Excelで印刷しようとすると、印刷枚数がおかしくなって困った経験はありませんか。
1部だけ印刷したいのに勝手に3部も印刷されてしまったり、部数を変更しても反映されず前回の設定枚数が印刷されたり、1ページのはずなのに空白ページが追加で印刷されたりします。
これらの印刷枚数の問題は、Excelの印刷設定の仕組みを理解し、適切な対処法を知っていれば解決できます。
印刷枚数がおかしくなる原因は、シートに保存された印刷設定が残っている、プリンタープロパティの部数設定が上書きされている、印刷範囲が適切でない、あるいは改ページ設定の問題など様々です。
本記事では、Excelで印刷枚数がおかしい時によくある症状別に、具体的な解決方法を詳しく解説します。
無駄な用紙を使わず、スムーズに印刷したい方は、ぜひ参考にしてください。
ポイントは
・複数部印刷される場合はプリンタープロパティの部数設定を確認
・部数が反映されない場合はシートに保存された設定を削除
・空白ページが出る場合は印刷範囲と改ページを見直す
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
勝手に複数部数が印刷されてしまう時の対処法
1部だけ印刷したいのに、毎回複数部数が印刷されてしまう問題は非常に厄介です。
プリンタープロパティの部数設定を確認する
特定のシートを印刷すると必ず複数部印刷されてしまう場合、プリンタープロパティに部数設定が保存されている可能性が高いです。
「ファイル」タブをクリックし、「印刷」を選択します。印刷画面が表示されたら、画面中央下にある「ページ設定」をクリックします。
「ページ設定」ダイアログボックスが開いたら、右下にある「オプション」ボタンをクリックします。
ここでプリンターのプロパティ画面が表示されます。この画面の中に印刷部数の設定項目があるはずですので、それを1部に変更してOKをクリックします。
プリンタープロパティの部数設定変更手順:
1. 「ファイル」→「印刷」を選択
2. 「ページ設定」をクリック
3. 「オプション」ボタンをクリック
4. プリンタープロパティで部数を1に変更
5. OKで画面を閉じる
この設定はシートごとに保存されます。
この設定が保存されているシートは、ファイルを閉じて開き直しても複数部印刷する設定が残ります。一度正しく設定し直せば、以降は正常に印刷できるようになります。
印刷ボタンの使い分けによる回避方法
プリンタープロパティに部数設定がある場合でも、印刷画面の大きい「印刷」ボタンから印刷すれば、画面上の部数設定が優先されます。
「ファイル」タブから「印刷」をクリックした画面の右側に、大きな「印刷」ボタンがあります。
このボタンの上に表示されている部数の設定欄で部数を指定してから印刷すると、プリンタープロパティの設定よりもこちらが優先されます。
つまり、プリンタープロパティで3部と設定されていても、この画面で1部と指定すれば1部だけ印刷されます。
ただし、Ctrl+Pのショートカットキーを押してすぐにEnterキーを押して印刷すると、プリンタープロパティの設定が優先される場合があるため注意が必要です。
| 印刷方法 | 優先される設定 | 部数設定の場所 | 推奨度 |
|---|---|---|---|
| 印刷画面の大きい印刷ボタン | 画面上の部数設定 | 印刷ボタン上の部数欄 | 高い |
| ページ設定からの印刷 | プリンタープロパティ | オプション内の部数設定 | 低い |
| Ctrl+P後すぐEnter | 状況による | 最後の設定に依存 | 中程度 |
| クイック印刷 | 既定の設定 | プリンター側の設定 | 低い |
他のユーザーが設定した部数が残っている場合
共有で使用しているExcelファイルの場合、他のユーザーが設定した印刷部数が保存されていることがあります。
Excelでは、一度設定された印刷設定はファイルを閉じても引き継がれます。前回そのファイルを印刷した人が3部印刷していれば、次に開いた人もその設定が残ったままになります。
印刷する前に必ず印刷プレビュー画面を開いて、部数設定を確認してから印刷する習慣をつけることが重要です。
ファイルに印刷設定を保存したくない場合は、「ファイル」タブから「情報」を選択し、「問題のチェック」→「ドキュメント検査」を実行して、「ドキュメントのプロパティと個人情報」を削除すると、印刷設定を引き継がないようになります。
