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【Excel】エクセルでF2→エンターを一括実行する方法|数式・書式を一括確定するテクニック

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エクセルで作業をしていると、数式が正しく計算されない、参照エラーが発生している、外部データを貼り付けた後に書式が崩れているといった問題に遭遇することがあります。

こうした問題の多くは、各セルでF2キーを押して編集モードに入り、Enterで確定することで解決できます。しかし、数百、数千のセルに対して一つ一つこの操作を繰り返すのは現実的ではありません。

F2→Enter操作は、セルの内容を再評価させる効果があり、数式の再計算、参照の更新、書式の確定などに有効です。

Excelには、この操作を一括で実行する複数の方法が用意されています。

置換機能を使った方法、数式の再入力、VBAマクロによる自動化まで、状況に応じて最適な手法を選択できるのです。

本記事では、エクセルでF2→Enter操作を一括実行し、数式や書式を効率的に確定する実践的な方法を詳しく解説します。

数式エラーや書式の問題に困っている方は、ぜひ最後までお読みください。

ポイントは

・置換機能で実質的なF2→Enterを実現

・数式の再入力で一括再計算を実行

・VBAマクロで完全自動化を実現

です。

それでは詳しく見ていきましょう。

F2→Enter操作が必要になる場面と効果

それではまずF2→Enter操作が必要になる場面とその効果について解説していきます。

数式が自動計算されない問題

エクセルで最も多いトラブルの一つが、数式が入力されているのに計算結果が表示されないという現象です。

この問題は、セルの書式が「文字列」になっていることが主な原因です。

セルが文字列形式になっていると、数式が文字として認識され、計算が実行されません。セルの左上に緑色の三角マークが表示されることもあります。

この状態のセルでF2キーを押して編集モードに入り、何も変更せずにEnterを押すと、セルの書式が自動的に「標準」に変換され、数式が正しく計算されます。

他のアプリケーションからデータをコピーして貼り付けた場合や、CSVファイルをインポートした場合に、この問題が頻繁に発生します。

見た目は正常な数式のように見えても、実際には文字列として扱われているため、集計結果が狂ってしまうことがあるのです。

数百行のデータがある場合、一つ一つF2→Enterを実行するのは非効率です。後述する一括処理の方法を使えば、この問題を瞬時に解決できるでしょう。

外部リンクや参照エラーの更新

他のブックやシートを参照している数式で、参照元のデータが変更されても更新されない場合があります。

F2→Enter操作により、参照関係が再評価され、正しい値が表示されます。

特に外部ブックへのリンクが含まれている場合、リンク元のファイル名やパスが変更されると、#REF!エラーが表示されることがあります。

リンクを更新したり、参照先を修正したりした後、F2→Enterで確定することで、エラーが解消されるケースが多いです。

VLOOKUP関数やINDEX・MATCH関数など、他の範囲を参照する関数でも同様の問題が起こります。

参照範囲を変更した後、数式を含むセルでF2→Enterを実行すると、新しい参照先から正しく値を取得できるようになります。

また、名前の定義を使用している場合、定義範囲を変更した後にF2→Enterで数式を確定することで、変更が反映されます。

貼り付けたデータの書式確定

他のアプリケーションやWebページからデータをコピーして貼り付けた際、余計な書式や見えない文字が含まれることがあります。

F2→Enter操作により、これらの不要な要素がクリアされ、Excelの標準的な書式に確定されます。

例えば、Webページから数値をコピーすると、スペースや改行コードが含まれていることがあります。見た目は正常でも、計算に使えない状態です。

F2→Enterを実行すると、これらの不可視文字が除去され、純粋な数値として認識されるようになります。

日付データも同様です。他のシステムから取り込んだ日付が文字列として扱われている場合、F2→Enterで確定することで、Excelの日付形式に変換され、日付計算が可能になります。

