、在庫管理、資産管理など様々な業務で活用される重要なツールです。ExcelでバーコードやQRコードを作成できれば、専用のソフトウェアを購入することなく、低コストで効率的な管理システムを構築できます。
しかし、バーコードが表示されない原因は多岐にわたります。バーコード用フォントがインストールされていない、データの形式が適切でない、Microsoft BarCode Controlの参照設定がされていない、印刷設定に問題があるなど、様々な要因が考えられます。
本記事では、Excelでバーコードが表示されない主な原因と、それぞれの状況に応じた解決方法を詳しく解説します。CODE39バーコードの作成方法、アスタリスクの必要性、フォントのインストール方法、印刷時のトラブル対処法など、実務ですぐに使える具体的なテクニックを紹介しますので、バーコード作成でお困りの方はぜひ最後までお読みください。
・CODE39はアスタリスクを前後に付ける必要がある
・データの桁数や文字種がバーコードの仕様に合っているか確認する
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
バーコード用フォントがインストールされていない場合
まずは、最も基本的な原因であるフォントの問題を確認していきます。
バーコードフォントの必要性と確認方法
Excelでバーコードを表示するには、専用のバーコードフォントがインストールされている必要があります。
バーコードフォントとは、通常の文字や数字を入力すると、それがバーコードの形状で表示される特殊なフォントです。例えば、CODE39用のフォントでは「3 of 9 Barcode」という名前のフォントがよく使用されます。
新しいパソコンに買い替えた際や、他の人が作成したExcelファイルを開いた際にバーコードが表示されない場合、多くはこのフォントがインストールされていないことが原因です。
フォントがインストールされているか確認するには、バーコードが表示されるはずのセルをクリックして、ホームタブのフォント名を確認します。「3 of 9 Barcode」や「Code 39」といったバーコード専用のフォント名が表示されていれば、そのフォントを使用している証拠です。
フォント一覧を開いて、該当するフォント名が存在するか確認することもできます。存在しない場合は、フォントのインストールが必要です。
バーコードセルをクリックして、ホームタブのフォント欄を確認します。
「3 of 9 Barcode」などのバーコード用フォント名が表示されているか確認してください。フォント一覧に存在しない場合は、インストールが必要です。
バーコードフォントのインストール方法
バーコードフォントがインストールされていない場合、古いパソコンからフォントをコピーするか、インターネットから無料のフォントをダウンロードしてインストールします。
既にバーコードが正しく表示されているパソコンがある場合は、そのパソコンの「C:\Windows\Fonts」フォルダを開き、該当するフォントファイル(.ttfまたは.otf)を見つけます。このファイルをUSBメモリなどにコピーして、新しいパソコンに移動します。
新しいパソコンでフォントをインストールするには、コピーしたフォントファイルを右クリックして「インストール」を選択するか、「C:\Windows\Fonts」フォルダに直接貼り付けます。管理者権限が必要な場合があるため、権限がない場合は管理者に依頼してください。
インターネットから無料のバーコードフォントをダウンロードする場合は、信頼できるサイトからダウンロードすることが重要です。CODE39用のフリーフォントは多数公開されていますが、商用利用が可能かどうかライセンスを確認してから使用してください。
| バーコードタイプ | 推奨フォント名 | 用途 |
|---|---|---|
| CODE39 | 3 of 9 Barcode | 一般的な英数字バーコード |
| CODE128 | Code 128 | 高密度の英数字バーコード |
| JAN/EAN | EAN13 | 商品用バーコード |
| NW-7 | NW-7 Barcode | 図書館や宅配便で使用 |
フォント使用時の注意点
バーコードフォントをインストールした後も、フォントの設定やセルの書式設定に注意が必要です。
バーコードフォントを適用するセルは、セルの書式設定で「文字列」に設定しておくことをおすすめします。数値形式のままだと、先頭のゼロが消えてしまったり、桁数の多い数値が自動的に指数表示になったりする可能性があります。
