Excelで表を作成する際、罫線の設定は見栄えを整える重要な作業です。
既に作成した表の罫線を別の場所にも適用したい、データは残したまま罫線だけを別の範囲にコピーしたいというニーズは実務で頻繁に発生します。
特に定型フォーマットを複数作成する場合や、既存の表と同じレイアウトで新しいデータ範囲を整えたい場合、一から罫線を引き直すのは非効率的です。セルの数が多い場合、罫線の設定だけで相当な時間を取られてしまいます。
Excelには罫線だけをコピーする方法が複数用意されています。
書式のみ貼り付け機能、書式のコピー/貼り付けツール、形式を選択して貼り付けなど、それぞれに特徴があり、利用シーンに応じて最適な方法が異なります。
本記事では、データを保持したまま罫線だけを効率的にコピーする様々な方法を詳しく解説し、実務で使える具体的なテクニックを紹介します。
表作成の効率を向上させたい方は、ぜひ最後までお読みください。
ポイントは
・形式を選択して貼り付けで罫線だけを選択できる
・書式のコピー/貼り付けツールで素早く罫線を複製できる
・セルの書式設定からコピー元の罫線を確認して再現できる
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
形式を選択して貼り付けで罫線だけコピー
それではまず、最も確実で細かく制御できる形式を選択して貼り付けを使った罫線コピーの方法を確認していきます。
書式のみ貼り付けの基本操作
罫線を含む書式だけをコピーするには、「形式を選択して貼り付け」の「書式」オプションを使用します。
まずコピー元の罫線が設定されているセル範囲を選択してコピー(Ctrl+C)します。次に貼り付け先のセル範囲を選択し、Ctrl+Alt+Vキーを押して「形式を選択して貼り付け」ダイアログを開きます。
ダイアログの中から「書式」を選択してOKをクリックすると、罫線を含むすべての書式がコピーされます。このとき、貼り付け先のセルに入力されているデータはそのまま保持されます。
2. 貼り付け先の範囲を選択
3. Ctrl+Alt+Vで形式選択貼り付けを開く
4. 「書式」を選択してOK
この方法では、罫線だけでなくフォントサイズ、色、塗りつぶし、配置なども一緒にコピーされます。罫線以外の書式は変更したくない場合は、後述する他の方法を検討する必要があります。
貼り付けオプションから書式を選択
Excel 2010以降では、貼り付け後に表示される貼り付けオプションから書式のみを選択できます。
コピー元を選択してCtrl+Cでコピーした後、貼り付け先を選択してCtrl+Vで通常の貼り付けを実行します。貼り付けたセルの右下に表示される貼り付けオプションのアイコンをクリックすると、様々な貼り付け方法が表示されます。
その中から「書式設定」アイコン(ペンキのアイコン)を選択すれば、データは元のまま残り、書式だけが適用されます。
| 貼り付け方法 | データ | 罫線 | フォント・色 | 数式 |
|---|---|---|---|---|
| 通常の貼り付け | 上書き | 上書き | 上書き | 上書き |
| 書式のみ貼り付け | 保持 | 上書き | 上書き | 保持 |
| 値のみ貼り付け | 上書き | 保持 | 保持 | 値化 |
| 罫線を除くすべて | 上書き | 保持 | 上書き | 上書き |
ホームタブの「貼り付け」ボタンの下部にある小さな▼をクリックしても、同様の貼り付けオプション一覧が表示されます。ここから「書式設定」を選択すれば、一度の操作で書式のみを貼り付けられます。
罫線だけを選択的にコピーする方法
書式のみ貼り付けでは罫線以外の書式も一緒にコピーされてしまいますが、実は罫線だけを選択的にコピーする直接的な方法は用意されていません。
ただし、以下の手順で罫線だけを実質的にコピーすることは可能です。まず貼り付け先のセル範囲の書式をメモ帳などに記録しておくか、別の場所にコピーしておきます。
次に書式のみ貼り付けで罫線を含むすべての書式をコピーした後、フォントサイズや色、配置などを元の設定に戻します。この方法は手間がかかりますが、確実に罫線だけを適用できます。
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1. 貼り付け先の書式を記録 | フォント、色、配置などを確認 |
