ビジネスメールや手紙では、自分の気持ちを相手本人ではなく第三者に伝えてほしい場面があります。
その際に使われる表現が「くれぐれもよろしくお伝えください」です。
丁寧で温かみのある言葉ですが、使う相手や伝言の内容によっては、ほかの表現に言い換えたほうが自然な場合もあるでしょう。
この記事では、くれぐれもよろしくお伝えくださいの意味、目上の人に向ける際の注意点、実用的な例文をわかりやすく紹介します。
くれぐれもよろしくお伝えくださいの意味と基本的な使い方

それではまず、くれぐれもよろしくお伝えくださいの意味と使い方について解説していきます。
相手に伝言を託す丁寧な表現
「くれぐれもよろしくお伝えください」は、会話やメールの相手に対し、別の人へ自分の挨拶や気持ちを伝えてもらいたいと依頼する言葉です。
たとえば、取引先の担当者と連絡を取っていて、その上司にも挨拶を伝えたい場合に使えます。
「よろしくお伝えください」だけでも成立しますが、「くれぐれも」を添えることで、伝言を丁寧にお願いしたい気持ちが強まります。
つまり、単なる連絡事項ではなく、相手への敬意や親しみを含めた伝言を頼む表現と考えると理解しやすいでしょう。
ただし、伝言を依頼する相手と、実際に気持ちを届けたい相手は異なります。
誰に何を伝えてほしいのかを曖昧にすると、文章の意図が伝わりにくくなるため注意が必要です。
基本の形は「A様にもくれぐれもよろしくお伝えください」です。
メールを受け取る相手がB様で、伝言先がA様という関係になります。
くれぐれもの語感と込められる気遣い
「くれぐれも」には、十分に、重ねて、念入りにといった意味があります。
「くれぐれもご自愛ください」や「くれぐれもお気をつけください」のように、相手を気遣う場面でもよく使われる語です。
「くれぐれもよろしくお伝えください」とした場合は、伝言を確実に届けてほしいという命令ではありません。
むしろ、相手への挨拶を大切にしていることを柔らかく示す言い方です。
関係性がある程度できている取引先、以前お世話になった上司、訪問先の担当者などに使うと、礼儀正しい印象につながります。
一方で、初めて連絡する相手や、非常に改まった文書では、少し情緒的に聞こえることもあります。
そのような場合は「よろしくお伝えください」や「お伝えいただけますと幸いです」と整えると安心です。
感謝をお伝えくださいとの違い
「感謝をお伝えください」は、相手へのお礼を第三者経由で届けたいときに使う表現です。
「くれぐれもよろしくお伝えください」は挨拶全般に使えるため、感謝以外にも近況への配慮や今後の関係への願いを含められます。
たとえば、協力を受けた人に対しては「このたびはご尽力いただいたこと、心より感謝しているとお伝えください」が具体的です。
一方、面会できなかった先方の部長へ挨拶を頼むなら「部長様にもくれぐれもよろしくお伝えください」が自然でしょう。
| 表現 | 主な目的 | 適した場面 |
|---|---|---|
| くれぐれもよろしくお伝えください | 挨拶や親しみを伝える | 取引先や知人への伝言 |
| 感謝をお伝えください | 感謝の気持ちを届ける | 協力や配慮へのお礼 |
| お礼をお伝えください | 謝意を丁寧に伝える | やや改まった連絡 |
| よろしくお伝えください | 簡潔に挨拶を託す | 幅広いビジネス連絡 |
目上の人に使う際の敬語と注意点
続いては、目上の人に向ける際の敬語と注意点を確認していきます。
伝言先が目上の人の場合
伝言を届けてもらう相手や、伝言先が目上の人であっても、「くれぐれもよろしくお伝えください」は基本的に使用できます。
「お伝えください」は、相手に伝える行為を依頼する丁寧な表現です。
ただし、役員、重要顧客、恩師などに対する非常に改まった場面では、依頼の形をさらに柔らかくする方法があります。
「くれぐれもよろしくお伝えいただけますと幸いです」とすれば、相手に判断の余地を残す控えめな依頼になります。
メールでは、相手の負担にならないように見せる配慮が大切です。
伝言を求める内容が長い場合は、相手に丸ごと託さず、自分から別途連絡することも検討しましょう。
目上の人への伝言では、伝言を頼む相手への敬意と、伝言先への敬意の両方を文章に反映させることが大切です。
相手の役職や氏名を正確に記載し、過度にくだけた言葉を避けると、落ち着いた印象になります。
使いすぎによる不自然さ
「くれぐれも」は丁寧な副詞ですが、何度も繰り返すと大げさに感じられることがあります。
一通のメールに「くれぐれも」を複数回入れると、強調が重なって読み手の負担になりかねません。
伝言の結びに一度だけ使い、本文では「何卒」「ぜひとも」「よろしくお願いいたします」などを状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
また、急ぎの依頼や重要な確認事項に対して「くれぐれもよろしくお伝えください」を使うと、具体性が不足することがあります。
期限や必要な対応があるなら、伝言ではなく直接的な依頼文として明記することが必要です。
