履歴書や職務経歴書、社内文書、メールなどで見かける「特筆すべき事項」という表現は、重要な情報を端的に伝えたい場面で役立ちます。
一方で、何を書けばよいのか、特記事項との違いは何か、英語ではどう表現するのかと迷う方も少なくありません。
この記事では、特筆すべき事項の意味と実践的な使い方を、履歴書やビジネス文書の例文を交えながら詳しく紹介します。
特筆すべき事項の意味と結論

それではまず特筆すべき事項の意味と、記載時に押さえたい結論について解説していきます。
言葉が持つ基本的な意味
特筆すべき事項とは、多くの情報の中でも、特に取り上げる価値がある事実や内容を指す言葉です。
「特筆」は特に筆記する、つまりわざわざ書き留めて伝えるほど重要であるという意味を持ちます。
そのため、単に目立つ内容ではなく、読み手の判断、理解、行動に良い影響を与える情報を選ぶことが大切です。
履歴書であれば資格、実績、語学力、希望条件などが候補になり、社内資料では例外的な事実や対応が必要な課題などが該当します。
「特筆すべき事項はありません」と記す場合もありますが、空欄を避けるためだけに使うのではなく、伝える情報が本当にないかを確認してから判断するとよいでしょう。
特筆すべき事項は、目立つ話題のことではありません。
読み手にとって重要で、通常の項目だけでは十分に伝わりにくい情報を補足するための記載欄です。
特記事項との違い
特筆すべき事項と似た表現に、特記事項があります。
特記事項は、通常とは異なる条件、注意点、補足すべき内容を幅広く示す言葉です。
対して特筆すべき事項には、特に評価できる点や注目すべき点という前向きなニュアンスが含まれやすい傾向があります。
ただし、実務上は両者がほぼ同じ意味で使われることも珍しくありません。
書類の見出しに既に「特記事項」とある場合には、その名称に合わせて内容を記載すれば問題ありません。
| 表現 | 主な意味 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 特筆すべき事項 | 特に取り上げる価値がある内容 | 実績、強み、重要な補足 |
| 特記事項 | 通常と異なる点や注意点 | 条件、事情、連絡事項 |
| 備考 | 補足として添える内容 | 書類全般、簡潔な注記 |
| 補足事項 | 本文を補う追加情報 | 説明不足を補いたい場面 |
記載で目指すべき状態
特筆すべき事項を書く目的は、自分を大きく見せることではありません。
読み手が知りたい情報を、過不足なく短時間で理解できる状態に整えることが目的です。
特に採用担当者や取引先は、多くの書類やメールを確認しています。
そこで、結論から書き、根拠となる数字や具体的な行動を添えると、内容の信頼性が高まります。
抽象的な自己評価だけで終わらせず、事実で裏付けることが基本です。
記載の基本形は、事実、成果、補足の順です。
例として「新規顧客向け提案を担当し、半年間で契約件数を前年同期比二十パーセント増加させました」とまとめる方法があります。
履歴書における記載内容
続いては履歴書における特筆すべき事項の考え方を確認していきます。
採用担当者に伝わりやすい情報
履歴書の特筆すべき事項には、応募職種との関係が深い内容を優先して記載します。
保有資格、専門スキル、受賞歴、継続的な学習、就業可能時期などは、採用判断に役立つ情報です。
たとえば経理職に応募するなら、簿記資格だけでなく、会計ソフトの使用経験や月次決算への関与なども伝えられます。
営業職であれば、担当顧客数、達成率、提案した商材の種類などを加えると、経験の深さが見えやすくなります。
応募先の業務とつながる実績を選ぶと、欄の価値が高まるでしょう。
事情を伝える必要がある場合
ブランク、転居予定、勤務時間の制約、連絡可能な時間帯など、選考に影響する事情を補足する場合もあります。
ただし、詳細を書きすぎると、かえって読み手の負担になることがあります。
必要な事実を簡潔に示し、面接で説明できる余地を残す書き方が安心です。
健康状態などの個人的な情報は、業務遂行に関係する範囲で慎重に扱いましょう。
記載の必要性に迷う場合は、採用後の勤務条件に影響するかどうかを基準に考える方法があります。