また、フォントサイズも重要です。バーコードが小さすぎるとバーコードリーダーで読み取れない場合があります。一般的には14ポイント以上のサイズが推奨されます。印刷してバーコードリーダーで読み取るテストを行い、適切なサイズを見つけてください。
セルの幅と高さも調整が必要です。バーコードが途中で切れてしまうと正しく表示されないため、セルの幅を十分に広げておく必要があります。
CODE39でアスタリスクが必要な理由と設定方法
続いては、CODE39バーコード特有の重要なルールを確認していきます。
スタートキャラクタとストップキャラクタの役割
CODE39バーコードでは、データの前後に必ずアスタリスク「*」を付ける必要があります。
この前後のアスタリスクは、それぞれ「スタートキャラクタ」「ストップキャラクタ」と呼ばれ、バーコードリーダーにデータの開始と終了を知らせる役割を果たします。この記号がないと、バーコードリーダーはデータを正しく読み取ることができません。
例えば、「12345」という数値をCODE39バーコードにする場合、セルには「*12345*」と入力する必要があります。前後のアスタリスクを付けずに「12345」だけを入力してバーコードフォントを適用しても、バーコードリーダーで読み取ることはできません。
画面上ではバーコードのような形状が表示されていても、アスタリスクがない場合は正しいバーコードではありません。印刷してバーコードリーダーでテストしてみると、読み取れないことがわかります。
セルに「*ABC123*」と入力してから、フォントを「3 of 9 Barcode」に変更します。
前後のアスタリスクは必須です。アスタリスクがないとバーコードリーダーで読み取れません。
| 入力データ | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| *12345* | 正しい | 前後にアスタリスクあり |
| 12345 | 誤り | スタート/ストップキャラクタなし |
| *ABCD* | 正しい | 英字も使用可能 |
| *AB-12* | 正しい | ハイフンなど一部記号も使用可能 |
数式でアスタリスクを自動追加する方法
毎回手動でアスタリスクを入力するのは手間がかかります。数式を使えば、元データに自動的にアスタリスクを追加できます。
例えば、A1セルに「12345」という元データがある場合、B1セルに「=”*”&A1&”*”」という数式を入力すると、「*12345*」という結果が得られます。このB1セルにバーコードフォントを適用すれば、バーコードが表示されます。
この方法を使えば、元データを変更するだけで自動的にバーコードも更新されるため、大量のバーコードを作成する場合に非常に便利です。A列に商品コードのリストがあれば、B列に数式をコピーするだけで一括でバーコードを生成できます。
数式を使用する場合の注意点として、数式のままではバーコードフォントが正しく表示されないことがあります。その場合は、数式をコピーして「値として貼り付け」を行い、数式を値に変換してからフォントを適用してください。
NW-7のスタート/ストップキャラクタについて
CODE39以外のバーコードタイプでも、スタート/ストップキャラクタが必要な場合があります。NW-7バーコードでは小文字のアルファベット(a-d)を使用します。
NW-7は図書館の貸出管理や宅配便の伝票などで使用されるバーコードです。このバーコードタイプでは、データの前後に小文字のa、b、c、dのいずれかを付ける必要があります。
例えば、「a1234567d」というように、前後に異なる文字を使用することが一般的です。一般的には大文字のA-Dも使用されますが、Excelの仕様では小文字のみが許可されているため注意が必要です。
大文字を使用するとバーコードが表示されない場合があるため、NW-7を使用する際は必ず小文字を使用してください。
バーコードのスタート/ストップキャラクタは、バーコードリーダーにとって非常に重要な情報です。
これらの記号がないと、リーダーはどこからどこまでがデータなのかを判断できません。
人間の目には単なる記号に見えますが、バーコードリーダーにとっては必須の情報です。
バーコードを作成する際は、使用するバーコードタイプの仕様を必ず確認し、必要なスタート/ストップキャラクタを正しく付けることが重要です。
間違った記号を使用したり、記号を省略したりすると、バーコードが読み取れないだけでなく、誤ったデータが読み取られる可能性もあります。
Microsoft BarCode Controlを使用する場合の設定
