事務職に興味があるけれど、パソコンがほとんど使えない状態で不安を感じている方は少なくありません。
求人情報を見ると「Word・Excel基本操作可能な方」「PC基本操作ができる方」といった条件が並んでおり、パソコンができない未経験者には高いハードルに感じられてしまいます。
タイピングもおぼつかない、Excelって何をするソフトなのかよくわからない、ファイルの保存場所がわからなくなる、そんな状態では事務職への応募をためらってしまうのも無理はありません。
しかし実際のところ、事務職で求められるパソコンスキルは思っているほど高度なものではなく、基本的な操作を習得すれば十分に仕事をこなせる場合がほとんどです。
最初は誰でも初心者であり、適切な学習と練習を重ねることで、必ず事務職に必要なスキルは身につきます。
本記事では、パソコンがほとんど使えない未経験者が事務職で働けるようになるまでに必要な基本スキル、具体的な習得方法、練習のポイント、そして仕事を始める際の心構えまでを詳しく解説します。
これから事務職を目指す方、パソコンスキルに自信がない方は、ぜひ最後までお読みください。
ポイントは・事務職で最低限必要なのはタイピング・文書作成・表計算・メール送信の4つ
・無料のオンライン学習や練習サイトで基礎から学べる
・実際の仕事では丁寧に教えてもらえる職場も多く最初から完璧でなくても大丈夫
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
事務職で本当に必要なパソコンスキルとは
まずは事務職で実際に求められるパソコンスキルの実態を確認していきます。
最低限できれば仕事になる基本操作
事務職の求人で「パソコンスキル必須」と書かれていても、実際に最低限必要なのはタイピング、Word・Excelの基本操作、メール送受信の3つです。
タイピングについては、1分間に30文字程度入力できれば実務で困ることはありません。最初は遅くても、仕事をしながら自然と速くなっていきます。キーボードを見ながらでも正確に入力できれば問題なく、プロのように画面だけを見て高速入力する必要はありません。
Word操作では、文字入力、フォントサイズや色の変更、簡単な表の挿入、印刷設定ができれば十分です。複雑なレイアウトや差し込み印刷といった高度な機能は、必要になったときに調べながら覚えればよいでしょう。
Excel操作では、データ入力、簡単な計算式(足し算・引き算・掛け算・割り算)、セルのコピー&ペースト、並べ替えやフィルター機能が使えることが基本です。関数についても、最初はSUM関数(合計)だけ知っていれば実務の多くに対応できます。
事務職の求人でよく見る「Word・Excel基本操作」とは・Word:文字入力、書式設定(太字・色変更)、表挿入、印刷
・Excel:データ入力、簡単な計算式、コピー&ペースト、並べ替え
・その他:メール送受信、ファイルの保存と開く操作
メール操作については、件名と本文を書いて送信する、添付ファイルをつける、受信メールに返信するといった基本的な操作ができれば問題ありません。ビジネスメールの文面については、テンプレートを参考にしながら徐々に慣れていけば大丈夫です。
職場によって求められるレベルは大きく異なる
実際の事務職では、職種や業種によって必要なパソコンスキルのレベルに大きな差があります。
一般事務や受付事務では、定型的な文書作成やデータ入力が中心となるため、基本操作ができれば十分対応可能です。決まったフォーマットに沿って入力する作業が多く、難しい関数や複雑な操作を求められることはほとんどありません。
営業事務では、見積書や請求書の作成、顧客データの管理などが加わりますが、これらも会社独自のテンプレートやシステムが用意されていることが多く、基本操作の延長線上で対応できます。
経理事務になると、会計ソフトの操作が中心となり、ExcelよりもむしろSAPや弥生会計といった専用ソフトの使い方を覚える必要があります。これらは入社後に研修で教わることがほとんどです。