| 2. 書式のみ貼り付けを実行 | Ctrl+Alt+V→書式 |
| 3. 不要な書式を元に戻す | フォント、色、配置を復元 |
| 4. 罫線のみが残る | データと罫線以外の書式は元のまま |
より効率的な方法として、次に説明する書式のコピー/貼り付けツールを使用することをおすすめします。
形式を選択して貼り付けを使った方法は、最も基本的で確実な方法です。
どのバージョンのExcelでも使用でき、細かい制御が可能なため、複雑な書式設定が必要な場合でも対応できます。
ただし、毎回ダイアログを開いて選択する必要があるため、頻繁に同じ操作を繰り返す場合は作業効率が低下します。
また、書式のみ貼り付けでは罫線以外の書式も一緒にコピーされるため、純粋に罫線だけを適用したい場合は追加の調整作業が必要になります。
定型作業で頻繁に罫線をコピーする場合は、後述するマクロの活用も検討しましょう。
書式のコピー/貼り付けツールを活用
続いては、ホームタブの書式のコピー/貼り付けツールを使った素早い罫線コピーの方法を確認していきます。
書式のコピー/貼り付けツールの基本
ホームタブの「クリップボード」グループにある書式のコピー/貼り付けツール(ハケのアイコン)を使うと、ワンクリックで書式を素早くコピーできます。
コピー元のセルを選択し、ホームタブの書式のコピー/貼り付けアイコンをクリックします。マウスポインタがハケの形に変わったら、貼り付け先の範囲をドラッグして選択します。
この操作で、罫線を含むすべての書式が一度にコピーされます。元のセルのデータは変更されず、書式だけが適用されます。
2. ホームタブの書式コピーアイコンをクリック
3. 貼り付け先をドラッグして選択
4. 書式が適用される
一度だけ貼り付ける場合は書式コピーアイコンをシングルクリックしますが、複数の場所に連続して貼り付けたい場合はアイコンをダブルクリックします。ダブルクリックすると、Escキーを押すまで書式コピーモードが継続し、何度でも貼り付けられます。
複数範囲への連続適用
書式のコピー/貼り付けツールをダブルクリックでアクティブにすると、複数の離れた範囲に連続して書式を適用できます。
たとえば、ワークシート全体に散らばっている複数の表に同じ罫線スタイルを適用したい場合、一度書式コピーをダブルクリックでアクティブにしておけば、各表を順番にドラッグするだけで同じ罫線を適用できます。
作業が完了したらEscキーを押すか、書式コピーアイコンを再度クリックすることで、通常のモードに戻ります。
| 操作方法 | 適用回数 | 解除方法 |
|---|---|---|
| シングルクリック | 1回のみ | 自動的に解除 |
| ダブルクリック | 複数回可能 | Escキーまたは再クリック |
この機能は特に、定型フォーマットを複数のシートに展開する際や、統一感のある表を複数作成する際に威力を発揮します。
ショートカットキーでさらに効率化
書式のコピー/貼り付けには便利なキーボードショートカットも用意されています。
残念ながら、書式コピーツール自体に標準のショートカットキーは割り当てられていませんが、クイックアクセスツールバーに登録することでAlt+数字キーでアクセスできます。
クイックアクセスツールバーの「▼」をクリックし、「その他のコマンド」を選択します。「ホームタブ」から「書式のコピー/貼り付け」を選択して「追加」ボタンをクリックすれば、ツールバーに登録されます。
登録後は、Alt+1、Alt+2などの数字キー(登録位置による)で書式コピーを起動できるようになり、マウス操作を減らして効率的に作業できます。
| 設定手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1. クイックアクセスツールバーを開く | ▼→その他のコマンド |
| 2. コマンドを検索 | ホームタブから書式のコピー/貼り付けを選択 |
| 3. 追加ボタンをクリック | ツールバーに登録される |
| 4. ショートカットキーで起動 | Alt+数字キーで実行 |
書式のコピー/貼り付けツールは、直感的で素早い操作が可能な方法です。
形式を選択して貼り付けと比べてダイアログを開く手間がなく、視覚的にも分かりやすいため、初心者でも使いやすい機能です。