相手との関係性に応じた言い換え
親しい取引先や日頃から交流のある相手には、「皆様にもよろしくお伝えください」でも自然です。
社外の役職者に対する連絡では、「どうぞよろしくお伝えいただけますでしょうか」とすると、より丁重な雰囲気になります。
社内メールであれば、「課長にもよろしくお伝えください」と簡潔にしても失礼ではありません。
相手との距離感を踏まえ、言葉の丁寧さを調整することがビジネスマナーの基本です。
言い換えを選ぶ際は、敬語を増やすことだけに意識を向けるのではなく、文章全体の読みやすさも確認しましょう。
ビジネスメールで使える例文
続いては、ビジネスメールで使える例文を確認していきます。
取引先の担当者に送る例文
取引先の担当者とやり取りをしており、その上司や同僚に挨拶を伝えたいときの例文です。
先日はお忙しいなか、お打ち合わせのお時間をいただき、誠にありがとうございました。
大変有意義なお話を伺うことができ、心より感謝しております。
恐れ入りますが、佐藤部長にもくれぐれもよろしくお伝えください。
この例文では、面談への感謝を述べたあとに伝言を添えています。
依頼文を唐突に置かず、前後にお礼や結びの言葉を入れることで、自然なメールになります。
上司の氏名と役職がわかる場合は、「佐藤部長」のように具体的に示すことが望ましいでしょう。
複数人に伝えたいときは「皆様にもくれぐれもよろしくお伝えください」と表現できます。
訪問後のお礼メールに使う例文
訪問先で会えなかった相手への挨拶を伝えたい場合にも、この表現は役立ちます。
本日はご多用のところ、ご対応いただきありがとうございました。
ご不在だった田中様にも、本日お伺いした旨とお礼をお伝えいただけますと幸いです。
あわせて、くれぐれもよろしくお伝えください。
この場合、「お礼をお伝えいただけますと幸いです」で目的を具体的にしています。
そのうえで「くれぐれもよろしくお伝えください」を加えるため、丁寧さがありながらも内容がわかりやすくなります。
会えなかった相手への伝言は、相手が不在だったことを責めるような印象にならないよう、穏やかな言葉を選びたいところです。
紹介者へのお礼に使う例文
取引先や知人を紹介してもらった際は、紹介者を通じて感謝を届けることがあります。
このたびは山本様をご紹介いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで、今後につながる有意義なお話をすることができました。
山本様にも、心より感謝しているとお伝えください。
あわせて、くれぐれもよろしくお伝えいただけますと幸いです。
紹介への感謝を伝える場合は、「よろしく」だけではお礼の内容がぼやけることがあります。
「心より感謝している」「お礼を申し上げている」といった言葉を添えると、気持ちが明確です。
感謝をお伝えくださいと挨拶を伝える言葉を組み合わせることで、礼儀と温かさを両立できます。
感謝をお伝えくださいとお礼をお伝えくださいの使い分け
続いては、感謝をお伝えくださいとお礼をお伝えくださいの使い分けを確認していきます。
感謝をお伝えくださいが向く場面
「感謝をお伝えください」は、相手がしてくれた行為や配慮に対し、感謝の気持ちを明確に届けたい場面に向いています。
たとえば、資料を急ぎで準備してもらった、面談の機会を設けてもらった、支援や助言を受けたといった状況です。
「感謝」には、相手の行為を重く受け止めている印象があります。
そのため、相手の尽力が大きい場合や、改まったビジネス場面で特に使いやすい表現でしょう。
「弊社一同、感謝しておりますとお伝えください」とすれば、組織としての謝意も伝えられます。
お礼をお伝えくださいが向く場面
「お礼をお伝えください」は、「感謝」よりも少し日常的で、幅広いお礼に使えます。
たとえば、会食のお招き、資料の送付、日程調整への対応など、さまざまな場面で無理なく用いられます。
相手への感謝を丁寧に示しながらも、あまり重くしたくないときに便利です。
「お礼をお伝えください」だけでは内容が抽象的になるため、「先日のご配慮について、お礼をお伝えください」のように理由を補うと伝わりやすくなります。
何に対してお礼を述べるのかを一言添えることが、誤解を防ぐコツです。
よろしくお伝えくださいとの組み合わせ
「感謝をお伝えください」や「お礼をお伝えください」は、伝える内容をはっきりさせる表現です。
対して「よろしくお伝えください」は、挨拶や親しみを表す結びの役割を持ちます。
両方を同じメールに入れる場合は、順番を整えると読みやすくなります。
| 伝えたい内容 | 自然な表現 | 補足 |
|---|---|---|
| 協力への深い謝意 | 心より感謝しているとお伝えください | 具体的な功労がある場面 |
| 一般的なお礼 | お礼をお伝えください | 配慮や対応への謝意 |
| 挨拶全般 | くれぐれもよろしくお伝えください | 結びの言葉として便利 |