データ入力専門の職場では、タイピング速度と正確性が重視されますが、Word・Excelの高度な機能は必要ありません。むしろブラインドタッチの習得と入力精度の向上に集中すればよいでしょう。
| 事務職種 | 必要スキルレベル | 主な業務内容 |
|---|---|---|
| 一般事務 | 基本操作のみ | 文書作成、データ入力、ファイル整理、電話対応 |
| 営業事務 | 基本~やや応用 | 見積書・請求書作成、顧客管理、営業サポート |
| 経理事務 | 基本操作+専用ソフト | 会計ソフト入力、伝票処理、経費精算 |
| データ入力 | タイピング重視 | 各種データの入力、リスト作成、情報整理 |
できないことは入社後に教えてもらえる
多くの企業では、入社時に完璧なパソコンスキルを持っていることを期待しているわけではありません。
未経験者歓迎や研修制度ありと明記している求人では、基本的なマウス操作やキーボード入力ができる程度のレベルからスタートしても問題ないケースが大半です。入社後に先輩社員がマンツーマンで教えてくれたり、研修期間を設けて段階的にスキルを習得できる環境が整っています。
特に会社独自のシステムやフォーマットについては、入社前に知っている人はいないため、全員が入社後にゼロから学びます。むしろ基本的なパソコン操作ができていれば、会社のやり方を素直に吸収できる柔軟性の方が重視されることもあります。
ただし最低限の準備として、文字入力ができる、ファイルを保存して開けるといった本当に基礎的な操作は身につけておく必要があります。これらは独学でも比較的短期間で習得可能です。
事務職の採用担当者が見ているのは、現時点でのスキルレベルよりも、学ぶ意欲と成長の可能性です。面接で「パソコンは苦手ですが、現在独学で勉強中です」と前向きな姿勢を示すことで、未経験でも採用される可能性は十分にあります。
実際に「パソコンできない状態で入社したけれど、今では問題なく仕事をこなしている」という事務職の方は数多く存在します。
最初の一歩を踏み出す勇気と、継続して学ぶ姿勢があれば、事務職への道は開けているのです。
パソコン操作の基礎を無料で学ぶ方法
続いては具体的にどこで何を学べばよいのかを確認していきます。
タイピング練習サイトで指の動きを覚える
パソコンが使えるようになる第一歩は、キーボードでの文字入力に慣れることです。
タイピング練習には無料のウェブサイトが数多く公開されており、ゲーム感覚で楽しみながらスキルアップできます。寿司打、e-typing、タイピングクラブといったサイトでは、初心者向けの基礎練習から段階的にレベルアップできるカリキュラムが用意されています。
最初はホームポジション(基本の指の位置)を覚えることから始めます。左手の人差し指をFキー、右手の人差し指をJキーに置き、他の指も決められた位置に配置します。この基本姿勢を保ちながら、各指が担当するキーを正確に押す練習を繰り返します。
タイピング上達のコツ・最初は速度よりも正確性を重視する
・ホームポジションを必ず守る
・毎日10分でも継続して練習する
・キーボードを見ずに画面を見る癖をつける(最初は難しくても徐々に)
1週間毎日30分程度練習すれば、簡単な文章をゆっくり入力できるようになります。1ヶ月続ければ、実務で困らないレベルの入力速度に到達できるでしょう。完璧なブラインドタッチができなくても、キーの位置を覚えて入力ミスが減れば十分です。
YouTubeやオンライン学習サイトで基本操作を学ぶ
Word・Excelの基本操作は、YouTubeの無料動画や学習サイトで体系的に学べます。
パソコン教室に通わなくても、自宅で自分のペースで学習できる環境が整っています。金子晃之さんのYouTubeチャンネルや、PC Collegeといった初心者向けの解説動画では、画面を見ながら実際に操作を真似することで、自然とスキルが身につきます。
Wordの学習では、文書作成の基本、文字サイズやフォントの変更、太字や色の設定、箇条書きの作成、表の挿入、ページ設定と印刷といった順序で進めるとよいでしょう。各項目を実際に手を動かしながら練習することで、操作が体に染み込んでいきます。