特にダブルクリックによる連続適用は、複数の範囲に同じ書式を適用する際の作業効率を大幅に向上させます。
ただし、この方法でも罫線以外の書式(フォント、色、配置など)も一緒にコピーされるため、純粋に罫線だけを適用したい場合は注意が必要です。
また、広い範囲をドラッグする際にスクロールが必要になると、操作がやや難しくなる点も留意しましょう。
セルの書式設定から罫線を確認して再現
続いては、コピー元の罫線設定を確認して、手動で同じ設定を適用する方法を確認していきます。
罫線の詳細設定を確認する
コピー元のセルの罫線が複雑な場合や、一部の罫線だけを適用したい場合は、セルの書式設定ダイアログで罫線の詳細を確認できます。
コピー元のセルを選択し、右クリックして「セルの書式設定」を開きます。「罫線」タブを選択すると、現在設定されている罫線のスタイル、色、適用位置が表示されます。
プリセットの欄には「なし」「外枠」「内側」のボタンがあり、罫線がどのように設定されているかが視覚的に分かります。線のスタイルには実線、点線、破線、二重線など様々な種類があり、色も自由に設定できます。
・線の色
・適用位置(上、下、左、右、外枠、内側)
・プレビュー表示
プレビュー表示の部分では、現在の罫線設定が実際にどのように見えるかが表示されます。ここで各辺の罫線をクリックすることで、個別に罫線の追加や削除も可能です。
同じ罫線設定を手動で適用
コピー元で確認した罫線設定を、貼り付け先にも同じように設定することで、罫線だけを正確に再現できます。
貼り付け先のセル範囲を選択し、同様に「セルの書式設定」を開いて「罫線」タブに移動します。コピー元で確認した線のスタイルと色を選択し、適用したい位置(上、下、左、右など)をクリックして罫線を追加します。
この方法は手間がかかりますが、罫線以外の書式を一切変更せずに、罫線だけを適用できる唯一の確実な方法です。
| 罫線の種類 | 適用方法 | 用途 |
|---|---|---|
| 外枠 | 「外枠」ボタンをクリック | 範囲全体を囲む |
| 内側 | 「内側」ボタンをクリック | セル間の区切り線 |
| 格子 | 外枠と内側を両方適用 | 表形式の罫線 |
| 個別の辺 | プレビュー部分をクリック | 特定の辺だけに罫線 |
罫線のスタイルをテンプレート化
頻繁に使用する罫線パターンがある場合は、テンプレートとして保存しておくことで作業効率が向上します。
よく使う罫線設定を適用したサンプルセルを、シートの隅や非表示のシートに保存しておきます。必要なときにそのセルから書式のコピー/貼り付けツールで罫線を適用すれば、毎回手動で設定する手間が省けます。
さらに、複数の罫線パターンをテンプレートとして用意しておけば、用途に応じて素早く使い分けられます。たとえば、「見出し行用の太線」「データ行用の細線」「合計行用の二重線」などを用意しておくと便利です。
| テンプレート名 | 罫線設定 | 用途 |
|---|---|---|
| 見出し行 | 太線(上下)、実線(左右) | 表のヘッダー |
| データ行 | 細線(全辺) | 通常のデータ範囲 |
| 合計行 | 二重線(上)、太線(下) | 集計行 |
| 区切り行 | 破線(下のみ) | グループ分け |
セルの書式設定から罫線を確認して手動で適用する方法は、最も正確で柔軟性の高い方法です。
罫線だけを純粋にコピーしたい場合や、一部の罫線だけを選択的に適用したい場合に最適です。
ただし、セル数が多い場合や複雑な罫線パターンの場合は、設定に時間がかかるというデメリットがあります。
作業効率とのバランスを考慮し、単純な罫線パターンや少数のセルには手動設定、大量のセルや頻繁な作業には書式コピーツールやマクロを使うなど、状況に応じて使い分けることが重要です。
また、よく使う罫線パターンはテンプレート化しておくことで、手動設定の手間を大幅に削減できます。
VBAマクロで罫線のみコピーを自動化
最後に、VBAマクロを使って罫線だけを効率的にコピーする方法を確認していきます。
罫線のみコピーするマクロの作成
VBAマクロを使えば、罫線だけを選択的にコピーする処理を自動化できます。
開発タブから「Visual Basic」を開き、標準モジュールに以下のようなコードを記述します。
Dim コピー元 As Range
Dim コピー先 As RangeSet コピー元 = Selection
