気圧や血圧を表す単位として、hPa(ヘクトパスカル)とmmHg(水銀柱ミリメートル)という表記を見かけることがあるでしょう。天気予報では気圧がヘクトパスカルで示され、医療現場では血圧がmmHgで測定されるなど、それぞれ異なる場面で使われています。しかし、これらの単位はどちらも圧力を表しており、相互に変換することが可能です。
本記事では、hPaとmmHgの単位変換方法について、基礎知識から具体的な計算手順まで詳しく解説していきます。1mmHgは何ヘクトパスカルなのか、逆に1ヘクトパスカルは何mmHgに相当するのか、換算式を用いた例題を通じて理解を深めていきましょう。日常生活や仕事で圧力の単位変換が必要になった際に、すぐに活用できる知識をお届けします。
hPa(ヘクトパスカル)とmmHg(水銀柱ミリメートル)の基礎知識
それではまず、hPaとmmHgという2つの圧力単位について、基本的な概念を解説していきます。
hPa(ヘクトパスカル)とは何か
ヘクトパスカル(hPa)は、圧力を表すSI単位系の一つであり、パスカル(Pa)の100倍の大きさを持つ単位です。パスカルは1平方メートルあたり1ニュートンの力が加わる圧力と定義されており、ヘクトパスカルはその100倍になります。
気象分野では、気圧を表す標準的な単位として広く採用されているでしょう。標準大気圧はおよそ1013hPaとされ、台風の中心気圧が900hPa台になると非常に強い勢力とされています。SI単位系に基づいているため、科学的な計算や国際的なデータ交換において統一性が保たれるというメリットがあります。
かつては気圧の単位としてミリバール(mbar)が使われていましたが、現在ではヘクトパスカルに統一されました。実は数値的には1mbar=1hPaであり、単位名称が変わっただけとも言えるでしょう。
mmHg(水銀柱ミリメートル)とは何か
水銀柱ミリメートル(mmHg)は、水銀を用いた圧力計の原理に基づく単位です。1mmHgは、水銀柱を1ミリメートル押し上げるのに必要な圧力を表しています。この単位は歴史が古く、17世紀にトリチェリが水銀気圧計を発明したことに由来します。
医療分野では血圧測定の標準単位として現在でも広く使用されており、「血圧120/80」といった表記は全てmmHgを意味しています。標準大気圧は760mmHgとされ、この数値は海面上での平均的な気圧を水銀柱の高さで表したものです。
トル(Torr)という単位もmmHgとほぼ同じ意味で使われることがありますが、厳密には若干の定義の違いがあります。ただし実用上はmmHgとトルを同一視しても問題ないレベルの差でしょう。
2つの単位が使い分けられる理由
hPaとmmHgが異なる分野で使い分けられているのは、歴史的経緯と実用性の両面から説明できます。気象分野では国際標準化の流れに沿ってSI単位系のhPaが採用され、グローバルなデータ共有が容易になっています。
一方、医療分野では伝統的にmmHgが使用されてきた歴史があり、医師や看護師はこの単位に慣れ親しんでいるでしょう。血圧計の目盛りもmmHgで作られているため、臨床現場での混乱を避けるために現在もこの単位が維持されています。
また、数値の扱いやすさという観点も重要です。標準大気圧が1013hPaと表記される一方、760mmHgという数値も覚えやすく、それぞれの分野で適切なスケール感を提供しているのです。
hPaとmmHgの換算式と変換係数
続いては、hPaとmmHgを相互変換するための換算式を確認していきます。

基本的な換算式の導き方
hPaとmmHgの換算には、標準大気圧の定義を基準にした変換係数を用いるのが一般的でしょう。標準大気圧は以下のように定義されています。
1気圧 = 1013.25hPa = 760mmHg
この関係式から、1mmHgあたりのhPa値を計算すると次のようになります。
1mmHg = 1013.25 ÷ 760 ≒ 1.33322hPa
逆に、1hPaあたりのmmHg値は以下の通りです。
1hPa = 760 ÷ 1013.25 ≒ 0.75006mmHg
実用上は、1mmHg ≒ 1.333hPa、1hPa ≒ 0.750mmHgと覚えておけば十分でしょう。
換算に使用する変換係数一覧
圧力単位の変換をスムーズに行うために、主要な変換係数を表にまとめました。
| 変換内容 | 変換係数 | 計算式 |
|---|---|---|
| mmHg → hPa | ×1.33322 | hPa値 = mmHg値 × 1.33322 |
| hPa → mmHg | ×0.75006 | mmHg値 = hPa値 × 0.75006 |
| mmHg → kPa | ×0.133322 | kPa値 = mmHg値 × 0.133322 |
| 気圧 → hPa | ×1013.25 | hPa値 = 気圧値 × 1013.25 |
これらの係数を使えば、電卓一つで簡単に単位変換ができます。精度が必要な場合は小数点以下の桁数を増やし、概算で良い場合は四捨五入して使うと良いでしょう。
換算時の注意点と有効数字
単位変換を行う際には、有効数字の扱いに注意が必要です。元のデータが持つ精度以上の桁数を計算結果に含めても意味がありません。たとえば血圧測定値が整数で与えられている場合、変換後も適切な桁数で丸めるべきでしょう。
また、変換係数自体にも近似値を使用しているため、高精度な計算が必要な科学実験などでは、より詳細な係数を用いる必要があるかもしれません。日常的な用途であれば、上記の係数で十分な精度が得られます。
複数回の単位変換を繰り返すと、丸め誤差が累積する可能性もあります。可能であれば、元の単位から目的の単位へ直接変換する方が誤差を最小限に抑えられるでしょう。
