Windows11のパソコンでインターネットに接続できない、Wi-Fiに繋がらない、有線LANケーブルを接続しても通信できない、といったトラブルは日常的な作業を完全に停止させてしまう深刻な問題です。
メールの確認ができない、オンライン会議に参加できない、クラウドのファイルにアクセスできない、調べ物ができない、こうした状況は仕事や学習に大きな支障をきたします。
Windows11でインターネット接続できない原因は、Wi-Fiやネットワークアダプターのドライバー問題、IPアドレスやDNSの設定エラー、ルーターやモデムの不具合、Windows Updateによる設定変更、セキュリティソフトの干渉など、様々な要因が考えられます。
Windows11は比較的新しいOSであり、Windows10から移行した際に発生する固有のトラブルや、特定のハードウェアとの互換性問題もあります。
本記事では、Windows11パソコンでインターネットに接続できない時の原因の特定方法、Wi-Fi・有線LAN別の具体的な解決手順、ネットワーク設定のリセット方法、ドライバーの更新手順、そして安定した接続環境を維持する設定まで詳しく解説します。
インターネット接続のトラブルで困っている方は、ぜひ最後までお読みください。
ポイントは・ルーター再起動とネットワーク設定リセットが最優先
・ネットワークアダプタードライバーの更新または再インストール
・IPアドレス・DNS設定の自動取得確認
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
インターネット接続トラブルの原因を特定する
まずは問題の範囲を正確に把握していきます。
他のデバイスで接続できるか確認する
インターネット接続の問題が、パソコン固有の問題なのか、ネットワーク全体の問題なのかを切り分けることが重要です。
スマートフォン、タブレット、他のパソコンなど、同じWi-Fiネットワークに接続している他のデバイスでインターネットが使えるか確認します。他のデバイスでも接続できない場合は、ルーターやモデム、インターネット回線自体に問題があります。
他のデバイスは正常に接続できているのに、Windows11パソコンだけが接続できない場合は、パソコン側の設定やドライバーに問題があります。この切り分けにより、対処すべき箇所が明確になります。
有線LAN接続の場合も同様に、他のデバイスを同じLANケーブルで接続して確認します。他のデバイスで接続できれば、LANケーブルやルーターのポートは正常で、パソコン側に問題があることがわかります。
問題の切り分け手順・スマホやタブレットで同じWi-Fiに接続できるか確認
・他のパソコンで接続できるか確認
・有線接続の場合、別のデバイスで同じケーブルを試す
・接続できた場合→ルーター・回線の問題
・接続できない場合→パソコン側の問題
・一部サイトだけ接続できない場合→DNS・ファイアウォールの問題
特定のWebサイトだけが開けない場合は、DNSの問題やそのサイト自体のダウンである可能性があります。複数の異なるWebサイト(Google、Yahoo、YouTubeなど)を試して、すべてが開けないかどうか確認します。
ネットワークアイコンの状態を確認する
タスクバー右下のネットワークアイコンの表示状態から、問題の種類を推測できます。
Wi-Fiアイコンに地球儀マークが表示されている場合は、Wi-Fiには接続されているがインターネットには接続できていない状態です。これはIPアドレス取得の問題やDNS設定の問題を示しています。
Wi-Fiアイコンに×マークが表示されている場合は、利用可能なネットワークが見つからない、またはWi-Fiアダプターが無効になっている可能性があります。機内モードがオンになっていないか確認します。
有線接続の場合、ネットワークアイコンがコンピューターとケーブルのマークになり、同様に地球儀や×マークで状態を示します。「制限あり」「インターネットなし」などのメッセージが表示されることもあります。
ネットワークアイコンをクリックして、接続しているネットワーク名を確認します。意図したネットワークに接続されているか、接続済みなのに「インターネットアクセスなし」と表示されていないかチェックします。
| アイコン表示 | 状態 | 可能性のある原因 |
|---|---|---|
| Wi-Fiアイコン+地球儀 | Wi-Fi接続済みだがインターネット不可 | IPアドレス・DNS問題、ルーター設定 |
| Wi-Fiアイコン+×マーク | Wi-Fi未接続 | 機内モード、アダプター無効、範囲外 |
| Wi-Fiアイコン+!マーク | 接続に問題あり | 認証失敗、IP競合、DNS問題 |
| ネットワークアイコンなし | アダプター認識されていない | ドライバー問題、ハードウェア故障 |
機内モードとWi-Fiスイッチを確認する
Windows11では機内モードが誤ってオンになっていると、すべてのネットワーク接続が無効になります。
タスクバー右下のネットワークアイコンをクリックし、クイック設定パネルを開きます。飛行機のアイコン(機内モード)がオンになっていないか確認します。オンになっている場合は、クリックしてオフにします。