Set コピー先 = Application.InputBox(“貼り付け先を選択”, Type:=8)コピー先.Borders.LineStyle = コピー元.Borders.LineStyle
コピー先.Borders.Weight = コピー元.Borders.Weight
コピー先.Borders.Color = コピー元.Borders.Color
End Sub
このマクロを実行すると、現在選択しているセル範囲の罫線設定を取得し、指定した貼り付け先に罫線だけをコピーします。データやフォント、色などの他の書式は一切変更されません。
罫線の各辺を個別にコピー
より詳細な制御が必要な場合は、罫線の各辺(上下左右)を個別に処理するマクロを作成できます。
Dim i As LongFor i = 7 To 12
Selection.Borders(i).LineStyle = ActiveCell.Borders(i).LineStyle
Selection.Borders(i).Weight = ActiveCell.Borders(i).Weight
Selection.Borders(i).Color = ActiveCell.Borders(i).Color
Next i
End Sub
このコードでは、Bordersオブジェクトのインデックス7から12(それぞれ上、下、左、右、斜め線などに対応)をループ処理し、各辺の罫線設定を個別にコピーします。
クイックアクセスツールバーに登録
作成したマクロをクイックアクセスツールバーに登録すると、ワンクリックで罫線のみコピーを実行できます。
クイックアクセスツールバーの「▼」から「その他のコマンド」を選択し、「マクロ」カテゴリから作成したマクロを選択して「追加」ボタンをクリックします。
| 登録手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1. マクロを作成 | VBAエディタでコードを記述 |
| 2. クイックアクセスツールバーを開く | ▼→その他のコマンド |
| 3. マクロを選択 | 「マクロ」カテゴリから選択 |
| 4. 追加して完了 | ツールバーにアイコンが表示される |
登録後は、Alt+数字キーのショートカットでもマクロを実行できるようになり、キーボード操作だけで罫線コピーが完了します。
VBAマクロを使った方法は、罫線だけを正確にコピーできる最も効率的な方法です。
一度マクロを作成してしまえば、以降は何度でも同じ操作を瞬時に実行できるため、頻繁に罫線コピーを行う業務では大幅な時間短縮になります。
ただし、マクロの作成にはVBAの知識が必要で、セキュリティ設定によってはマクロが実行できない環境もあります。
また、マクロを含むファイルは「.xlsm」形式で保存する必要があり、組織によってはマクロの使用が制限されている場合もあります。
導入前に環境や運用ルールを確認し、適切に活用しましょう。
まとめ エクセルで罫線だけそのままコピーする方法
エクセルで罫線だけをコピーする方法をまとめると
・形式を選択して貼り付け:Ctrl+Alt+Vで「書式」を選択、罫線を含むすべての書式がコピーされる、データは保持される
・書式のコピー/貼り付けツール:ホームタブのハケアイコンをクリックして貼り付け先を選択、ダブルクリックで複数範囲に連続適用可能
・セルの書式設定から手動設定:コピー元の罫線設定を確認し、貼り付け先に同じ設定を手動で適用、罫線だけを確実にコピーできる唯一の方法
・VBAマクロで自動化:罫線のみをコピーするマクロを作成、クイックアクセスツールバーに登録すればワンクリックで実行可能
これらの方法にはそれぞれ特徴があり、利用シーンに応じた使い分けが重要です。
少数のセルや単純な罫線には書式のコピー/貼り付けツール、罫線以外の書式を変更したくない場合は手動設定、頻繁な定型作業にはマクロが適しています。
ただし、どの方法を選択する場合も注意点があります。
作業前には必ずバックアップを取り、小規模なテスト範囲で動作を確認してから本番データに適用することで、予期しないトラブルを防げます。
特に大量のデータに対して一括処理を行う場合は、元に戻せるよう準備してから実行しましょう。
Excelの罫線コピーテクニックを適切に活用して、表作成の効率を向上させていきましょう!