倍数は、算数の計算や分数の学習につながる大切な考え方です。
「何年生で習うのか」「九九が分かれば理解できるのか」と気になる保護者の方も多いでしょう。
小学校では、かけ算の基礎を積み重ねたうえで、主に小学5年生で倍数と約数を学びます。
公倍数や最小公倍数は、通分、時間の周期、生活の中の繰り返しなどにも結び付く内容です。
この記事では、倍数を習う学年と学習内容を中心に、子どもに説明するときのポイントまで分かりやすく整理します。
倍数を習う学年と学習指導要領

それではまず、倍数を何年生で習うのかについて解説していきます。
主な学習時期は小学5年生
倍数と約数は、一般的に小学5年生の算数で本格的に学習する内容です。
小学校学習指導要領では、整数の性質に目を向け、倍数や約数を用いて考える力を育てることが重視されています。
子どもにとっては新しい用語が増える単元ですが、土台になるのはすでに学んだかけ算です。
たとえば、3を1倍すると3、2倍すると6、3倍すると9になります。
このように、ある数に整数をかけてできる数を見つける経験が、倍数の理解へとつながります。
小学5年生では、単に答えを出すだけでなく、数の並び方や割り切れる関係を自分で説明する場面も増えていきます。
倍数は小学5年生で学ぶ内容ですが、理解の根っこには小学2年生から学んできた九九とかけ算があります。
九九を暗記しただけで終わらせず、何倍かを考える感覚を持つことが大切です。
小学2年生から4年生までのつながり
倍数という言葉を正式に使う前にも、子どもは関連する考え方に何度も触れています。
小学2年生では九九を学び、同じ数ずつ増える数の並びを扱います。
小学3年生や小学4年生では、わり算、筆算、概数、分数などを学び、数の関係を見る機会が広がります。
たとえば、12個のお菓子を3人に同じ数ずつ分けられることは、12が3で割り切れるという事実です。
この経験は、後に12が3の倍数であり、3が12の約数でもあると考えるための準備になります。
低学年の段階で「2ずつ増える」「3人ずつに分けられる」といった言葉に親しんでいると、5年生で用語が出てきても受け止めやすくなるでしょう。
中学校の素因数分解につながる位置付け
小学5年生の倍数と約数は、小学校だけで完結する知識ではありません。
中学校では素数、素因数分解、最大公約数、最小公倍数をより体系的に扱います。
そのため小学校では、複雑な計算技術を急いで身に付けるよりも、数の関係を図や式で確かめることが重要です。
「12は3の何倍か」「18と24に共通する倍数は何か」といった問いに対し、九九表や数直線を使って考えられれば十分な土台になります。
倍数は暗記中心の単元ではなく、数の見方を広げる単元と捉えると、学習の目的が見えやすくなります。
倍数と約数の基本用語
続いては、倍数と約数の基本用語を確認していきます。
倍数の意味
ある整数に1、2、3のような整数をかけてできる数を、その整数の倍数といいます。
たとえば4の倍数は、4、8、12、16、20のように続きます。
4に1をかけて4、4に2をかけて8、4に3をかけて12となるためです。
倍数はどこまでも続く点が特徴です。
4の倍数をすべて書くことはできませんが、規則に従って次々に見つけられます。
4の倍数の例です。
4×1=4
4×2=8
4×3=12
4×4=16
4、8、12、16はすべて4の倍数です。
「4の倍数は4を何回か足してできる数」と説明する方法もあります。
4、8、12、16は、4ずつ増えているため、かけ算と足し算の両方から確かめられるでしょう。
約数の意味
ある整数を割り切ることができる整数を、その数の約数といいます。
たとえば12を割り切れる数は1、2、3、4、6、12です。
これらはすべて12の約数になります。
約数は倍数と違い、決まった数の範囲に収まります。
12より大きい整数で12を割り切ることはできないためです。
倍数と約数は反対の見方をしているようで、実際には深くつながっています。
12は3の倍数であり、3は12の約数です。
| 見方 | 12と3の関係 | 考え方 |
|---|---|---|
| 倍数 | 12は3の倍数 | 3に4をかけると12になる |
| 約数 | 3は12の約数 | 12を3で割ると余りが出ない |
倍数と約数を混同しない考え方
倍数と約数を取り違える子どもは少なくありません。
その場合は、どちらの数が大きくなりやすいかに注目すると整理しやすくなります。
3の倍数には3、6、9、12のように大きな数が並びます。
一方で12の約数は、12を分けられる数だけなので、1から12までの中に限られます。
小さい数をもとに増えていくのが倍数、大きい数を分けられるのが約数というイメージが役立ちます。