Excelの学習では、セルへのデータ入力、数式の基本(足し算・引き算・掛け算・割り算)、SUM関数による合計計算、セルのコピーと貼り付け、オートフィル機能、並べ替えとフィルター機能の順に学習を進めます。
| 学習ツール | 特徴 | おすすめポイント |
|---|---|---|
| YouTube動画 | 無料、視覚的にわかりやすい | 何度でも見返せる、再生速度調整可能 |
| オンライン学習サイト | 体系的なカリキュラム | 段階的にスキルアップできる |
| 書籍・テキスト | 詳細な解説、手元で確認 | 自分のペースで読み進められる |
| 無料の練習ファイル | 実践的な練習 | 実務に近い形で学べる |
実際に手を動かして繰り返し練習する
動画を見ただけでは本当の意味でスキルは身につきません。必ず自分のパソコンで実際に操作を繰り返すことが上達の鍵です。
学習用の練習ファイルを作成して、同じ操作を何度も繰り返すことで、操作の流れが自然と体に染み込んでいきます。例えば架空の名簿を作成してみる、簡単な請求書のフォーマットを作ってみる、家計簿をExcelで管理してみるといった実践的な練習が効果的です。
失敗を恐れずに色々な機能を試してみることも重要です。間違って操作しても元に戻す機能(Ctrl+Z)があるため、安心して試行錯誤できます。むしろ失敗から学ぶことで、操作の理解が深まります。
毎日少しずつでも継続することが、確実なスキルアップにつながります。1日10分でも30日続ければ、かなりの操作が身につきます。週末にまとめて数時間勉強するよりも、毎日短時間でも触れる方が記憶の定着率は高くなります。
パソコンスキルの習得で大切なのは、完璧を目指さないことです。すべての機能を覚える必要はなく、まずは基本的な操作ができるようになることが目標です。
わからないことがあったときに調べられる力、つまり「検索力」を身につけることも重要なスキルの一つです。
「Excel 合計 関数」「Word 表 作り方」といったキーワードで検索すれば、ほとんどの疑問は解決できます。
この検索する習慣こそが、実務で最も役立つスキルと言えるかもしれません。
未経験から事務職デビューするための準備と心構え
最後に実際に仕事を始める際のポイントを確認していきます。
求人選びで確認すべきポイント
パソコンが苦手な未経験者が事務職を探す際は、求人情報の中で研修制度や教育体制についての記載を重点的に確認します。
「未経験歓迎」「丁寧に教えます」「研修制度あり」といった文言がある求人は、スキルが十分でない段階でも受け入れてくれる可能性が高いです。特に「イチから教えます」「先輩がサポート」といった表現がある場合、実際に教育に時間をかけてくれる職場である可能性が高いでしょう。
小規模な企業や個人事務所よりも、ある程度の規模がある企業の方が、研修制度が整っていることが多いです。ただし大企業でも即戦力を求める部署もあるため、応募前に電話で問い合わせて、未経験者でも応募可能か確認するのも一つの方法です。
派遣社員としてスタートする選択肢もあります。派遣会社によっては無料のパソコン研修を提供しているところもあり、スキルを身につけてから派遣先で働けるメリットがあります。
面接で伝えるべき前向きな姿勢
面接でパソコンスキルについて聞かれたときは、正直に現状を伝えつつ、学ぶ意欲をアピールすることが重要です。
「現在は基本的な操作を独学で勉強しており、毎日練習を続けています」「わからないことは調べながら確実に身につけていく自信があります」といった前向きな姿勢を示すことで、成長の可能性を評価してもらえます。
できないことを隠すのではなく、「Excelの関数はまだ十分に使えませんが、SUM関数とAVERAGE関数は練習しました」というように、具体的に何ができて何ができないかを明確に伝える誠実さも好印象です。
また「メモを取って確実に覚えていきます」「質問することを恐れずに積極的に学びます」といった仕事への取り組み姿勢を伝えることも効果的です。