または「設定」→「ネットワークとインターネット」→「機内モード」を開き、機内モードがオフになっているか確認します。機内モードをオフにすると、Wi-Fiと Bluetoothが自動的に有効になります。
ノートパソコンの場合、キーボードにWi-Fiを物理的にオン・オフするスイッチやファンクションキー(Fn+F2、Fn+F3など、機種によって異なる)があります。誤ってこれを押してWi-Fiがオフになっていないか確認します。キーボード上にWi-Fiのアイコンが表示されているキーを探します。
一部のノートパソコンには、本体側面に物理的なWi-Fiスイッチがあります。これが「OFF」の位置になっていないか確認します。
インターネット接続のトラブルシューティングでは、問題の切り分けが最も重要です。「インターネットに繋がらない」という症状は同じでも、原因は多岐にわたります。
Wi-Fiには接続できているがインターネットが使えない場合と、Wi-Fi自体に接続できない場合では、対処法が全く異なります。
焦る気持ちはわかりますが、まず落ち着いて現在の状態を正確に把握することが、最短で問題を解決する方法です。
特に「他のデバイスで接続できるか」という確認は、トラブルシューティングの方向性を決める重要なステップです。
これを飛ばして闇雲に設定を変更すると、問題を複雑化させてしまうことがあります。
Wi-Fi接続のトラブルシューティング
続いてはWi-Fi接続特有の問題と解決法を確認していきます。
ルーターとモデムを再起動する
ネットワーク接続の問題の多くは、ルーターやモデムの一時的な不具合が原因であり、再起動することで解決します。
まずパソコンをシャットダウンします。次にルーターの電源を切ります(電源ボタンがある場合は押す、ない場合は電源ケーブルを抜く)。モデムがある場合は、モデムの電源も切ります。すべての機器の電源が切れた状態で、30秒から1分程度待ちます。
再起動の順序が重要です。まずモデムの電源を入れて、すべてのランプが安定するまで待ちます(通常1~2分)。次にルーターの電源を入れて、同様にランプが安定するまで待ちます。最後にパソコンを起動します。
この手順により、モデムとルーターの内部メモリがリセットされ、IPアドレスの再割り当てやDNSキャッシュのクリアが行われます。長時間電源を入れっぱなしにしていたルーターは、この再起動だけで劇的に改善することがあります。
ルーターのファームウェアが古い場合も、接続が不安定になることがあります。ルーターの管理画面にアクセスして(通常はブラウザで192.168.1.1または192.168.0.1を入力)、ファームウェアの更新が利用可能か確認します。
ルーター・モデム再起動の正しい手順1. パソコンをシャットダウン
2. ルーターの電源を切る(30秒待つ)
3. モデムの電源を切る(30秒待つ)
4. モデムの電源を入れる(ランプ安定まで1~2分待つ)
5. ルーターの電源を入れる(ランプ安定まで1~2分待つ)
6. パソコンを起動
7. Wi-Fi接続を確認
ネットワークアダプタードライバーを更新する
Windows11にアップグレードした際や、Windows Updateの後に、ネットワークアダプターのドライバーが正しく動作しなくなることがあります。
デバイスマネージャーを開きます(Windowsキー+Xキー→デバイスマネージャー)。「ネットワークアダプター」の項目を展開し、Wi-Fiアダプターを探します。通常、「Intel Wireless」「Realtek」「Qualcomm」「Broadcom」などの名前が含まれています。
アダプターに黄色の警告マークや赤いエラーマークが表示されている場合は、ドライバーに問題があります。アダプターを右クリックして「ドライバーの更新」を選択します。「ドライバーソフトウェアの最新版を自動検索」を選択すると、Windows Updateから最新のドライバーを検索してインストールします。
Windows Updateのドライバーで改善しない場合は、パソコンメーカーまたはWi-Fiアダプターメーカーの公式サイトから、Windows11対応の最新ドライバーをダウンロードしてインストールします。例えばDellやHP、Lenovoなどのパソコンメーカーのサポートページで、機種名を入力してドライバーを検索できます。
ドライバーの更新で改善しない場合は、ドライバーをアンインストールして再インストールする方法も有効です。デバイスマネージャーでアダプターを右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択します。「このデバイスのドライバーソフトウェアを削除する」にチェックを入れて削除し、パソコンを再起動すると、ドライバーが自動的に再インストールされます。
| 症状 | ドライバーの状態 | 対処法 |
|---|---|---|
| Wi-Fiアダプターが表示されない | ドライバー未インストール | メーカーサイトから最新ドライバー入手 |
| 黄色の警告マーク | ドライバーエラー | ドライバー更新または再インストール |
| 接続が頻繁に切れる | 古いドライバー | 最新ドライバーに更新 |
