Excelで作成した表やデータを印刷しようとすると、画面では全体が見えているのに印刷すると下部分が切れてしまう経験は誰にでもあります。
重要な合計行が印刷されていない、顧客リストの最後の数件が欠けている、報告書の結論部分が次のページに分かれてしまうなど、印刷時に下部分が切れる問題は、資料の完成度を大きく損ない、印刷のやり直しによる時間とコストの無駄につながります。
画面上では問題なく表示されているため、印刷プレビューを確認せずに印刷してしまい、後から気づくというケースも少なくありません。特に大量の資料を印刷する場合、この問題は深刻です。
Excelで印刷が下で切れる原因は複数あり、それぞれに適切な対処法が存在します。
余白の設定ミス、用紙サイズとデータ量の不一致、印刷範囲の設定問題、改ページ位置の自動設定など、原因を正しく特定すれば確実に解決できます。
本記事では、印刷時に下が切れる原因を詳しく解説し、余白調整、縮小印刷、改ページプレビューの活用、印刷範囲の設定など、具体的な対処法を紹介します。
印刷トラブルを解消したい方は、ぜひ最後までお読みください。
ポイントは
・余白を狭くすることで印刷可能な範囲が広がる
・拡大縮小印刷で1ページに収めることができる
・改ページプレビューで視覚的に印刷範囲を調整できる
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
印刷時に下が切れる主な原因
それではまず、なぜ印刷時に下部分が切れてしまうのか、主な原因を確認していきます。
用紙サイズに対してデータ量が多い
印刷が下で切れる最も一般的な原因は、用紙1枚に収まるデータ量を超えているためです。
A4用紙の印刷可能領域には限界があり、余白を除いた範囲にしかデータを印刷できません。
例えば、50行のデータがあっても、A4用紙に印刷できるのは標準設定で40行程度までの場合、残りの10行は自動的に2ページ目に送られます。
しかし、印刷設定で1ページしか印刷しないように指定していたり、2ページ目の存在に気づかなかったりすると、下部分が切れた状態で印刷が完了してしまいます。
Excelは自動的に改ページ位置を決定するため、ユーザーが意図しない位置でページが分割されることがあります。
特に、行の高さを変更している場合や、フォントサイズを大きくしている場合は、画面で見た印象よりも印刷時に多くのスペースを消費し、予想以上にページが分かれてしまいます。
| 用紙サイズ | 標準余白での印刷可能行数(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| A4縦 | 約40~45行 | 標準フォント・標準行高の場合 |
| A4横 | 約30~35行 | 横向きは縦の長さが短い |
| B5縦 | 約35~40行 | A4より小さいため行数減 |
余白設定が広すぎる
Excelのデフォルト余白設定は、上下左右にそれぞれ一定の余白が確保されています。
この余白が広すぎると、印刷可能な領域が狭くなり、本来1ページに収まるはずのデータが収まりきらなくなります。
標準の余白設定では、上余白19mm、下余白19mm、左余白17.8mm、右余白17.8mm程度が設定されています。
これらの余白を合計すると、A4縦の場合、上下だけで約38mmが余白として消費され、印刷可能な縦の長さが大幅に減少します。
余白を狭く設定すれば、その分だけ印刷可能な範囲が広がるため、下が切れる問題を解決できる可能性があります。
ただし、余白を極端に狭くしすぎると、プリンターの機種によっては印刷できない領域に入ってしまい、かえって文字が切れることもあるため、バランスが重要です。
印刷範囲と改ページの設定問題
印刷範囲が正しく設定されていない場合や、改ページ位置が意図しない場所に設定されている場合も、下が切れる原因になります。
印刷範囲を手動で設定している場合、その範囲が実際のデータより狭いと、範囲外のデータは印刷されません。
例えば、A1からE40までを印刷範囲として設定しているのに、実際のデータはE50まである場合、41行目以降は印刷されず、下が切れた状態になります。
また、過去に手動で改ページを挿入した設定が残っていると、意図しない位置でページが分割されることがあります。
改ページプレビューモードで確認すると、青い実線として手動改ページ、青い点線として自動改ページが表示されるため、どこでページが分かれているか視覚的に確認できます。
印刷時に下が切れる問題を防ぐには、印刷前に必ず印刷プレビューを確認する習慣をつけることが重要です。
「ファイル」→「印刷」で印刷プレビュー画面を開くと、実際の印刷結果が表示され、何ページに分割されるか、下部分が切れていないかを確認できます。
プレビュー画面の下部に表示されるページ数(例:「1/2」)を見れば、2ページに分かれていることがわかります。
