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熱伝導率式とは?計算方法や単位も!(フーリエの法則:熱伝導率の求め方:物質による違いなど)

熱伝導率式の基本と結論
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熱が金属板や壁、断熱材の内部をどのように移動するのかを考える際に欠かせないのが、熱伝導率式です。

建築の断熱設計、機械部品の放熱、電子機器の冷却、調理器具の選定など、幅広い分野で熱伝導率は判断材料になります。

数式を見ると難しく感じるかもしれませんが、熱の通りやすさと温度差、距離、面積の関係を整理すると理解しやすくなるでしょう。

この記事では、フーリエの法則を中心に、熱伝導率式の意味、計算方法、単位、物質ごとの特徴を順番に解説します。

熱伝導率式の基本と結論

熱伝導率式の基本と結論

それではまず、熱伝導率式の基本と計算で押さえるべき結論について解説していきます。

熱伝導率が示す熱の通しやすさ

熱伝導率とは、物質が熱をどれだけ伝えやすいかを表す物性値です。

一般に、熱伝導率が大きい物質ほど熱は速く移動し、小さい物質ほど熱が伝わりにくくなります。

たとえば銅やアルミニウムは熱伝導率が高く、鍋、ヒートシンク、熱交換器などに使われます。

一方で、空気、発泡樹脂、グラスウールは熱伝導率が低いため、断熱材として活用される素材です。

熱伝導率は材料固有の値であり、厚みそのものを表す数値ではありません。

厚みや面積を含めて実際の熱の流れを考える場合には、後述する熱流量や熱抵抗の考え方も必要になります。

フーリエの法則による熱伝導率式

定常状態で平らな材料を一方向に熱が通る場合、基本となる式はフーリエの法則です。

Q = λAΔT ÷ L

Qは熱流量、λは熱伝導率、Aは伝熱面積、ΔTは材料両面の温度差、Lは材料の厚みを示します。

この式から分かるように、熱流量は熱伝導率、面積、温度差に比例します。

反対に、材料が厚くなるほど熱は通りにくくなります。

つまり、熱を逃がしたい場面では熱伝導率が高い材料と広い面積が有利であり、熱を遮りたい場面では低い熱伝導率と十分な厚みが重要です。

計算時に押さえたい前提条件

熱伝導率式は便利ですが、すべての熱移動を一つの式だけで表せるわけではありません。

基本式は、材料内部を伝わる熱伝導を扱うものです。

空気の流れによる対流や、赤外線などによる放射が大きい環境では、それぞれの影響も加えて検討します。

また、材料の温度が場所ごとに変化している場合や、熱伝導率が温度によって大きく変わる場合には、単純な一定値としての計算では誤差が生じることがあります。

熱伝導率式の結論は、熱流量を求めるときに熱伝導率、面積、温度差を掛け、厚みで割ることです。

ただし、材料内部の熱伝導を対象にした定常計算である点を確認してから使いましょう。

フーリエの法則と計算方法

続いては、フーリエの法則を使った具体的な計算方法を確認していきます。

記号ごとの意味と単位

計算ミスを避けるには、各記号が何を表すのかを明確にすることが大切です。

特に、熱流量と熱量、熱伝導率と熱伝達率は混同しやすいため注意しましょう。

記号 名称 意味 主な単位
Q 熱流量 単位時間あたりに移動する熱 W
λ 熱伝導率 材料の熱の伝えやすさ W m K
A 伝熱面積 熱が通過する断面積
ΔT 温度差 高温側と低温側の温度差 K または ℃
L 厚み 熱が移動する距離 m

