Excelで顧客名簿や社員リスト、参加者一覧などを作成していると、名前を50音順(あいうえお順)に並び替えたい場面が頻繁に訪れます。
名簿を五十音順に整理すれば、目的の人物を素早く見つけられるようになり、資料の見やすさと検索性が大幅に向上します。
会議の出席者リスト、顧客管理台帳、クラス名簿、住所録など、人名を扱うあらゆる場面で50音順の並び替えは必須の操作です。
ところが、Excelで名前を並び替えると、期待通りのあいうえお順にならないことがあります。「佐藤」「鈴木」「田中」「高橋」という名前を並べ替えたはずなのに、「田中」「佐藤」「高橋」「鈴木」のように、まったく違う順序で表示されてしまうのです。
この現象の原因は、Excelが名前の漢字を並び替える際に使用する「ふりがな情報」にあります。
Excelは漢字そのものではなく、セルに保存されているふりがな情報を基準にして五十音順に並べ替えを行うため、このふりがな情報が正しくないと、正確な50音順にならないのです。
本記事では、Excelで名前を正しく50音順に並び替える方法を詳しく解説し、ふりがな情報の確認と修正方法、外部データでも確実にあいうえお順にする方法、姓と名を分けて並べ替える応用テクニックを紹介します。
名簿作成や顧客管理を効率化したい方は、ぜひ最後までお読みください。
ポイントは
・名前の並び替えはふりがな情報が正しいかが重要
・ふりがなの表示と編集で五十音順を正確に制御
・外部データは別列に読み仮名を用意して対応
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
Excelで名前を50音順に並び替える基本操作
それではまず、Excelで名前を五十音順に並び替える基本的な操作方法を確認していきます。
データタブからの並び替え実行
名前のリストを50音順に並べ替える最も基本的な方法は、「データ」タブの並び替え機能を使用することです。
名前が入力されている列のいずれかのセルを選択し、「データ」タブの「並び替え」ボタンをクリックします。並び替えダイアログが表示されたら、「最優先されるキー」で名前が入力されている列を選択し、「順序」で「昇順」を選択してOKをクリックします。
昇順を選択すると、あ行、か行、さ行、た行、な行という順序で、五十音順に並び替えられます。「佐藤」「鈴木」「田中」「渡辺」というデータなら、「佐藤」「鈴木」「田中」「渡辺」という順序で表示されるはずです。
データ範囲に見出し行(「氏名」「名前」などの列タイトル)がある場合は、ダイアログ内の「先頭行をデータの見出しとして使用する」にチェックを入れることで、見出し行を除外して並び替えができます。
並び替えを実行する前に、必ずデータ全体を選択するか、データ範囲内のいずれかのセルを選択してください。
一部の列だけを選択して並び替えると、行全体のデータの対応関係が崩れてしまう危険性があります。
| 操作 | 手順 | 結果 |
|---|---|---|
| 基本の並び替え | データ→並び替え→氏名列→昇順 | あ行から順に表示 |
| クイック昇順 | 氏名列選択→昇順ボタン | ワンクリックで50音順 |
| 降順並び替え | データ→並び替え→氏名列→降順 | わ行から逆順に表示 |
| 複数条件 | 第1キー氏名、第2キー名 | 同姓の場合は名で並ぶ |
クイック並び替えボタンで素早く実行
より素早く50音順に並び替えるには、「データ」タブの「昇順」ボタンを使用します。
名前が入力されている列のいずれかのセルを選択し、「データ」タブにある「昇順」ボタン(AからZのアイコン)をクリックするだけで、その列を基準にした五十音順の並び替えが即座に実行されます。
この方法は、並び替えダイアログを開く手間がないため、単純な名前順の並び替えには最も効率的です。名簿を頻繁に更新する場合、データを追加するたびにこのボタンをクリックするだけで、常に50音順を維持できます。
並び替えの範囲選択の注意点
名前だけでなく、住所や電話番号などの関連情報も一緒に管理している場合、並び替え時に行全体が一緒に移動するように注意する必要があります。
A列に名前、B列に住所、C列に電話番号が入力されている場合、名前列だけを選択して並び替えると、名前の順序だけが変わり、住所と電話番号は元の位置に残ってしまいます。その結果、佐藤さんの住所が鈴木さんの行に表示されるなど、データの対応関係が崩れてしまいます。
Excelは通常、選択したセル範囲を自動的に拡張して関連データを含めてくれますが、念のため並び替えダイアログで範囲を確認し、必要なすべての列が含まれていることを確認してください。
ふりがな情報と50音順の関係
続いては、Excelの名前並び替えで最も重要な「ふりがな情報」について詳しく確認していきます。