続いては、ActiveXコントロールを使用したバーコード作成方法を確認していきます。
Microsoft BarCode Controlの基本設定
Microsoft BarCode Controlを使用すれば、フォントを使わずにバーコードやQRコードを作成できます。
この機能を使用するには、まず開発タブを表示する必要があります。ファイルタブから「オプション」を開き、「リボンのユーザー設定」で「開発」にチェックを入れると、開発タブが表示されます。
開発タブの「挿入」から「コントロールの選択」を選び、「Microsoft BarCode Control 16.0」を選択します。シート上にドラッグしてバーコードオブジェクトを配置します。
配置したバーコードを右クリックして「プロパティ」を開くと、様々な設定ができます。「Style」でバーコードの種類(CODE39、JAN-13、QRコードなど)を選択できます。「LinkedCell」で参照するセルを指定すれば、そのセルの内容が自動的にバーコードとして表示されます。
デザインモードをオフにすると、設定したバーコードが実際に表示されます。開発タブの「デザインモード」ボタンをクリックしてオフにしてください。
| プロパティ | 設定内容 | 説明 |
|---|---|---|
| Style | バーコードの種類 | CODE39、JAN-13、QRコードなど |
| LinkedCell | 参照セル | バーコードに表示するデータのセル |
| Value | 直接入力 | バーコードのデータを直接指定 |
Microsoft BarCode Controlが表示されない場合
「コントロールの選択」一覧に「Microsoft BarCode Control」が表示されない場合があります。これは、Microsoft Accessがインストールされていないことが原因です。
Microsoft BarCode Controlは、本来Microsoft Accessの機能の一部です。Accessがインストールされていないパソコンでは、この機能を使用できません。
ただし、Accessを購入しなくても、「Microsoft Access Runtime」という無料のソフトウェアをインストールすることで、BarCode Control機能を使用できるようになります。Runtimeは、Accessの開発機能は使えませんが、運用機能は利用できる無料版です。
MicrosoftのWebサイトから、使用しているOfficeのバージョンに対応したAccess Runtimeをダウンロードしてインストールしてください。Office 2016を使用している場合は「Microsoft Access 2016 Runtime」、Microsoft 365を使用している場合は「Microsoft 365 Access Runtime」をインストールします。
インストール後、Excelを再起動すると、コントロールの選択一覧に「Microsoft BarCode Control」が表示されるようになります。
バーコードが白くなる・透明になる場合の対処法
Microsoft BarCode Controlでバーコードを配置したのに、白い四角や透明な枠だけが表示され、バーコード自体が見えない場合があります。
この最も一般的な原因は、バーコードの種類とデータの整合性が取れていないことです。例えば、JAN-13を選択しているのに8桁のデータを入力している、QRコードに日本語を入力しているなどの場合に、バーコードが表示されません。
JAN-13は13桁の数値のみ、JAN-8は8桁の数値のみを受け付けます。それ以外の桁数やデータを入力すると、バーコードは表示されません。
QRコードの場合、Microsoft BarCode Controlは英数字のみに対応しており、日本語(ひらがな、カタカナ、漢字)などの2バイト文字を入力すると透明になってしまいます。これはExcelの仕様上の制限です。
日本語のQRコードを作成したい場合は、別の方法(オンラインQRコード生成サービスやWordの機能など)を使用する必要があります。
Microsoft BarCode Controlは便利な機能ですが、いくつかの制限があることを理解しておく必要があります。
特に、QRコードで日本語が使えないという制限は、日本国内での使用において大きな制約となります。
また、バーコードの種類ごとに使用できる文字種や桁数が厳密に決まっているため、データを入力する前に仕様を確認することが重要です。