この時点で問題に気づけば、紙やインクを無駄にせずに対処できます。
余白を調整して印刷範囲を広げる
続いては、余白を調整することで印刷可能な範囲を広げる方法を確認していきます。
ページ設定から余白を狭くする方法
余白を狭くする最も確実な方法は、ページ設定ダイアログから余白を手動で調整することです。
「ページレイアウト」タブをクリックし、「ページ設定」グループの右下にある小さな矢印(ダイアログボックス起動ツール)をクリックします。
「ページ設定」ダイアログが開いたら、「余白」タブを選択します。
ここで、上余白、下余白、左余白、右余白の数値を直接入力して変更できます。
余白を狭くする際は、上下の余白を10mm程度、左右を10mm程度に設定すると、印刷可能範囲が大幅に広がります。
標準設定から余白を狭く設定すれば、A4縦で5~10行程度多く印刷できるようになり、1ページに収まらなかったデータが収まる可能性が高まります。
「余白」タブには「ページ中央」という設定もあり、「水平」「垂直」にチェックを入れると、印刷内容が用紙の中央に配置されます。
余白を狭くした結果、データが用紙の端に寄ってしまう場合は、この設定を活用すると見栄えが良くなります。
| 余白プリセット | 上下余白 | 左右余白 | 印刷可能行数の変化 |
|---|---|---|---|
| 標準 | 19mm | 17.8mm | 基準 |
| 狭い | 6.35mm | 6.35mm | +約5~8行 |
| ユーザー設定 | 10mm | 10mm | +約3~5行 |
余白プリセットを活用する
手動で数値を入力せずに、Excelが用意している余白プリセットを使う方法もあります。
「ページレイアウト」タブの「余白」ボタンをクリックすると、「標準」「広い」「狭い」などのプリセットが表示されます。
「狭い」を選択すると、上下左右の余白がすべて6.35mm(約0.25インチ)に設定され、印刷可能な範囲が大幅に広がります。
この設定なら、ほとんどの場合で数行分の余裕が生まれ、1ページに収まらなかったデータが収まるようになります。
ただし、プリンターによっては余白が狭すぎると、印刷できない領域(物理的な限界)に入ってしまい、端が切れることがあります。
その場合は、「ユーザー設定の余白」から、上下左右を10mm程度に調整すると安全です。
拡大縮小印刷で1ページに収める
続いては、印刷時に自動的に縮小して1ページに収める方法を確認していきます。
シートを1ページに印刷する設定
余白調整でも収まらない場合、拡大縮小印刷機能を使って強制的に1ページに収める方法が効果的です。
「ページレイアウト」タブの「ページ設定」グループで、「幅」と「高さ」のドロップダウンリストを確認します。
「高さ」を「1ページ」に設定すると、データの縦方向が自動的に縮小され、1ページの高さに収まるように調整されます。
例えば、50行のデータがあり、通常なら2ページに分かれる場合でも、高さを1ページに設定すれば、すべてのデータが縮小されて1ページに収まります。
横方向も同時に調整したい場合は、「幅」も「1ページ」に設定します。
これで、縦横ともに1ページに収まるように自動縮小されます。
「ページレイアウト」タブ→「高さ」を「1ページ」に設定すると、縦方向のデータがすべて1ページに収まるように自動縮小されます。
ただし、データ量が多すぎる場合、縮小率が大きくなりすぎて文字が小さくなり、読みにくくなることがあります。
縮小率が70%を下回る場合は、データを分割したり、不要な行を非表示にしたりする方が、読みやすい印刷結果が得られます。
| 設定項目 | 設定値 | 結果 |
|---|---|---|
| 高さ | 1ページ | 縦方向が1ページに収まるよう自動縮小 |
| 幅 | 1ページ | 横方向が1ページに収まるよう自動縮小 |
| 幅・高さ両方 | 1ページ | 縦横ともに1ページに収まるよう縮小 |
拡大縮小率を手動で指定する
自動縮小ではなく、具体的な縮小率を指定して印刷する方法もあります。
「ページレイアウト」タブの「拡大縮小印刷」セクションで、「拡大/縮小」の数値を直接入力できます。
例えば、90%に設定すると、すべての内容が90%のサイズで印刷され、その分多くのデータが1ページに収まります。
95%や90%程度の縮小なら、文字サイズもほとんど気にならず、数行分の余裕を確保できます。
また、「ページ設定」ダイアログの「ページ」タブからも同じ設定が可能です。
「拡大/縮小」欄に直接パーセンテージを入力するか、「次のページ数に合わせて印刷」で縦横のページ数を指定できます。
拡大縮小印刷は非常に便利な機能ですが、元のデータサイズは変更されず、印刷時のみ縮小される点に注意が必要です。