温度差については、差を扱うためKと℃は数値として同じ大きさで計算できます。

厚みをmmのまま代入すると結果が大きくずれるため、必ずmへ換算してください。

熱流量を求める計算例

熱伝導率が0.50 W m Kの板材を考えてみましょう。

面積を2 m²、厚みを0.10 m、両面の温度差を20 Kとします。

Q = 0.50 × 2 × 20 ÷ 0.10

Q = 200 W

この場合、板材を通じて1秒あたり200 Jの熱が移動することになります。

WはJ sと同じ意味なので、200 Wという結果は毎秒200 Jの熱エネルギーが流れる状態です。

温度差が2倍になれば熱流量も2倍になり、厚みを2倍にすれば熱流量は半分になります。

熱伝導率を逆算する方法

測定結果から材料の熱伝導率を求めたいときは、式をλについて整理します。

λ = QL ÷ AΔT

測定した熱流量、厚み、面積、温度差を同じ単位系で代入します。

実験では、試料の端部から熱が逃げる影響や、表面と空気の間で発生する熱伝達の影響を小さくする工夫が必要です。

試料の内部だけを通る熱として正確に測定できなければ、見かけの熱伝導率が本来の値から外れる場合があります。

熱伝導率を逆算するときは、熱流量だけでなく、試料の厚み、実際の伝熱面積、両面温度差を正確にそろえることが重要です。

熱伝導率の単位と換算

続いては、熱伝導率の単位と実務で迷いやすい換算の考え方を確認していきます。

SI単位であるW m Kの読み方

熱伝導率の国際単位系はW m Kです。

一般には、ワット毎メートル毎ケルビンと読みます。

これは、厚み1 mの材料に1 Kの温度差があり、面積が1 m²であるときに、どれほどの熱流量が生じるかを示す単位です。

分母にmとKが含まれるため、厚みと温度差の条件をそろえて比較するための値だと理解するとよいでしょう。

単位のW m Kは、材料単体の熱の通しやすさを示す指標です。

W m² Kとの違い

熱伝導率と似た単位に、W m² Kがあります。

こちらは熱貫流率や熱伝達率で使われることが多く、熱伝導率とは別の値です。

熱伝導率は材料そのものの性質を表します。

一方、熱貫流率は壁、窓、空気層などを含めた部材全体を通る熱の移動しやすさを表す値です。

名称 主な単位 対象 数値が大きい場合
熱伝導率 W m K 材料そのもの 熱を伝えやすい
熱伝達率 W m² K 表面と流体の間 熱の受け渡しが速い
熱貫流率 W m² K 壁や窓などの部材 熱が通りやすい
熱抵抗 m² K W 材料や部材 熱を通しにくい

mmやcmをmへ直す注意点

建築材料や金属板の厚みはmmで表記されることが多いでしょう。

しかし、熱伝導率式へ代入する厚みLはmでそろえる必要があります。

10 mmは0.010 m、50 mmは0.050 m、100 mmは0.100 mです。

たとえば50 mmを50 mとして扱ってしまうと、熱流量は本来より極端に小さくなります。

逆に0.05 mを0.05 mmと誤認すれば、大きな設計上の誤差につながるおそれがあります。

面積もcm²ではなくm²へ統一することが、信頼できる計算結果への近道です。

物質による熱伝導率の違い

続いては、物質による熱伝導率の違いと、材料選びの考え方を確認していきます。

金属が熱を伝えやすい理由

金属は、内部にある自由電子が熱エネルギーを運びやすいため、熱伝導率が高い傾向にあります。

銅、銀、アルミニウムなどは、熱を素早く拡散させたい用途に向いています。

ただし、熱伝導率が高いからといって、すべての用途で最適とは限りません。

価格、重量、腐食への強さ、加工性、電気伝導性なども材料選定では重要になります。

たとえば放熱板では、軽さと加工のしやすさを考慮してアルミニウムが選ばれる場面も少なくありません。

断熱材が熱を伝えにくい理由

断熱材は、内部に小さな空気層を多く含む構造を持つものが多いです。

空気は比較的熱伝導率が低いため、動かない空気を細かく閉じ込めることで熱の移動を抑えます。

グラスウール、ロックウール、硬質ウレタンフォーム、発泡ポリスチレンなどは代表的な断熱材です。

ただし、材料が水分を含むと性能が変化することがあります。

断熱材は熱伝導率だけでなく、施工状態や湿気の影響まで含めて評価することが大切です。

代表的な材料の目安

熱伝導率は温度、密度、含水状態、成分などで変わるため、下表は一般的な目安として確認してください。

材料 熱伝導率の目安 特徴
約400 W m K 非常に熱を伝えやすい
アルミニウム 約230 W m K 軽量で放熱部品に使われやすい
約80 W m K 金属の中では中程度
ガラス 約1 W m K 金属より熱を伝えにくい
約0.6 W m K 液体としては比較的高め
木材 約0.1から0.2 W m K 繊維方向や含水率で変化する
空気 約0.025 W m K 静止空気は断熱に役立つ
発泡樹脂 約0.02から0.04 W m K 断熱材として用いられる