ふりがな情報が並び替えの基準になる仕組み
Excelで漢字の名前を入力すると、セルには見えない「ふりがな情報」が自動的に保存されます。
セルに「田中太郎」と入力する際、実際には「たなかたろう」と入力してから変換しているはずです。この入力過程で、Excelは「田中太郎」という漢字だけでなく、「たなかたろう」という読み情報も一緒にセルに保存しています。
Excelの並び替え機能は、この見えないふりがな情報を基準にして五十音順を決定します。そのため、同じ「田中」という漢字でも、ふりがな情報が「たなか」なら「た」行に分類され、「でんちゅう」なら「て」行に分類されます。
正しい50音順で並べ替えるには、このふりがな情報が正確であることが絶対条件です。
ふりがな情報が不正確になる原因
ふりがな情報が間違ってしまう最も一般的なケースは、他のファイルやシステムからコピー&ペーストしたデータを使用する場合です。
Webサイトからコピーした名簿、PDFから抽出したテキスト、他のシステムで作成されたCSVファイルなどをExcelに貼り付けると、漢字はそのまま表示されますが、ふりがな情報は正しく保存されません。
外部からコピーされたデータには、そもそもふりがな情報が含まれていないか、含まれていても正しくない情報になっている場合があります。この状態で並び替えを実行すると、文字コード順で並び替えられるため、五十音順にはならないのです。
また、Excel内で作成したデータでも、セルを直接編集して名前を変更した場合、ふりがな情報が更新されずに古い読みのまま残ってしまうことがあります。例えば、「田中」と入力したセルを後から「中田」に書き換えた場合、表示は「中田」になりますが、ふりがな情報は「たなか」のまま残ります。
| データの入力方法 | ふりがな情報 | 50音順の精度 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| Excel内で直接入力 | 正しく保存される | 正確 | そのまま使用可能 |
| Webからコピー | 保存されない | 不正確 | ふりがな編集が必要 |
| CSVファイル読み込み | 保存されない | 不正確 | 読み列を別途用意 |
| セル内容を後から変更 | 更新されない | 不正確 | ふりがなの修正が必要 |
同姓同名でも読みが異なる場合の対応
人名の場合、同じ漢字でも読み方が複数存在するケースがあります。
「高橋」という姓は「たかはし」と読む人と「たかばし」と読む人がいます。「中村」も「なかむら」と「ちゅうそん」、「東」も「ひがし」「あずま」「とう」など、複数の読み方があります。
Excelは入力時の読みをそのまま保存するため、同じ「高橋」でも入力時に「たかはし」と入力した場合と「たかばし」と入力した場合では、ふりがな情報が異なり、並び替え時の順序も変わります。
組織内の名簿など、正確な読み方を把握している場合は、ふりがな情報を正しく設定することで、実際の読み方に合わせた50音順を実現できます。
ふりがな情報を確認・修正する方法
続いては、セルに保存されているふりがな情報を確認し、間違っている場合に修正する具体的な方法を確認していきます。
ふりがなの表示機能で確認する
セルのふりがな情報を確認する最も簡単な方法は、「ふりがなの表示」機能を使うことです。
確認したいセルまたはセル範囲を選択し、「ホーム」タブの「フォント」グループにある「ふりがなの表示/非表示」ボタン(あ亜のアイコン)をクリックします。
このボタンをクリックすると、選択したセルの漢字の上に小さな文字でふりがなが表示されます。ここに表示されるふりがなが、Excelが並べ替え時に使用している実際の読み情報です。
「田中太郎」の上に「たなかたろう」と正しく表示されていれば問題ありませんが、「でんちゅうたろう」など間違った読みが表示されている場合は、修正が必要です。
PHONETIC関数でふりがなを抽出する
大量のデータのふりがなを一括確認したい場合は、PHONETIC関数を使って別のセルにふりがな情報を抽出する方法が効率的です。
PHONETIC関数は「=PHONETIC(セル参照)」という形式で使用し、指定したセルに保存されているふりがな情報を文字列として返します。
A列に名前が入力されている場合、B1セルに「=PHONETIC(A1)」と入力し、この数式を下方向にコピーすれば、すべての名前のふりがなを一覧表示できます。
=PHONETIC(A1)
この数式をB列にコピーすることで、A列の全名前のふりがな情報を確認できます。
ふりがな情報がないセルの場合、PHONETIC関数は元の漢字をそのまま返します。