履歴書では、応募先に関係しない自慢話や私生活の情報は特筆すべき事項に向きません。
採用担当者が仕事ぶりを想像しやすくなる情報を優先してください。
履歴書で使える例文
資格を伝える場合は「日商簿記二級を取得し、前職では請求書処理および月次資料の作成を担当しました」と書けます。
語学力なら「英語でのメール対応と海外取引先とのオンライン会議に継続して従事しました」という形が自然です。
勤務開始時期については「現職の引継ぎ完了後、十月一日より勤務可能です」と端的に示せます。
未経験職種への応募では「独学で関連資格を取得し、現在も実務を想定した課題制作に取り組んでいます」と、学習の継続性を伝える方法もあります。
いずれも、誇張せず確認可能な事実を記載することが信頼につながります。
履歴書の例文です。
「前職では店舗責任者として五名の育成を担当し、業務手順の見直しにより月間の残業時間削減に取り組みました。」
ビジネス文書での使い方
続いてはビジネス文書やメールでの使い方を確認していきます。
報告書で伝える重要事項
報告書では、進捗の遅れ、予算の変動、品質に関わる問題、顧客からの重要な要望などを特筆すべき事項として整理できます。
本文の中に情報が埋もれてしまう場合でも、別途まとめることで、決裁者や関係者が優先順位を判断しやすくなります。
記載する際は、起きた事実、影響範囲、対応状況、今後の予定を順に示すと分かりやすい構成になります。
特に問題を扱う場合は、感情的な言葉を避け、客観的な表現を選ぶことが重要です。
事実と意見を分けて書くことで、報告の精度が上がります。
メールで使う場合の注意点
メールで「特筆すべき事項」と書くと、やや改まった印象になります。
役員への報告、契約に関する連絡、重要案件の共有などには適していますが、日常的な社内連絡では「補足」や「ご確認いただきたい点」のほうが読みやすい場合もあります。
件名だけで緊急性が伝わるよう工夫し、本文では最初に要点を示すことが望ましいでしょう。
相手がすぐに判断する必要があるときは、期限や依頼内容も明確にします。
| 場面 | 適した書き方 | 意識したい点 |
|---|---|---|
| 週次報告 | 特筆すべき事項として進捗を記載 | 影響と対応を併記 |
| 顧客対応 | 重要なご要望として共有 | 期限と担当を明確化 |
| 社内メール | 補足としてお知らせ | 硬すぎる表現を避ける |
| 役員報告 | 特筆すべき事項を整理 | 結論を先に示す |
取引先に失礼にならない表現
取引先向けの文章では、自社にとって重要という意味だけで「特筆すべき事項」を使わないよう注意が必要です。
相手に負担を求める内容なら、依頼事項や確認事項を明示し、背景を簡潔に添えます。
「本件について、特筆すべき事項がございましたのでご共有いたします」と前置きした後、箇条書きではなく短い段落で整理してもよいでしょう。
相手の判断を促す場合は「ご確認のうえ、ご意向をお知らせいただけますと幸いです」と結ぶと柔らかい印象になります。
重要度を伝えながらも、相手の立場への配慮を文章に含めることがビジネスマナーです。
例文と書き換え表現
続いては用途別の例文と、自然な書き換え表現を確認していきます。
前向きな実績を示す例文
「特筆すべき事項として、担当プロジェクトで納期短縮と品質改善の両立を実現しました。」
「特筆すべき実績は、新規顧客への提案施策を定着させ、継続受注につなげた点です。」
「特筆すべき点として、部門横断の調整役を担い、業務フローの統一に貢献しました。」
このように書く場合は、成果だけでなく、その成果に至るまでの行動を加えると説得力が増します。
数字を使える内容なら、件数、期間、割合などを示すと、読み手が成果をイメージしやすくなります。
注意点や例外を示す例文
「特筆すべき事項として、納品日が当初予定から変更となる見込みです。」
「本件には、通常の契約条件と異なる確認事項が含まれます。」
「特にご留意いただきたい点は、承認期限が今週末であることです。」
ネガティブな内容を伝えるときほど、原因を断定しすぎず、現時点で分かっている事実を整理しましょう。