PDFから抽出したデータや、古いバージョンのExcelファイルを新しいバージョンで開いた際にも、書式の互換性問題が発生することがあります。

F2→Enterによる確定操作で、これらの問題の多くが解決できるでしょう。

F2→Enter操作は、セルの内容を「再入力」する効果があります。

これにより、Excelはセルの内容を再評価し、適切な書式を適用し、数式を再計算します。

ただし、元のデータ自体に問題がある場合(数式の構文エラーなど)は、F2→Enterでは解決できないため、数式そのものを修正する必要があります。

置換機能を使ったF2→Enter一括実行

続いては置換機能を使ったF2→Enter一括実行の方法を確認していきます。

検索と置換による基本的な方法

最も簡単で確実な方法は、検索と置換機能を利用して、セルの内容を「自分自身に置換」する方法です。

この操作により、実質的にすべてのセルでF2→Enterが実行されたのと同じ効果が得られます。

具体的な手順を見ていきましょう。まず、F2→Enter操作を実行したい範囲を選択します。列全体や表全体を選択することも可能です。

次にCtrl + Hキーを押して、「検索と置換」ダイアログを開きます。

「検索する文字列」の欄に何も入力せず空白のままにします。「置換後の文字列」の欄も空白のままにします。

ここで重要なのが、「オプション」ボタンをクリックして詳細オプションを表示させることです。

「検索場所」を「数式」に変更します。これにより、セルに表示されている値ではなく、数式そのものを対象に置換が実行されます。

「完全に同一なセルだけを検索する」にチェックを入れます。このチェックを入れることで、セルの内容全体が対象になります。

最後に「すべて置換」をクリックします。すると、「○○個の項目を置換しました」というメッセージが表示され、選択範囲内のすべてのセルが再評価されます。

この方法は、数式が文字列として認識されている問題を解決するのに特に効果的です。置換処理の過程で、各セルの内容が再入力されたのと同じ状態になり、書式も適切に設定されます。

特定の文字を使った置換テクニック

別のアプローチとして、特定の文字を一時的に置換してから元に戻す方法もあります。

この方法は、数式の先頭に「=」がある場合に効果的です。

まず対象範囲を選択し、Ctrl + Hで「検索と置換」を開きます。「検索する文字列」に「=」を入力し、「置換後の文字列」に「#=#」など、データ内に絶対に存在しない文字列を入力します。

「すべて置換」をクリックすると、すべての数式の先頭の「=」が「#=#」に置き換わり、数式が一時的に文字列になります。

次に、もう一度Ctrl + Hを押して、今度は逆の置換を行います。「検索する文字列」に「#=#」、「置換後の文字列」に「=」を入力して「すべて置換」を実行します。

これにより、数式が元に戻るのですが、この過程でセルの内容が再評価され、F2→Enterと同じ効果が得られます。

この方法は、特に数式が多数含まれる範囲で有効です。通常の空白での置換よりも、明示的に数式を対象にできるため、確実性が高いでしょう。

数値データに対する置換処理

数値が文字列として認識されている場合、算術演算を使った置換も効果的です。

この方法は、数式ではなく単純な数値データを正しい数値形式に変換したい場合に便利です。

まず、空白セルに「1」を入力してコピーします。次に、数値として認識させたいセル範囲を選択します。

右クリックして「形式を選択して貼り付け」を開き、「演算」で「乗算」を選択してOKをクリックします。

これにより、すべてのセルの値が1倍され、計算の過程で文字列が数値に変換されます。見た目の値は変わりませんが、内部的には数値として認識されるようになります。

別の方法として、「0」を加算する方法もあります。空白セルに「0」を入力してコピーし、対象範囲を選択して「形式を選択して貼り付け」から「加算」を選択します。

0を足しても値は変わりませんが、計算処理の過程で文字列が数値に変換されます。

これらの方法は、CSVファイルをインポートした際や、他のシステムからエクスポートしたデータを処理する際に特に有効でしょう。

置換機能を使う際は、必ず事前にファイルを保存しておきましょう。

大量のセルを一括置換する場合、予期しない結果になる可能性もあります。

特に「すべて置換」を実行する前に、「次を検索」で数件確認してから実行すると安全です。

Ctrl + Zで元に戻すこともできますが、大規模な置換の場合は時間がかかることがあります。

VBAマクロでF2→Enter操作を自動化

続いてはVBAマクロを使ってF2→Enter操作を自動化する方法を確認していきます。

選択範囲のセルを一括再入力するマクロ

VBAマクロを使えば、選択した範囲のすべてのセルに対してF2→Enter操作を自動実行できます。

以下のコードは、最もシンプルで効果的な方法です。

Sub F2Enter一括実行()
    Dim cell As Range
    Dim selectedRange As Range
    Dim count As Long
    
    '選択範囲の確認
    If Selection.Count = 0 Then
        MsgBox "セル範囲を選択してください"
        Exit Sub
    End If
    
    Set selectedRange = Selection
    count = 0
    
    '各セルの内容を再入力
    For Each cell In selectedRange
        If Not IsEmpty(cell) Then
            cell.Value = cell.Value
            count = count + 1
        End If
    Next cell
    