印刷部数を変更しても反映されない時の対処法
部数を1に変更して印刷しても、前回の部数が印刷されてしまう問題もあります。
シートに保存された部数設定を削除する
特にMacユーザーで多く報告されているのが、印刷ダイアログで部数を変更しても、以前印刷した部数が印刷されてしまう現象です。
例えば、前回3部印刷したシートを今回1部に変更して印刷しても、3部印刷されてしまいます。これはシート自体に以前の部数設定が記憶されているためです。
Windows環境でも同様の問題が発生する場合があります。この場合の対処法として、一度PDFとして保存してから印刷する方法が有効です。
「ファイル」タブから「名前を付けて保存」を選択し、ファイルの種類で「PDF」を選択して保存します。
保存したPDFファイルを開いて印刷すれば、Excelの印刷設定の影響を受けずに、正しい部数で印刷できます。
PDFを経由する印刷方法は、回避策としては非常に有効ですが、毎回この手順を踏むのは面倒です。
根本的な解決を望む場合は、プリンタードライバーの再インストールやOfficeの再インストールを試してみる価値があります。
ただし、これらの方法でも必ず解決するとは限らず、OSやExcelのバージョンによっては既知の不具合として認識されている場合もあります。
プリンタードライバーを最新版に更新する
印刷部数が反映されない原因として、プリンタードライバーが古いか、破損している可能性があります。
プリンターメーカーのWebサイトにアクセスし、使用しているプリンターの最新ドライバーをダウンロードします。
ダウンロードしたドライバーをインストールする前に、現在のドライバーをアンインストールします。
「設定」→「デバイス」→「プリンターとスキャナー」から該当するプリンターを選択し、「デバイスの削除」をクリックします。
パソコンを再起動してから、ダウンロードした最新のドライバーをインストールします。これで印刷部数の設定が正しく反映されるようになることがあります。
複数のプリンターが接続されている場合
複数のプリンターをパソコンに接続している環境では、プリンター間の設定が干渉し合って不具合が発生する場合があります。
一度、使用していない方のプリンターの電源を切るか、パソコンから切断してみてください。
1台のプリンターだけを接続した状態で、印刷部数の設定が正しく反映されるか確認します。
問題が解決すれば、プリンター間の設定干渉が原因だったことになります。使用するプリンターを切り替える際は、印刷設定を毎回確認する習慣をつけることが重要です。
| 症状 | 原因 | 対処法 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 部数変更が反映されない | シートに設定が記憶されている | PDF経由で印刷 | 高い |
| 毎回部数がリセットされない | ドライバーの不具合 | ドライバー再インストール | 中程度 |
| 特定のファイルだけ問題 | ファイルに設定が保存 | ドキュメント検査で削除 | 高い |
| 複数プリンターで不安定 | 設定の干渉 | 1台ずつ接続して確認 | 中程度 |
空白ページが印刷されてしまう時の対処法
1ページのはずなのに、空白の2ページ目が印刷されてしまう問題もよくあります。
印刷プレビューでページ数を確認する
空白ページが印刷される場合、まず印刷プレビューで実際のページ数を確認することが重要です。
「ファイル」タブから「印刷」を選択すると、右側に印刷プレビューが表示されます。
プレビュー画面の下部に「1/2」などとページ数が表示されている場合、Excelが2ページあると認識しています。
この場合、実際には2ページ分が印刷されるため、空白ページも出力されてしまいます。
ページ指定を使って「1」から「1」と指定すれば、1ページ目だけを印刷できますが、根本的な解決にはなりません。
ページ指定で1ページだけ印刷する方法:
印刷画面の「設定」欄で「すべてのページを印刷」となっている部分をクリック
「ページ指定」を選択
開始ページに「1」、終了ページに「1」と入力
これで1ページ目だけが印刷されます。
印刷範囲を見直して余分な領域を削除