対応策や次回報告の時期も添えると、相手の不安を和らげやすくなります。
報告書の例文です。
「特筆すべき事項として、部材調達の遅延が発生しています。代替品の選定を進めており、影響範囲は確認中です。」
言い換え一覧
特筆すべき事項は、文書の目的や相手との関係によって言い換えられます。
硬さの程度と伝えたい内容に合わせて選ぶと、文章が自然になります。
| 言い換え | ニュアンス | 使用例 |
|---|---|---|
| 重要事項 | 重要度を明確にする表現 | 重要事項をご確認ください |
| 留意事項 | 注意を促す表現 | ご利用時の留意事項 |
| 確認事項 | 相手の返答が必要な内容 | 確認事項をお送りします |
| 補足事項 | 説明を補う内容 | 補足事項をご案内します |
| 特にお伝えしたい点 | 柔らかく丁寧な表現 | 特にお伝えしたい点がございます |
| 注目すべき点 | 評価や分析に適した表現 | 注目すべき点は改善率です |
| 例外事項 | 通常と異なる条件を示す表現 | 例外事項をご確認ください |
| 申し送り事項 | 引継ぎで使いやすい表現 | 申し送り事項を共有します |
英語表現と海外向けの伝え方
続いては特筆すべき事項に近い英語表現と、海外向けに伝える際の考え方を確認していきます。
代表的な英語表現
英語では、特筆すべき事項を一語で完全に置き換えるより、文脈に応じて表現を選ぶことが一般的です。
重要な点を示すなら important points、注意事項なら points to note、特に目立つ内容なら noteworthy items が使えます。
報告書では key highlights、追加情報では additional notes、確認が必要な点では items for confirmation とすることもあります。
日本語の見出しを直訳するよりも、文書の目的に合った英語を選ぶ意識が必要です。
英語では簡潔さと具体性が特に重視されます。
メールでの自然な伝え方
「There are a few important points to note.」は、重要な注意点がいくつかあることを穏やかに伝える表現です。
「Please note the following items.」は、相手に確認してほしい事項を続けて示す場合に便利です。
「One noteworthy point is that the schedule has been updated.」と書けば、日程更新が特に重要な点であると示せます。
英語メールでは、長い前置きよりも、要点を先に置く構成が好まれる傾向があります。
英訳では、特筆すべき事項を常に noteworthy matters と固定しないことが大切です。
重要事項、注意点、補足、確認依頼のどれに近いかを見極めて表現を選びましょう。
履歴書や職務経歴書での英語
英語の履歴書では、日本の履歴書のように特筆すべき事項という独立欄を設けない場合があります。
実績は Professional Experience や Achievements の項目に、資格は Certifications に整理するほうが自然です。
特に伝えたい成果は、担当業務の下に短い文章で示すと読みやすくなります。
たとえば「Improved customer retention through a revised follow up process.」のように、行動と結果を端的に書けます。
海外向けの応募書類では、情報を適切な欄へ振り分けることが重要です。
記載時の注意点とまとめ
最後に特筆すべき事項を記載するときの注意点をまとめます。
特筆すべき事項とは、読み手にとって特に重要で、通常の記載だけでは伝わりにくい情報を補うための言葉です。
履歴書では応募先に関係する資格、経験、実績、勤務条件を選び、ビジネス文書では影響範囲や対応が必要な情報を整理します。
内容は抽象的に褒めるのではなく、事実、数字、具体的な行動で示すことがポイントです。
特記事項、備考、重要事項などへの言い換えも、相手と文書の目的に応じて使い分けましょう。
重要な情報を短く、正確に、相手が判断しやすい形で伝えることが、特筆すべき事項を活かすコツです。