面接で好印象を与える伝え方の例・「パソコンは初心者レベルですが、現在YouTubeを見ながら毎日練習しています」
・「入社までに基本操作をマスターできるよう努力します」
・「わからないことはすぐに質問し、メモを取って確実に覚えていきたいです」
・「丁寧に教えていただければ、必ず戦力になれると思います」
入社後の学習と成長のコツ
実際に仕事が始まったら、教わったことは必ずメモを取り、同じ質問を繰り返さないよう心がけます。
パソコン操作に関するメモは、スクリーンショットを撮って保存しておくと後から見返しやすくなります。Windows標準の「Snipping Tool」や「切り取り&スケッチ」機能を使えば、画面の必要な部分だけを簡単に保存できます。
最初は操作が遅くても、丁寧さと正確さを優先することが大切です。速さは自然と身についていきますが、雑な作業の癖がつくと修正するのが難しくなります。入力ミスを減らすために、必ず見直しをする習慣をつけましょう。
先輩や上司に質問するときは、まず自分で調べてから質問する姿勢が評価されます。ただし調べても分からないことを長時間悩み続けるのは非効率なので、15分程度調べて解決しなければ素直に質問する判断も必要です。
勤務時間外でも自主的に練習を続けることで、スキルアップのスピードは格段に上がります。自宅のパソコンで業務と同じような操作を練習したり、週末に学習動画を見たりする積極性が、早期の戦力化につながります。
| 成長のためのポイント | 具体的な行動 |
|---|---|
| メモを徹底する | 操作手順をスクショ保存、ノートに手順を書く |
| 見直しを習慣化 | 入力後は必ず確認、ミスを見つけたらその場で修正 |
| 質問の仕方を工夫 | 何を調べたか伝える、具体的に何がわからないか明確に |
| 自主学習を継続 | 帰宅後に復習、週末に関連スキルを学習 |
未経験から事務職に就いた多くの人が、最初の1〜3ヶ月が最も大変だったと振り返ります。しかしこの期間を乗り越えれば、基本的な業務は自然とこなせるようになり、仕事が楽しくなってきます。
最初は覚えることが多くて大変ですが、毎日少しずつできることが増えていく実感は大きなモチベーションになります。
半年後には「あの頃は何もできなかったな」と笑って振り返れる日が必ず来ます。
焦らず、確実に、一歩ずつ成長していく姿勢を大切にしてください。
まとめ パソコン事務未経験でパソコンできない人の始め方
パソコンが苦手な未経験者が事務職を目指す方法をまとめると
・事務職で必要な最低限のスキル:タイピング(1分30文字程度)、Word基本操作(文書作成・書式設定・印刷)、Excel基本操作(データ入力・簡単な計算式・並べ替え)、メール送受信の4つができれば十分スタート可能
・無料で学べる方法:タイピング練習サイト(寿司打・e-typing)で毎日10分練習、YouTubeの初心者向け動画で操作を学習、実際に手を動かして繰り返し練習することで1〜2ヶ月で基礎習得可能
・求人選びと面接:未経験歓迎・研修制度ありの求人を選ぶ、面接では正直に現状を伝えつつ学ぶ意欲を強調、できないことを隠さず前向きな姿勢を示す
・入社後の成長:教わったことを必ずメモ、丁寧さと正確さを優先、わからないことは調べてから質問、自主学習を継続することで早期戦力化
これらのポイントを押さえることで、パソコンがほとんど使えない状態からでも事務職デビューは十分可能です。
重要なのは完璧を目指さないことと、継続して学ぶ姿勢です。
最初の1〜3ヶ月が最も大変ですが、基本操作を身につければ後は実務の中で自然とスキルアップしていきます。
多くの企業が未経験者を受け入れており、丁寧に教育してくれる環境も整っています。
今日から少しずつタイピング練習を始めて、無料の学習動画を見ながら基本操作を学んでいけば、数ヶ月後には自信を持って事務職に応募できるレベルに到達できるでしょう。
パソコンができないことを理由に諦めるのではなく、一歩踏み出す勇気を持って、事務職への道を進んでいきましょう!