空白ページが印刷される最も一般的な原因は、印刷範囲が必要以上に広く設定されていることです。
データは1ページ分しかないのに、どこかのセルに書式設定や空白スペースが残っていると、Excelはそこまでを印刷範囲として認識します。
「表示」タブから「改ページプレビュー」をクリックします。青い太線で囲まれた部分が印刷範囲です。
データがない部分まで青い線で囲まれている場合は、青い線をドラッグしてデータの範囲だけに調整します。
あるいは、Ctrl+Endキーを押して最終セルを確認します。データとは関係ない遠い場所がアクティブになる場合、そこに不要な書式が残っています。
不要な行や列を選択して削除すると、印刷範囲が適正化されます。
改ページ設定を削除する
意図しない改ページが設定されていると、空白ページが生成されてしまうことがあります。
「ページレイアウト」タブの「改ページ」から「すべての改ページを解除」を選択します。
これで手動で挿入されていた改ページがすべて削除されます。
改ページプレビューで確認すると、青い点線だけになり、不要な改ページが消えているはずです。
必要に応じて、適切な位置に改ページを設定し直すことができます。
ページ数の表示がおかしい時の対処法
印刷プレビューとページレイアウト表示でページ数が異なることもあります。
ページレイアウト表示と印刷プレビューの違い
ページレイアウト表示で見ると10ページなのに、印刷プレビューでは5ページと表示される場合、印刷範囲の設定が影響している可能性があります。
ページレイアウト表示は、シート全体をページ単位で表示するモードです。印刷範囲を設定している場合、その範囲外も含めてページ数がカウントされることがあります。
一方、印刷プレビューは実際に印刷されるページだけを表示します。印刷範囲が設定されている場合、その範囲内のページ数だけが表示されます。
正確なページ数を知りたい場合は、印刷プレビューの表示を信頼してください。こちらが実際に印刷される枚数です。
印刷範囲を一度クリアして設定し直す
ページ数の表示がおかしい場合、一度印刷範囲をクリアして設定し直すと改善することがあります。
「ページレイアウト」タブの「印刷範囲」から「印刷範囲のクリア」を選択します。
これでシート全体が印刷対象になります。改めて印刷したい範囲を選択し、「印刷範囲」→「印刷範囲の設定」をクリックします。
印刷プレビューで正しいページ数が表示されるか確認してください。
この操作により、不整合が解消されて正しいページ数が表示されるようになります。
印刷範囲は一度設定すると、ファイルを保存して閉じても保持されます。
複雑な表を作成していると、何度も印刷範囲を変更するうちに設定が複雑になり、意図しない動作をすることがあります。
定期的に印刷範囲をクリアして設定し直すことで、クリーンな状態を保つことができます。
まとめ エクセルで印刷枚数がおかしい時の直し方
エクセルで印刷枚数がおかしい時の対処法をまとめると
・複数部数が勝手に印刷される場合は、ページ設定の「オプション」からプリンタープロパティを開いて部数を1に変更する、印刷画面の大きい印刷ボタンから印刷すれば画面上の部数設定が優先される
・印刷部数を変更しても反映されない場合は、一度PDFとして保存してから印刷する、プリンタードライバーを最新版に更新する、複数プリンター接続時は1台ずつ確認
・空白ページが印刷される場合は、改ページプレビューで印刷範囲を確認して余分な範囲を削除する、Ctrl+Endで最終セルを確認して不要な書式を削除、すべての改ページを解除してから必要な箇所だけ設定し直す
・ページ数の表示がおかしい場合は、印刷プレビューの表示を信頼する、印刷範囲を一度クリアして設定し直す
・共有ファイルでは他のユーザーの設定が残っている場合があるため、毎回印刷前に設定を確認する習慣が重要
これらの対処法を状況に応じて使い分ければ、印刷枚数の問題はほとんど解決できます。
特に重要なのは、Excelの印刷設定はシートごとに保存され、ファイルを閉じても保持されるという仕組みを理解することです。
プリンタープロパティの設定と印刷画面の設定の両方を確認し、どちらが優先されるかを把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
無駄な用紙を使わず、スムーズにExcel印刷を行っていきましょう!