    MsgBox count & "個のセルを再入力しました"
End Sub

このマクロは、選択範囲の各セルの値を自分自身に代入することで、F2→Enterと同じ効果を実現します。

実行するには、Alt + F11でVBAエディタを開き、「挿入」から「標準モジュール」を選択して、上記のコードを貼り付けます。

Excelに戻り、処理したい範囲を選択してから、Alt + F8でマクロ一覧を開き、「F2Enter一括実行」を選択して実行します。

このマクロは空白セルをスキップするため、無駄な処理を省いて効率的に動作します。数式だけでなく、文字列や数値にも対応しています。

数式のみを対象にするマクロ

数式が入力されているセルだけを対象にしたい場合、数式を含むセルだけを処理するマクロが便利です。

Sub 数式のみF2Enter実行()
    Dim cell As Range
    Dim selectedRange As Range
    Dim count As Long
    
    If Selection.Count = 0 Then
        MsgBox "セル範囲を選択してください"
        Exit Sub
    End If
    
    Set selectedRange = Selection
    count = 0
    
    '数式を含むセルのみ処理
    For Each cell In selectedRange
        If cell.HasFormula Then
            cell.Formula = cell.Formula
            count = count + 1
        End If
    Next cell
    
    MsgBox count & "個の数式セルを再入力しました"
End Sub

このマクロは、`HasFormula`プロパティを使って数式が含まれているかを判定し、数式セルだけを再入力します。

数値や文字列は変更されないため、数式の再計算だけを実行したい場合に最適です。

文字列として認識されている数式を正しく計算させたい場合や、外部リンクの参照を更新したい場合に特に効果的でしょう。

シート全体やブック全体を処理するマクロ

アクティブシート全体、または複数シートを対象にする場合、より広範囲を自動処理するマクロが便利です。

Sub シート全体F2Enter実行()
    Dim cell As Range
    Dim usedRange As Range
    Dim count As Long
    
    Set usedRange = ActiveSheet.UsedRange
    count = 0
    
    Application.ScreenUpdating = False '画面更新を停止(高速化)
    Application.Calculation = xlCalculationManual '自動計算を一時停止
    
    '使用範囲内のすべてのセルを処理
    For Each cell In usedRange
        If Not IsEmpty(cell) Then
            cell.Value = cell.Value
            count = count + 1
        End If
    Next cell
    
    Application.Calculation = xlCalculationAutomatic '自動計算を再開
    Application.ScreenUpdating = True '画面更新を再開
    
    MsgBox count & "個のセルを再入力しました"
End Sub

このマクロは、シートの使用範囲(UsedRange)全体を対象にします。大量のセルを処理する場合、画面更新と自動計算を一時停止することで、処理速度が大幅に向上します。

ブック内の全シートを処理したい場合は、以下のようにループを追加します。

Sub 全シートF2Enter実行()
    Dim ws As Worksheet
    Dim cell As Range
    Dim totalCount As Long
    Dim sheetCount As Integer
    
    totalCount = 0
    sheetCount = 0
    
    Application.ScreenUpdating = False
    Application.Calculation = xlCalculationManual
    
    '全シートをループ処理
    For Each ws In ThisWorkbook.Worksheets
        For Each cell In ws.UsedRange
            If Not IsEmpty(cell) Then
                cell.Value = cell.Value
                totalCount = totalCount + 1
            End If
        Next cell
        sheetCount = sheetCount + 1
    Next ws
    
    Application.Calculation = xlCalculationAutomatic
    Application.ScreenUpdating = True
    
    MsgBox sheetCount & "個のシートで" & totalCount & "個のセルを再入力しました"
End Sub

このマクロは、ブック内のすべてのシートを対象にF2→Enter操作を実行します。

複数のシートで同様の問題が発生している場合や、外部ファイルからインポートしたデータを一括処理したい場合に便利でしょう。

VBAマクロで大量のセルを処理する場合、実行に数分かかることがあります。

特に数万〜数十万セルを処理する場合は、処理中に他の操作をせず、完了を待ちましょう。

また、マクロ実行前には必ずファイルを保存し、バックアップを取っておくことをおすすめします。

処理が予想以上に時間がかかる場合は、Escキーで中断できます。

F2→Enter一括実行の実践的な活用シーン

続いてはF2→Enter一括実行の実践的な活用シーンを確認していきます。

CSVファイルインポート後のデータ整形

CSVファイルをExcelで開くと、数値が文字列として認識される問題が頻繁に発生します。

F2→Enter一括実行により、この問題を効率的に解決できます。

CSVファイルから取り込んだデータは、すべてのセルが文字列形式になっていることが多いです。数値列で合計を計算しようとしても、SUM関数が正しく動作しません。

セルの左上に緑色の三角マークが表示されることもあります。

この状態で、数値列全体を選択し、Ctrl + Hで検索と置換を開きます。検索する文字列と置換後の文字列を両方とも空白にし、「オプション」から「検索場所」を「数式」に、「完全に同一なセルだけを検索する」にチェックを入れて「すべて置換」を実行します。