画面上の表示は通常のサイズのままなので、実際の印刷結果を確認するには印刷プレビューを使用します。
また、縮小率が低すぎると、文字が小さくなりすぎて読みにくくなるため、一般的には80%以上の縮小率を維持することが推奨されます。
どうしても収まらない場合は、データを2つのシートに分けたり、必要な部分だけを印刷範囲に設定したりする方が、読みやすい資料になります。
改ページプレビューで視覚的に調整する
最後に、改ページ位置を視覚的に確認・調整する方法を確認していきます。
改ページプレビューの使い方
改ページプレビューは、どこでページが分割されるかを視覚的に確認し、直接調整できる表示モードです。
「表示」タブの「ブックの表示」グループから「改ページプレビュー」をクリックすると、改ページプレビューモードに切り替わります。
このモードでは、青い実線が手動で設定された改ページ、青い点線が自動的に挿入される改ページを表示します。
ページ番号が大きく表示され、どの部分が1ページ目、2ページ目になるかが一目でわかります。
下が切れる原因が改ページ位置にある場合、このモードで確認すれば即座に判明します。
例えば、40行目と41行目の間に青い線が入っていれば、40行目までが1ページ目、41行目以降が2ページ目になることがわかります。
改ページプレビューでは、青い線をドラッグすることで改ページ位置を手動で調整できます。
線を下にドラッグすれば、より多くの行を1ページ目に含めることができますが、その分、印刷内容が縮小されます。
手動で改ページを挿入・削除する
改ページ位置を完全にコントロールしたい場合、手動で改ページを挿入・削除する方法があります。
改ページを挿入したい行の先頭セルを選択し、「ページレイアウト」タブの「改ページ」→「改ページの挿入」をクリックします。
選択した行の上に改ページが挿入され、その行から新しいページが始まります。
逆に、不要な改ページを削除したい場合は、改ページの直下の行を選択して、「改ページ」→「改ページの解除」をクリックします。
すべての改ページを一度に削除したい場合は、「改ページ」→「すべての改ページを解除」を選択します。
これで、自動改ページのみが適用される状態に戻ります。
手動改ページを活用すれば、重要な情報が2ページに分かれないように調整したり、意味のあるまとまりでページを区切ったりできます。
| 操作 | 手順 | 結果 |
|---|---|---|
| 改ページ挿入 | 行選択→ページレイアウト→改ページの挿入 | 選択行の上に改ページ追加 |
| 改ページ削除 | 改ページ直下の行選択→改ページの解除 | その改ページが削除 |
| すべて解除 | ページレイアウト→すべての改ページを解除 | 手動改ページをすべて削除 |
改ページプレビューは、印刷レイアウトを調整する際に非常に強力なツールですが、通常の編集作業には向いていません。
改ページプレビューモードでは、ページ外のデータが薄く表示され、編集しにくくなるためです。
印刷レイアウトの確認と調整が終わったら、「表示」タブから「標準」モードに戻して通常の編集を続けることをおすすめします。
また、改ページプレビューで青い線をドラッグして調整すると、自動的に拡大縮小率が変更されることがあります。
意図しない縮小が発生していないか、印刷プレビューで最終確認を行いましょう。
まとめ エクセルで印刷時に下が切れる原因と対処法(ページ設定・余白・縮小・改ページプレビュー・印刷範囲)
エクセルで印刷時に下が切れる問題の原因と対処法をまとめると
・主な原因:用紙サイズに対してデータ量が多い、余白設定が広すぎて印刷可能範囲が狭い、印刷範囲や改ページ位置の設定が不適切、これらの組み合わせで下部分が2ページ目に送られる
・余白調整:ページレイアウトタブ→余白→狭いを選択、またはページ設定ダイアログで上下左右を10mm程度に設定、余白を狭くすることで5~10行分の印刷可能範囲が広がる
・拡大縮小印刷:ページレイアウトタブ→高さを1ページに設定で縦方向が自動縮小、拡大/縮小で90~95%程度に手動設定も可能、文字が小さくなりすぎないよう80%以上を推奨
・改ページプレビュー:表示タブ→改ページプレビューで分割位置を視覚的に確認、青い線をドラッグして調整可能、手動改ページの挿入・削除で完全コントロール
これらの方法にはそれぞれメリットがあり、状況に応じた使い分けが重要です。
数行程度のはみ出しなら余白調整、大幅なはみ出しなら縮小印刷、レイアウト重視なら改ページプレビューでの調整が適しています。
ただし、どの方法を使う場合も、印刷前に必ず印刷プレビューで確認することが重要です。
印刷プレビューでページ数と表示内容を確認し、下が切れていないことを確かめてから印刷することで、紙とインクの無駄を防げます。
Excelの印刷設定を適切に活用して、完璧な印刷結果を実現していきましょう!