仕様に合わないデータを入力すると、エラーメッセージが表示されるのではなく、単にバーコードが表示されないため、原因の特定が難しい場合があります。
バーコードが表示されない場合は、まずデータの形式が正しいかを確認してください。
印刷時にバーコードが消える場合の対処法
続いては、画面上では表示されているのに印刷すると消える問題を確認していきます。
プリンタードライバーの問題
画面上ではバーコードが正しく表示されているのに、印刷すると消えてしまう場合は、プリンタードライバーに問題がある可能性があります。
古いプリンタードライバーを使用している場合、特殊なフォントやActiveXコントロールが正しく印刷されないことがあります。プリンターメーカーのWebサイトから最新のドライバーをダウンロードしてインストールしてください。
また、プリンターの設定で「簡易印刷」がオンになっていると、バーコードなどの複雑なオブジェクトが印刷されない場合があります。ファイルタブから「印刷」を開き、「ページ設定」をクリックして「シート」タブを確認してください。
「簡易印刷」にチェックが入っている場合は、チェックを外してから印刷し直してください。簡易印刷は印刷速度を優先する設定で、一部の書式や画像が省略されることがあります。
バーコードオブジェクトの印刷設定
Microsoft BarCode Controlで作成したバーコードが印刷されない場合、オブジェクトの印刷設定を確認する必要があります。
バーコードオブジェクトを右クリックして「コントロールの書式設定」または「オブジェクトの書式設定」を開きます。「プロパティ」タブに「オブジェクトを印刷する」というチェックボックスがあります。
このチェックが外れていると、画面上では表示されていても印刷時には出力されません。チェックを入れてから印刷してください。
また、印刷プレビューで事前に確認することをおすすめします。印刷プレビューでバーコードが表示されていれば、実際の印刷でも出力されるはずです。プレビューで表示されない場合は、設定を再確認してください。
バーコードの解像度と印刷品質
バーコードが印刷されても、読み取れない場合は解像度や印刷品質に問題がある可能性があります。
バーコードリーダーで正しく読み取るには、十分な解像度で印刷する必要があります。プリンターの設定で「高品質」または「きれい」モードを選択してください。ドラフトモードや省インクモードでは、バーコードが薄くなりすぎて読み取れない場合があります。
また、バーコードのサイズも重要です。小さすぎるバーコードは印刷時に潰れてしまい、リーダーで読み取れません。実際に印刷してバーコードリーダーでテストし、読み取れるサイズを見つけてください。
印刷用紙も影響します。光沢のある用紙やコーティングされた用紙は、バーコードリーダーの光を反射してしまい、読み取りにくい場合があります。マットな普通紙を使用することをおすすめします。
まとめ エクセルでバーコードができない(CODE39・アスタリスク・参照設定・印刷・消える)
エクセルでバーコードが表示されない場合の対処法をまとめると次のようになります。
バーコードフォントを使用する場合は、まず該当するフォントがインストールされているか確認します。「3 of 9 Barcode」などのフォントがない場合は、古いパソコンからコピーするか、インターネットから無料フォントをダウンロードしてインストールします。
CODE39バーコードを作成する場合は、データの前後に必ずアスタリスク「*」を付ける必要があります。「*12345*」のように入力してからバーコードフォントを適用します。数式「=”*”&A1&”*”」を使えば自動的にアスタリスクを追加できます。
Microsoft BarCode Controlを使用する場合は、コントロールの選択一覧に表示されない時はMicrosoft Access Runtimeをインストールします。バーコードが白くなる場合は、バーコードの種類とデータの整合性を確認してください。JAN-13は13桁の数値のみ、QRコードは英数字のみ対応しています。
印刷時にバーコードが消える場合は、プリンタードライバーを最新版に更新し、「簡易印刷」のチェックを外します。オブジェクトの書式設定で「オブジェクトを印刷する」にチェックが入っているか確認してください。
バーコードの表示問題は、フォントのインストール、データ形式の確認、プリンター設定の見直しという3つのポイントを押さえることで、ほとんどの場合解決できます。
正しく設定されたバーコードを使って、効率的な業務管理システムを構築していきましょう!