| Windows11アップグレード後 | 互換性問題 | Windows11対応ドライバーをインストール |
ネットワーク設定をリセットする
Windows11の設定が破損している場合、ネットワーク設定を完全にリセットすることで問題が解決することがあります。
「設定」アプリを開き(Windowsキー+Iキー)、「ネットワークとインターネット」→「詳細ネットワーク設定」→「ネットワークのリセット」を選択します。「今すぐリセット」ボタンをクリックすると、すべてのネットワークアダプターが削除され、ネットワーク設定が初期状態に戻ります。
ネットワークのリセットを実行すると、パソコンは自動的に再起動されます。再起動後、Wi-Fiネットワークに再接続する必要があります。保存されていたWi-Fiパスワードも削除されるため、再度入力する必要があります。
より詳細なリセットとして、コマンドプロンプトからネットワークコマンドを実行する方法もあります。コマンドプロンプトを管理者として開き(Windowsキー+Xキー→「Windows PowerShell(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」)、以下のコマンドを順番に実行します。
「ipconfig /release」(IPアドレスを解放)、「ipconfig /flushdns」(DNSキャッシュをクリア)、「ipconfig /renew」(IPアドレスを再取得)、「netsh winsock reset」(Winsockカタログをリセット)、「netsh int ip reset」(TCP/IP設定をリセット)。これらのコマンド実行後、パソコンを再起動します。
ネットワーク設定のリセットは非常に効果的な対処法ですが、すべての設定が初期化されるため、注意が必要です。VPN設定、プロキシ設定、固定IPアドレス設定などもすべて削除されます。
企業のネットワークや特殊な設定を使用している場合は、リセット前に設定内容をメモしておくことをおすすめします。
また、Wi-Fiのパスワードも再入力が必要になるため、パスワードがわからない場合は事前に確認しておきましょう。
ネットワークのリセットは、他の方法で解決しない場合の最終手段として位置づけ、まずは再起動やドライバー更新など、より影響の小さい対処法から試すことをおすすめします。
有線LAN接続と詳細設定のトラブルシューティング
最後に有線接続の問題と高度な設定を確認していきます。
有線LANケーブルと接続ポートを確認する
有線LAN接続で問題が発生している場合、物理的な接続とケーブルの状態を確認することが最優先です。
LANケーブルが両端でしっかりと差し込まれているか確認します。パソコン側とルーター側の両方で、カチッと音がするまで押し込みます。ケーブルが古い場合や頻繁に抜き差ししている場合、コネクタ部分のツメが折れて固定できていないことがあります。
LANポートのランプを確認します。パソコンのLANポートには通常、リンクランプ(接続状態を示す)とアクティビティランプ(通信状態を示す)があります。ケーブルを接続してもランプが点灯しない場合は、ケーブルの断線、ポートの故障、またはドライバーの問題が考えられます。
別のLANケーブルで試すことも重要です。ケーブルの断線は外見ではわからないことが多く、見た目は正常でも内部で断線していることがあります。予備のケーブルがあれば交換して確認します。
ルーター側の別のLANポートに接続してみることも有効です。ルーターの特定のポートが故障している可能性があります。複数のLANポートがある場合は、別のポートで試します。
有線LAN接続の確認項目・LANケーブルが両端でしっかり接続されているか
・LANポートのランプが点灯しているか
・別のLANケーブルで試す
・ルーターの別のポートで試す
・ケーブルのカテゴリ確認(Cat5e以上推奨)
・ケーブルの長さ確認(100m以内)
LANケーブルのカテゴリも重要です。古いCat5ケーブルよりも、Cat5e、Cat6、Cat6a以上のケーブルの方が、高速で安定した通信が可能です。ケーブルに「Cat5e」「Cat6」などの表記があるか確認します。
IPアドレスとDNS設定を確認する
インターネットに接続するには、正しいIPアドレスとDNSサーバーの設定が必要です。
コマンドプロンプトを開き(Windowsキー+Rキー→「cmd」と入力してEnter)、「ipconfig」と入力してEnterキーを押します。表示される情報の中から、使用しているネットワークアダプター(Wi-FiまたはEthernet)の項目を見つけます。
IPv4アドレスが「169.254.x.x」で始まる場合は、DHCPサーバー(通常はルーター)からIPアドレスを取得できていません。この状態では、ローカルネットワーク内でも通信できません。IPアドレスの自動取得設定を確認します。
「設定」→「ネットワークとインターネット」→使用している接続(Wi-Fiまたはイーサネット)→接続名の右にある「>」をクリック→「IP割り当て」で「自動(DHCP)」になっているか確認します。「手動」になっている場合は、「編集」をクリックして「自動(DHCP)」に変更します。