| お礼と挨拶の両方 | お礼をお伝えいただき、あわせてよろしくお伝えください | 内容を二つに分ける |
一文に多くの気持ちを詰め込みすぎるよりも、お礼と挨拶を分けて書くほうが相手に伝わります。
ビジネスメールでは、簡潔でも伝言の目的が明確な文章が信頼につながるでしょう。
電話や会話での自然な伝え方
続いては、電話や会話での自然な伝え方を確認していきます。
電話の終わりに添える伝え方
電話では、メールよりも短く自然な言い回しが好まれます。
会話の終盤で「では、部長様にもどうぞよろしくお伝えください」と添えるだけでも十分です。
特に丁寧に伝えたい場合は、「本日はお時間をいただき、ありがとうございました。部長様にもくれぐれもよろしくお伝えください」と述べるとよいでしょう。
話し言葉では、早口で伝えると聞き取りにくくなります。
相手の役職や名前を伝える箇所は、落ち着いてはっきり発音することが大切です。
対面での挨拶に使う伝え方
対面で担当者と別れる際にも、「皆様にもよろしくお伝えください」は使えます。
訪問先の受付や担当者に対して、会えなかった方へ挨拶を伝えたいときに自然です。
ただし、目の前にいる相手への感謝を先に伝えることを忘れてはいけません。
「本日はご対応ありがとうございました。お会いできなかった皆様にも、くれぐれもよろしくお伝えください」のような流れがよいでしょう。
この一言があることで、その場にいない人にも敬意を払っている印象を与えられます。
伝言を頼まれた側の返答
自分が「よろしくお伝えください」と言われた側になった場合は、「承知いたしました。申し伝えます」と返すのが基本です。
「必ずお伝えします」「そのように申し伝えます」も、場面に応じて使えます。
「伝えておきます」は親しい関係では問題ありませんが、社外の目上の人に対しては少しくだけた印象になることがあります。
伝言を受ける側も、相手の気持ちを預かる意識を持つことが大切です。
電話や対面の伝言では、内容を簡潔にしながら、相手の名前と伝える趣旨を正確に確認することが重要です。
曖昧なまま受け取ると、挨拶や感謝の気持ちが十分に届かないおそれがあります。
失礼を避けるための表現と文面の整え方
続いては、失礼を避けるための表現と文面の整え方を確認していきます。
伝言の内容を具体的にする工夫
「よろしくお伝えください」だけでは、何についての挨拶かがわからないケースもあります。
相手との関係や前後の文脈で明らかな場合を除き、「先日の件についてお礼を申し上げているとお伝えください」のように補足すると親切です。
特に仕事上の依頼、謝罪、感謝に関する伝言は、内容を省略しすぎないほうが安心です。
ただし、相手に長い説明を託すのは負担になります。
伝言は一文から二文程度で完結する内容にまとめると、受け取る側も伝えやすくなります。
避けたい表現と改善例
「くれぐれも伝えておいてください」は、相手との関係によっては命令のように聞こえることがあります。
ビジネスメールでは「お伝えいただけますと幸いです」や「お伝えくださいますようお願いいたします」が無難です。
また、「くれぐれもよろしく伝えてください」は誤りではありませんが、「お」を加えた「よろしくお伝えください」のほうが丁寧です。
「くれぐれもよろしくお伝え願います」は、文書では使えますが、やや硬く感じられる場合があります。
| 避けたい言い方 | 整えた言い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 伝えておいてください | お伝えいただけますと幸いです | 依頼が柔らかくなる |
| よろしく伝えてください | よろしくお伝えください | 丁寧な語感になる |
| 必ず伝えてください | 差し支えなければお伝えください | 強い命令を避けられる |
| みんなによろしく | 皆様にもよろしくお伝えください | ビジネス向けの表現になる |
メール全体の印象を整えるポイント
伝言の一文だけを丁寧にしても、メール全体が唐突ではよい印象につながりません。
宛名、挨拶、本文、お礼、結びの順に整えると、読み手が内容を把握しやすくなります。
伝言は本文の最後や結びの直前に置くと、文章の流れが安定します。
メールを送る前には、相手の氏名、役職、会社名の表記を確認しましょう。
正しい敬語と正確な固有名詞がそろって、初めて信頼感のあるビジネス文書になります。
くれぐれもよろしくお伝えくださいのまとめ
くれぐれもよろしくお伝えくださいは、第三者に挨拶や親しみを丁寧に届けてもらうための表現です。
取引先、上司、紹介者などへの伝言に使えますが、相手との関係性に合わせて「お伝えいただけますと幸いです」などへ調整すると、より自然でしょう。
感謝を強く示したい場合は「感謝しているとお伝えください」、一般的なお礼には「お礼をお伝えください」を組み合わせる方法が有効です。
伝言の目的を具体的にし、長くなりすぎないよう整えることが大切です。
相手への敬意を込めた一言として、くれぐれもよろしくお伝えくださいを適切に使い分けることで、ビジネスコミュニケーションはより円滑になります。