抽出したふりがなを目視で確認し、間違っているセルを特定します。大量のデータでも、PHONETIC関数で抽出した列をソートすれば、明らかに間違っている読み(数字や記号が混ざっているなど)を素早く見つけられます。
ふりがなの編集機能で修正する
間違っているふりがなを修正するには、「ふりがなの編集」機能を使用します。
修正したいセルを選択し、「ホーム」タブの「ふりがなの表示/非表示」ボタンの横にある下向き矢印をクリックして、「ふりがなの編集」を選択します。
この操作により、セル内の漢字の上にふりがなが表示され、カーソルがふりがな部分に移動して編集可能な状態になります。キーボードでふりがなを直接修正し、正しい読みに変更したら、Enterキーを押して確定します。
例えば、「高橋」のふりがなが「たかはし」になっているが、実際には「たかばし」と読む人の場合、ふりがなの編集モードに入り、「たかはし」を「たかばし」に書き換えてEnterを押せば、ふりがな情報が正しく更新されます。
| 確認・修正方法 | 操作 | 用途 | メリット |
|---|---|---|---|
| ふりがな表示 | ホーム→ふりがな→表示 | 視覚的確認 | 直感的でわかりやすい |
| PHONETIC関数 | =PHONETIC(A1) | 一括確認 | 大量データに対応 |
| ふりがな編集 | ホーム→ふりがな→編集 | 個別修正 | 正確な読みに変更 |
| セル再入力 | 削除して再度入力 | 完全再生成 | 確実にふりがな付与 |
セルを再入力してふりがなを再生成
ふりがな情報が完全に欠落している場合や、修正が複雑な場合は、セルの内容を削除して再入力することで、正しいふりがな情報を新たに生成できます。
セルを選択してDeleteキーで内容を削除し、改めて日本語入力モードで正しい読みを入力してから変換して漢字にします。この方法では、入力時の読みが自動的にふりがな情報として保存されるため、確実に正しいふりがなが設定されます。
ただし、大量のデータがある場合、すべてを手動で再入力するのは非効率です。少数のセルだけが問題の場合や、どうしても正確なふりがなが必要な重要な名簿の場合に有効な方法です。
外部データを50音順に並べ替える方法
続いては、CSVファイルやWebサイトから取り込んだデータなど、ふりがな情報がないデータを五十音順に並べる方法を確認していきます。
別列に読み仮名列を用意する
外部から取り込んだデータにはふりがな情報が含まれないため、別の列に読み仮名(フリガナ)を用意して、その列を基準に並べ替えます。
多くのデータベースやシステムでは、「氏名」列とは別に「氏名カナ」「フリガナ」「読み仮名」という列が用意されていることがあります。このような読み列が存在する場合、その列を基準にして並べ替えを行えば、正確な50音順が実現できます。
並び替えダイアログで「最優先されるキー」を読み仮名列に設定し、昇順で並べ替えを実行します。これにより、読み仮名列の五十音順でデータ全体が並べ替えられます。
読み列がない場合は、新しい列を追加して手動で読み仮名を入力する必要があります。件数が少なければ手入力でも対応可能ですが、数百件、数千件のデータの場合は効率的ではありません。
| A列(氏名) | B列(フリガナ) | 並べ替え基準 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 田中太郎 | タナカタロウ | B列昇順 | 正しい50音順 |
| 佐藤花子 | サトウハナコ | B列昇順 | 正しい50音順 |
| 鈴木一郎 | スズキイチロウ | B列昇順 | 正しい50音順 |
| 高橋次郎 | タカハシジロウ | B列昇順 | 正しい50音順 |
ふりがなを一括で設定する方法
外部データに対してふりがなを自動的に付与したい場合、VBAマクロを使用する方法があります。
Excel VBAを使えば、選択した範囲のセルに対して、セルの内容を読み取り、それをふりがな情報として設定し直すマクロを作成できます。ただし、このマクロは漢字の正しい読みを推測できないため、人名の場合は誤変換が発生する可能性が高くなります。
一部の外部アドインやWebサービスでは、漢字から読みを自動生成する機能を提供していますが、人名は特に誤変換が多いため、最終的には目視での確認と手動修正が必要になります。
CSVファイルの読み込み時の注意点
CSVファイルから名簿データを取り込む場合、元データに読み仮名列が含まれているかを確認することが重要です。
CSVファイルをExcelで開くと、漢字の名前はそのまま表示されますが、ふりがな情報は保存されません。元のCSVファイルに「氏名」列と「氏名カナ」列の両方が含まれていれば、氏名カナ列を基準に並べ替えることで、確実な50音順を実現できます。