すると、文字列として認識されていた数値が正しい数値形式に変換され、計算が可能になります。

日付データも同様です。CSVから取り込んだ日付が「2025/01/01」のような文字列になっている場合、日付計算ができません。

F2→Enter一括実行により、Excelの日付形式に変換され、日付の加減算や期間計算が可能になるでしょう。

外部データ連携の更新処理

他のブックやシステムからデータを参照している場合、リンクの更新が必要になることがあります。

F2→Enter操作により、すべての参照が再評価されます。

VLOOKUP関数やINDEX・MATCH関数で他のシートやブックを参照している場合、参照元のデータが更新されても、自動的に反映されないケースがあります。

特に外部ブックへのリンクが含まれる場合、この問題が顕著です。

数式を含むセル範囲を選択し、VBAマクロの「数式のみF2Enter実行」を実行することで、すべての数式が再評価され、最新のデータが取得されます。

手動で一つ一つF2→Enterするよりも圧倒的に効率的です。

名前の定義を使用している場合も同様です。定義範囲を変更した後、その名前を参照している数式でF2→Enter一括実行を行うことで、変更が確実に反映されます。

大規模なデータベースファイルや、定期的に更新される集計ファイルでは、この処理を定型業務として組み込むことで、データの整合性を保てるでしょう。

数式エラーの一括解消

複数のセルで#VALUE!、#REF!、#N/Aなどのエラーが表示されている場合、F2→Enter操作でエラーが解消されることがあります。

特に、データ型の不一致や参照の問題が原因のエラーに効果的です。

#VALUE!エラーは、数式が期待するデータ型と実際のデータ型が一致しない場合に発生します。例えば、数値を期待する関数に文字列が渡されている場合などです。

F2→Enterで再入力することで、データ型が適切に変換され、エラーが解消されることがあります。

#REF!エラーは、参照先のセルやシートが削除された場合に発生します。参照先を復元したり、別のセルに変更したりした後、F2→Enter一括実行により参照が更新され、エラーが解消されます。

ただし、すべてのエラーがF2→Enter操作で解決できるわけではありません。数式自体に論理的な誤りがある場合や、参照先が完全に失われている場合は、数式を修正する必要があります。

エラーの種類を確認し、F2→Enter操作で解決できるものと、数式修正が必要なものを見極めることが重要でしょう。

F2→Enter一括実行は強力なツールですが、すべての問題を解決できるわけではありません。

実行後も問題が残る場合は、元のデータや数式そのものに問題がある可能性を疑いましょう。

また、定期的にこの処理を行う必要がある場合は、VBAマクロをクイックアクセスツールバーに登録しておくと、ワンクリックで実行できて便利です。

まとめ エクセルでF2→Enterを一括実行する方法

エクセルでF2→Enterを一括実行する方法をまとめると

・置換機能:検索と置換で空白を空白に置換、「検索場所」を「数式」にして実質的なF2→Enterを実現

・特定文字の置換:「=」を一時的に別の文字に置換してから戻すことで数式を再評価

・算術演算:1を乗算または0を加算することで文字列を数値に変換

・VBAマクロ:選択範囲、数式のみ、シート全体、全シートなど目的に応じた自動処理

・実践活用:CSVインポート後の整形、外部データ連携の更新、エラーの一括解消

これらの方法を状況に応じて使い分けることで、作業効率が大幅に向上します。

特に置換機能を使った方法は、VBAを使わずに実行できるため、最も手軽で効果的な方法です。

ただし、一括処理を実行する前に、必ずファイルのバックアップを取っておきましょう。

大量のセルを一度に処理するため、予期しない結果になる可能性もゼロではありません

また、F2→Enter操作はあくまでセルの内容を再評価する処理であり、元のデータや数式自体に問題がある場合は解決できません。

エクセルのF2→Enter一括実行テクニックを正しく活用して、データ処理の効率を最大化していきましょう!