ただし、言葉だけで覚えようとすると混乱しやすいため、必ずかけ算やわり算の式とセットで確認することをおすすめします。
公倍数と最小公倍数の考え方
続いては、公倍数と最小公倍数の考え方を確認していきます。
公倍数の意味
二つ以上の整数に共通する倍数を、公倍数といいます。
たとえば2の倍数は2、4、6、8、10、12と続き、3の倍数は3、6、9、12、15と続きます。
両方に共通している6、12、18などが、2と3の公倍数です。
公倍数も倍数と同じく、無限に続きます。
最初の一つが見つかれば、その数の2倍、3倍も共通する倍数になるためです。
| 2の倍数 | 3の倍数 | 共通する数 |
|---|---|---|
| 2、4、6、8、10、12、14、16、18 | 3、6、9、12、15、18 | 6、12、18 |
最初は九九表や数直線に印を付けると、共通する位置を視覚的に見つけやすくなります。
数を機械的に並べるだけでなく、「どちらのグループにも入っている数」を探す感覚を大切にするとよいでしょう。
最小公倍数の意味
公倍数のうち、0を除いて最も小さい数を最小公倍数といいます。
2と3の公倍数は6、12、18と続きますが、一番小さい数は6です。
したがって、2と3の最小公倍数は6になります。
最小公倍数は公倍数の中で最初に出会う共通の数と考えると、意味をつかみやすくなります。
分数の通分では、複数の分母を同じ数にそろえる必要があります。
そのときに最小公倍数を使うと、できるだけ小さい分母で計算できるため便利です。
4と6の最小公倍数を考える例です。
4の倍数は4、8、12、16、20、24です。
6の倍数は6、12、18、24です。
最初に共通する12が、4と6の最小公倍数です。
生活場面で見つける公倍数
公倍数は、日常生活にある繰り返しの場面でも使えます。
たとえば、赤いランプが4秒ごと、青いランプが6秒ごとに光るとします。
二つのランプが次に同時に光るのは、4と6の最小公倍数である12秒後です。
バスの発車間隔、運動会の行進、周期的なイベントなども、同じ考え方で扱える場合があります。
このような問題では、何を求めるのかを丁寧に読むことが必要です。
「初めて同時になる時刻」なら最小公倍数、「何回か同時になる時刻も含める」なら公倍数を考えます。
公倍数の文章題では、二つの数をただ掛け合わせる前に、共通する倍数がないかを確かめましょう。
4と6では4×6=24ですが、最小公倍数は12です。
最小公倍数と最大公約数の求め方
続いては、最小公倍数と最大公約数の求め方を確認していきます。
倍数を書き並べる方法
小学校で最初に取り組みやすい方法は、それぞれの倍数を順に書き並べる方法です。
たとえば6と8の最小公倍数を求めるなら、6、12、18、24と書き、8、16、24と書きます。
最初に共通した24が答えです。
この方法は手順が見えやすく、最小公倍数の意味を理解するのに向いています。
一方で数が大きくなると、書く量が増えて見落としも起こりやすくなります。
慣れてきたら九九や数の特徴を使い、効率よく見つける工夫へ進むとよいでしょう。
約数を書き出す方法
最大公約数は、二つ以上の数に共通する約数のうち最も大きい数です。
たとえば18の約数は1、2、3、6、9、18で、24の約数は1、2、3、4、6、8、12、24です。
共通する約数は1、2、3、6となるため、最大公約数は6です。
最大公約数は、物をできるだけ大きな同じ組に分ける問題でよく使われます。
18個の赤い折り紙と24個の青い折り紙を、余りなく同じ組数に分けるときなどが代表例です。
18と24の最大公約数を求める例です。
18の約数は1、2、3、6、9、18です。
24の約数は1、2、3、4、6、8、12、24です。
共通する約数のうち最大の数は6です。
九九表と分解を活用する方法
最小公倍数や最大公約数を求めるとき、九九表は非常に有効な補助になります。
6と8なら、6の段と8の段に共通して現れる24を探せます。
また、数を掛け算の形に分けて考える方法もあります。
12は2×2×3、18は2×3×3と見られます。
小学校では必ずしも素因数分解として扱わなくても、共通するかけ算の部品に注目する考え方は理解の助けになります。
求め方を一つに固定せず、数の大きさや問題に合う方法を選ぶことが、算数の力を伸ばすポイントです。
小学5年生でつまずきやすいポイント
続いては、小学5年生でつまずきやすいポイントを確認していきます。
0と1の扱い
0と1は、倍数と約数を学ぶときに混乱しやすい数です。
0はどの整数の倍数とも考えられますが、最小公倍数を考える際には通常0を除きます。