DNSサーバーの設定も確認します。同じ画面の「DNS サーバーの割り当て」が「自動(DHCP)」になっているか確認します。DNSの問題が疑われる場合は、手動でGoogleのパブリックDNS(8.8.8.8と8.8.4.4)やCloudflareのDNS(1.1.1.1と1.0.0.1)を設定することも有効です。
| IPアドレスの状態 | 意味 | 対処法 |
|---|---|---|
| 192.168.x.x または 10.x.x.x | 正常なプライベートIPアドレス | IPアドレスは正常、DNS設定を確認 |
| 169.254.x.x | DHCP取得失敗(APIPA) | ルーター確認、IPリリース・更新実行 |
| 0.0.0.0 | IPアドレス未割り当て | アダプター無効化→有効化、ドライバー確認 |
| 重複しているアドレス | IP競合エラー | IPリリース・更新、ルーター再起動 |
セキュリティソフトとファイアウォール設定を確認する
セキュリティソフトやWindowsファイアウォールが、ネットワーク接続をブロックしていることがあります。
セキュリティソフトを一時的に無効化して、インターネットに接続できるようになるか確認します。接続できるようになった場合は、セキュリティソフトが原因です。セキュリティソフトの設定で、ネットワークを信頼済みネットワークとして登録するか、ファイアウォール設定を調整します。
Windowsファイアウォールの設定も確認します。「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」→「ファイアウォールとネットワーク保護」を開きます。使用しているネットワークプロファイル(パブリック、プライベート、ドメイン)でファイアウォールがオンになっているか確認します。
ネットワークプロファイルの種類も重要です。自宅のネットワークは「プライベートネットワーク」に設定し、公共のWi-Fiは「パブリックネットワーク」に設定することで、適切なセキュリティレベルが適用されます。「設定」→「ネットワークとインターネット」→接続名→「ネットワークプロファイルの種類」で変更できます。
プロキシ設定が有効になっている場合も、接続できないことがあります。「設定」→「ネットワークとインターネット」→「プロキシ」を開き、「プロキシサーバーを使う」がオフになっているか確認します。企業ネットワークなど、プロキシが必要な環境でない限り、この設定はオフにしておきます。
インターネット接続のトラブルシューティングは、簡単な対処法から順番に試していくことが重要です。まずルーターの再起動、次にパソコンの再起動、ドライバーの更新、ネットワーク設定のリセットという順序で進めます。
いきなり複雑な設定変更を行うと、問題が悪化したり、何が効果的だったのかわからなくなったりします。
また、設定を変更する際は、変更前の状態をスクリーンショットで保存しておくと、元に戻したい時に便利です。
多くのネットワーク問題は、基本的な対処(再起動、ドライバー更新、設定リセット)で解決します。
それでも解決しない場合は、ハードウェアの故障やプロバイダー側の問題も考えられるため、プロバイダーのサポートに連絡することも検討しましょう。
まとめ Windows11パソコンでインターネット接続できない原因と解決法
Windows11パソコンでインターネットに接続できない時の対処法をまとめると
・基本確認:他のデバイスで接続できるか確認(問題の切り分け)、機内モードがオフか確認、Wi-Fi物理スイッチがオンか確認、ネットワークアイコンの状態確認(地球儀・×マーク・!マーク)
・ルーター・モデム対処:電源を30秒以上切って再起動、モデム→ルーター→パソコンの順に起動、ファームウェア更新確認、LANケーブルとポート確認(有線の場合)
・ドライバー対処:デバイスマネージャーでネットワークアダプター確認、警告マークがあればドライバー更新、Windows11対応ドライバーをメーカーサイトから入手、ドライバーアンインストール→再インストール
・ネットワーク設定:設定→ネットワークとインターネット→ネットワークのリセット、コマンドプロンプトで「ipconfig /release」「ipconfig /flushdns」「ipconfig /renew」実行、IP割り当てとDNSが自動(DHCP)になっているか確認
・詳細設定:IPアドレスが169.254.x.xの場合はDHCP取得失敗、GoogleパブリックDNS(8.8.8.8)に変更を試す、セキュリティソフト・ファイアウォール一時無効化で確認、プロキシ設定がオフか確認
インターネット接続のトラブルは、ルーター再起動・ドライバー更新・ネットワーク設定リセットの3つで大半が解決します。
まず他のデバイスで接続できるか確認して問題を切り分け、ルーター再起動を試し、それでも改善しない場合はドライバー更新とネットワーク設定リセットを実行します。
Windows11特有の問題として、アップグレード後のドライバー互換性やネットワークプロファイル設定があるため、これらを重点的に確認することが重要です。
段階的に対処法を試し、各ステップで改善したかどうか確認しながら進めることで、確実に問題を解決できるでしょう!