元データに読み仮名がない場合は、データ提供元に読み仮名列の追加を依頼するか、手動で読み仮名を追加する必要があります。
姓と名を分けて50音順に並べ替える応用
最後に、より高度な名前の並び替えテクニックを確認していきます。
姓で並べ替え、同姓の場合は名で並べ替える
姓と名が別々の列に入力されている場合、複数条件の並び替えを使って、まず姓で並べ替え、同じ姓の場合は名で並べ替えることができます。
A列に姓、B列に名が入力されている場合、並び替えダイアログで「最優先されるキー」をA列(姓)の昇順、「次に優先されるキー」をB列(名)の昇順に設定します。
これにより、まず姓の五十音順で並べ替えられ、同じ姓の人が複数いる場合は、その中で名の五十音順に並べ替えられます。例えば、「田中太郎」「田中花子」「田中一郎」という3人がいる場合、「田中一郎」「田中太郎」「田中花子」という順序になります。
姓と名を結合して並べ替える方法
姓と名が別列に入力されているが、一つの列として並べ替えたい場合は、別の列に姓と名を結合した列を作成します。
C1セルに「=A1&B1」という数式を入力すれば、姓と名が結合された「田中太郎」という文字列が生成されます。この数式を下方向にコピーし、結合された列を基準に並び替えを実行します。
ただし、この方法では姓と名の間にスペースがないため、必要に応じて「=A1&” “&B1」とすれば、「田中 太郎」のようにスペース入りで結合できます。
姓と名を結合する場合、元の姓列と名列にふりがな情報があっても、結合後の列には正しいふりがな情報が保存されません。
結合後の列で五十音順に並べ替えるには、結合後のセルを選択して「ふりがなの編集」で正しい読みを設定するか、PHONETIC関数で元の姓と名のふりがなを結合する必要があります。
例:=PHONETIC(A1)&PHONETIC(B1)
ミドルネームや敬称を含む名前の並び替え
名前に「様」「殿」「先生」などの敬称が含まれている場合、敬称を除外して並べ替えたい場合があります。
この場合は、SUBSTITUTE関数やREPLACE関数を使って敬称を削除した列を作成し、その列を基準に並べ替えます。例えば、「=SUBSTITUTE(A1,”様”,””)」とすれば、「田中太郎様」から「様」を削除した「田中太郎」が得られます。
また、外国人名など、姓名の順序が逆の場合は、LEFT関数、MID関数、FIND関数などを組み合わせて、姓と名を分離してから並べ替える処理が必要になります。
まとめ エクセルで名前順に並び替え(50音順)する方法
エクセルで名前を50音順に並び替える方法をまとめると
・基本操作:データタブの並び替えで氏名列を選択して昇順を指定、クイック昇順ボタンでワンクリック実行も可能、行全体が一緒に移動するよう範囲選択に注意
・ふりがな情報:Excelは見えないふりがな情報を基準に五十音順を決定、外部データやコピー貼り付けではふりがな情報が欠落
・確認方法:ふりがなの表示機能で視覚的に確認、PHONETIC関数で別セルに抽出して一括確認
・修正方法:ふりがなの編集で個別に修正、セルを削除して再入力することで正しいふりがなを再生成
・外部データ対応:別列に読み仮名(フリガナ)を用意して並べ替え、CSVファイルは元データに読み列があるか確認
・応用技術:姓と名の複数条件並び替え、PHONETIC関数で結合したふりがな列の作成、敬称除外などの前処理
これらの方法を理解すれば、どのような名簿データでも確実に50音順で整理できます。
最も重要なのは、Excelの名前並び替えがふりがな情報に依存していることを理解することです。
表示されている漢字だけを見ても問題は解決せず、見えない部分に保存されているふりがな情報が正しいかどうかが、正確な五十音順を実現できるかの鍵になります。
Excel内で直接入力したデータなら、通常は問題なく50音順に並び替えられますが、外部から取り込んだデータや、コピー&ペーストしたデータの場合は、ふりがな情報の確認と必要に応じた修正が必須です。
ただし、大量の外部データを扱う場合は注意が必要です。
数百件、数千件の名簿データを扱う場合、すべてのふりがなを手動で確認・修正するのは現実的ではないため、元データに読み仮名列が含まれているかを事前に確認し、含まれていない場合はデータ提供元に追加を依頼することをおすすめします。
また、人名は同じ漢字でも読み方が複数存在するため、自動判定に頼らず、可能な限り正確な読み方を確認してから設定することが、正確な名簿管理の基本です。
Excelの名前並び替え機能を正しく理解して活用すれば、顧客管理、社員名簿、会員リストなどの管理がより効率的になります。50音順の並び替えをマスターして、名簿整理作業の生産性を向上させていきましょう!