熱を逃がす設計では銅やアルミニウムのような高熱伝導率材料が有効です。

熱を遮る設計では、低熱伝導率材料を厚く使い、隙間を減らすことが基本になります。

熱抵抗と熱貫流率の考え方

続いては、熱伝導率式と合わせて理解したい熱抵抗と熱貫流率を確認していきます。

熱抵抗による厚みの評価

断熱性能を考えるときは、熱伝導率だけでなく熱抵抗Rを使うと比較しやすくなります。

R = L ÷ λ

Rは熱抵抗、Lは厚み、λは熱伝導率です。

熱抵抗が大きいほど、熱は通りにくくなります。

同じ材料なら厚いほど熱抵抗は大きくなり、同じ厚みなら熱伝導率が低い材料ほど熱抵抗は大きくなります。

断熱材の厚みを検討する場面では、熱伝導率の小ささだけでなく熱抵抗の大きさを見ると判断しやすいでしょう。

複数の材料が重なる場合

壁や配管の断熱構造では、材料が一層だけとは限りません。

石こうボード、断熱材、構造材、外装材のように、複数の層を熱が通過する場合があります。

このときは、各層の熱抵抗を求めて足し合わせます。

R合計 = R一層目 + R二層目 + R三層目

各層の熱抵抗を合計すると、全体としての熱の通りにくさを求められます。

層の順番が変わっても、単純な一次元の定常熱伝導では熱抵抗の合計値は同じです。

ただし結露の発生位置や表面温度を考えるときは、材料の配置順序が重要になります。

熱橋と施工上の注意点

断熱材を十分に入れても、金属部材やコンクリート部分が連続していると、そこから熱が逃げやすくなります。

このような熱が集中して通る部分は熱橋と呼ばれます。

熱橋があると、計算上の断熱性能より実際の性能が下がることがあります。

室内側の表面温度が下がれば、結露やカビの原因になる可能性もあるでしょう。

熱伝導率式は材料単体の比較に有効ですが、実際の構造では接合部や隙間も確認する必要があります。

熱伝導率式を使う場面

続いては、熱伝導率式が実際に使われる代表的な場面を確認していきます。

建築の断熱設計

住宅や工場、倉庫などでは、壁、屋根、床の熱損失を見積もるために熱伝導率式が使われます。

冬は室内の暖かさを逃がしにくくし、夏は外からの熱の流入を抑えることが目的です。

断熱材の種類や厚みを選ぶとき、熱伝導率は基礎となる数値になります。

窓や柱、配管貫通部などは熱橋になりやすいため、部材全体として確認することも欠かせません。

電子機器と放熱部品

スマートフォン、パソコン、LED照明、電源装置などでは、発熱部品の温度上昇を抑える設計が必要です。

半導体からヒートシンクへ熱を移す経路には、金属板、熱伝導シート、グリスなどが使われます。

このとき、材料の熱伝導率が高くても、接触面に隙間があると熱抵抗が増えてしまいます。

放熱設計では材料の熱伝導率と接触状態をセットで考えることがポイントです。

薄いグリスやシートは、表面の微細な凹凸を埋めて熱の通り道を整える役割を持ちます。

配管と熱交換器の設計

温水配管、蒸気配管、冷媒配管では、熱の損失や周囲への影響を見積もる必要があります。

熱を保ちたい配管には断熱材を巻き、外部へ熱を逃がしたい熱交換器には熱伝導率の高い材料を選びます。

配管は円筒形であるため、平板の式とは異なる円筒座標の計算が必要になる場合もあります。

それでも、熱伝導率が高いほど熱が通りやすく、厚みが増えるほど熱が通りにくいという基本関係は変わりません。

熱伝導率式は、断熱、放熱、保温のいずれにも活用できます。

目的が熱を通すことなのか、熱を止めることなのかを最初に決めると、材料と厚みを選びやすくなります。

熱伝導率式のまとめ

熱伝導率式は、材料を通って移動する熱の量を計算するための基本式です。

フーリエの法則では、熱流量は熱伝導率、伝熱面積、温度差に比例し、材料の厚みに反比例します。

熱伝導率の単位はW m Kであり、材料そのものの熱の伝えやすさを示します。

金属は熱を伝えやすく、空気や発泡系の断熱材は熱を伝えにくいという特徴を押さえると、材料選びの基礎になります。

計算では、厚みをmに換算し、面積や温度差の単位をそろえることが重要です。

さらに実際の設計では、熱抵抗、複数の材料層、表面熱伝達、熱橋、湿気の影響まで検討すると、より現実に近い評価につながるでしょう。