最小公倍数が0になってしまうと、分数の通分や周期の問題で役立つ最も小さい正の数を表せなくなるためです。
また、1はどの整数の約数でもあります。
しかし1の倍数は1、2、3、4とすべての整数になるため、特別な性質を持つ数として意識すると整理しやすいでしょう。
最小公倍数を答える問題では、0ではなく正の整数の中で最も小さい共通の倍数を選びます。
迷ったときは、問題で使う場面を思い浮かべると判断しやすくなります。
倍数の順番と共通の見落とし
倍数を書き出す問題では、途中の数を飛ばしてしまうことがあります。
たとえば5の倍数を5、10、20、25と書くと、15を忘れているため正しい並びになりません。
かける数を1、2、3と順番に増やすか、同じ数を繰り返し足す方法で確かめると防げます。
公倍数では、最初に見つけた共通の数だけを書いて終えるケースもあります。
公倍数は複数あること、最小公倍数はその中の最小の一つであることを区別しましょう。
公倍数と最小公倍数は同じ意味ではありません。
文章題での選び分け
文章題では、最大公約数と最小公倍数のどちらを使うのかが難所になります。
同じ大きさに分ける、余りなく配る、できるだけ大きく切り分けるという場面では、最大公約数を考えることが多いでしょう。
一方で、同時に起こる、同じ時刻にそろう、分母をそろえるという場面では、最小公倍数が関係します。
言葉だけで判断するのではなく、具体的な絵や表にしてみることが有効です。
問題文の数値にすぐ計算記号を付けるのではなく、何が共通で何を最小または最大にしたいのかを考える習慣が求められます。
答えの大きさを予想してから計算すると、計算ミスにも気付きやすくなります。
家庭学習で身に付ける工夫
続いては、家庭学習で身に付ける工夫を確認していきます。
九九と数直線の活用
家庭で倍数を学ぶときは、九九を問題集の答えとしてだけ使わないことが大切です。
「7の段に出てくる数を言ってみよう」「6ずつ数えると次は何かな」といった短いやり取りでも、倍数の感覚は育ちます。
紙に0から30程度までの数直線を書き、2の倍数に丸、3の倍数に三角を付ける活動もおすすめです。
6、12、18のように印が重なる数を見ることで、公倍数が目で分かるようになります。
見える形にする学習は、言葉の理解を支える強い味方です。
日常の数を使った会話
倍数は、特別な教材がなくても日常の数で練習できます。
12個入りのお菓子を2人、3人、4人、6人で分ける話は、約数の理解につながります。
2日ごとの習い事と3日ごとの予定が次に重なる日を考える遊びは、最小公倍数の練習になります。
大切なのは、正解を急がせることではありません。
「どうしてそう思ったの」「ほかの分け方もあるかな」と聞くことで、子どもは自分の考えを言葉にできます。
説明する経験を重ねると、算数の用語も記憶に残りやすくなるでしょう。
テスト前に確認したい学習項目
テスト前には、用語、計算、文章題を分けて確認すると効率的です。
まず倍数と約数の意味を説明できるかを確かめます。
次に、二つの数の公倍数、最小公倍数、共通の約数、最大公約数を求める練習をします。
最後に、文章題でどちらの考え方を使うのかを見分ける問題に取り組みましょう。
| 確認項目 | 家庭での問いかけ例 | 目標 |
|---|---|---|
| 倍数 | 8の倍数を三つ言えるかな | かけ算で説明できる |
| 約数 | 20を余りなく分けられる数は何かな | わり算で確かめられる |
| 最小公倍数 | 3と4が最初にそろう数は何かな | 共通する倍数を見つけられる |
| 最大公約数 | 12と18を同じ数で分けるなら最大はいくつかな | 共通する約数を比べられる |
間違えた問題は答えだけを直すのではなく、どこで考え違いをしたかを確認することが重要です。
倍数の並び方、約数の見つけ方、問題文の意味のどこにつまずいたのかが分かれば、次の学習につながります。
倍数と約数の学習内容のまとめ
倍数と約数は主に小学5年生で学び、かけ算やわり算を数の性質として捉え直す単元です。
倍数はある数に整数をかけてできる数で、約数はある数を余りなく割れる数を指します。
二つの数に共通する倍数が公倍数で、その中で最も小さい正の数が最小公倍数です。
分数の通分や周期の問題では最小公倍数が活躍し、同じ数ずつ余りなく分ける場面では最大公約数が役立ちます。
九九、数直線、表、生活場面を使って考えると、抽象的に見える内容も理解しやすくなります。
小学5年生の倍数と約数は、中学校以降の数学にもつながる基礎です。
用語を覚えるだけでなく、なぜその数が共通するのかを説明できるように、少しずつ学習を進めていきましょう。