1mmHgは何ヘクトパスカル?計算例題と解説
続いては、mmHgからhPaへの変換について、具体的な例題を通じて理解を深めていきます。
1mmHgをhPaに変換する基本計算
まずは最も基本的な「1mmHgは何hPaか」という問いから始めましょう。先ほど導いた換算式を用いると、以下のように計算できます。
【計算例】1mmHgをhPaに変換
1mmHg × 1.33322 = 1.33322hPa
答え:約1.333hPa
この結果から、1mmHgは約1.333hPaに相当することが分かります。覚えやすい数値なので、暗記しておくと便利でしょう。
逆算して確認すると、1.333hPa ÷ 1.33322 ≒ 1mmHgとなり、計算が正しいことが確認できます。この基本的な換算比率を理解しておけば、どんな数値でも変換可能です。
血圧の数値をhPaに変換する例題
医療現場でよく見られる血圧の数値を使って、実践的な変換例を見ていきましょう。正常血圧の上が120mmHgの場合を計算してみます。
【例題1】血圧120mmHgをhPaに変換
120mmHg × 1.33322 = 159.9864hPa
答え:約160hPa
同様に、下の血圧80mmHgも変換してみましょう。
【例題2】血圧80mmHgをhPaに変換
80mmHg × 1.33322 = 106.6576hPa
答え:約107hPa
このように、血圧120/80mmHgは約160/107hPaに相当します。ただし医療分野ではhPa表記を使わないため、この変換は主に学習や比較のために行われるものです。
大気圧に関連する変換例題
標準大気圧である760mmHgを実際に変換して、理論値と一致するか確認してみましょう。
【例題3】標準大気圧760mmHgをhPaに変換
760mmHg × 1.33322 = 1013.2472hPa
答え:約1013.25hPa
計算結果が標準大気圧の定義値1013.25hPaとほぼ一致することが確認できるでしょう。これは換算係数が正しいことの証明にもなっています。
高地や台風時の気圧変化を考える際にも、この換算方法が役立ちます。たとえば標高が上がると気圧が下がりますが、その変化量をmmHgとhPaの両方で表現できるようになるのです。
1ヘクトパスカルは何mmHg?逆変換の計算方法
続いては、hPaからmmHgへの逆変換について詳しく確認していきます。
1hPaをmmHgに変換する基本計算
「1hPaは何mmHgか」という逆方向の変換を見ていきましょう。先ほどとは逆の換算係数を使用します。
【計算例】1hPaをmmHgに変換
1hPa × 0.75006 = 0.75006mmHg
答え:約0.750mmHg
この結果から、1hPaは約0.750mmHg、つまり4分の3mmHg程度に相当することが分かります。1mmHgよりも小さな単位であることに注目してください。
この関係性を理解しておくと、「hPaの数値の方がmmHgよりも大きくなる」という直感的な理解につながるでしょう。
天気予報の気圧をmmHgに変換する例題
天気予報で「本日の気圧は1020hPaです」と報じられた場合、これをmmHgに変換してみましょう。
【例題4】気圧1020hPaをmmHgに変換
1020hPa × 0.75006 = 765.0612mmHg
答え:約765mmHg
標準大気圧760mmHgよりもやや高い気圧であることが分かります。このように天気予報の数値を変換することで、歴史的な水銀気圧計の目盛りとの対応関係を理解できるでしょう。
逆に低気圧の例として、990hPaを変換してみます。
【例題5】低気圧990hPaをmmHgに変換
990hPa × 0.75006 = 742.5594mmHg
答え:約743mmHg
標準大気圧よりも約17mmHg低い気圧であることが分かり、低気圧が接近している状況を数値的に把握できます。
複数の単位変換を組み合わせた応用例
実際の場面では、複数の単位変換を組み合わせる必要がある場合もあるでしょう。たとえば気圧差を異なる単位で表現したい場合などです。
【例題6】気圧差の変換
高気圧中心:1030hPa、低気圧中心:980hPa
気圧差:1030 – 980 = 50hPa
これをmmHgに変換:50hPa × 0.75006 = 37.503mmHg
答え:気圧差は約37.5mmHg
このように気圧差を両方の単位で表現できると、異なるバックグラウンドを持つ人とのコミュニケーションがスムーズになります。医療従事者と気象関係者が同じデータを見る際に役立つでしょう。
また、単位変換は「割り算」でも「掛け算」でも実行できることを覚えておくと便利です。たとえば「mmHgに変換するには1.33322で割る」という方法も、「0.75006を掛ける」のと同じ結果になるのです。
まとめ
hPaとmmHgの単位変換について、基礎知識から具体的な計算方法まで詳しく解説してきました。1mmHgは約1.333hPa、1hPaは約0.750mmHgという換算比率を覚えておけば、日常的な圧力の単位変換に十分対応できるでしょう。
気象分野ではhPaが標準的に使用され、医療分野ではmmHgが主流という使い分けがなされていますが、両者は相互に変換可能です。標準大気圧が1013.25hPaまたは760mmHgであることを基準として、換算係数1.33322や0.75006を用いることで、正確な変換が実現できます。
実際の計算では、有効数字に注意しながら適切な桁数で結果を表現することが大切です。血圧測定値や天気予報の気圧など、具体的な数値を使った例題を通じて練習すれば、単位変換のスキルは確実に身につくでしょう。圧力の単位に関する理解を深めることで、科学的なデータの解釈力も向上していきます。