倍数は、小学校5年生で学ぶ整数の基本的な考え方です。
算数の問題だけでなく、最小公倍数、通分、分数の計算、規則性を見つける問題にもつながるため、意味をきちんと理解しておくことが大切でしょう。
言葉だけでは難しく感じるかもしれませんが、倍数はある数に整数をかけてできる数と考えると整理しやすくなります。
本記事では、倍数の定義、例、見分け方、約数との違い、学校でよく出る問題まで、順番にわかりやすく解説します。
倍数の意味と基本ルール

それではまず、倍数の意味と基本ルールについて解説していきます。
ある数を整数倍してできる数
倍数とは、ある数に整数をかけてできる数のことです。
たとえば3に1、2、3、4といった整数を順番にかけると、3、6、9、12ができます。
このとき、3、6、9、12はすべて3の倍数です。
3×1=3
3×2=6
3×3=9
3×4=12
したがって、3、6、9、12は3の倍数です。
倍数を考えるときは、かける数が1、2、3のような整数であることに注目しましょう。
3に2.5をかけて7.5になっても、通常の小学校算数で7.5を3の倍数とはいいません。
元になる数も倍数に含まれる考え方
ある数に1をかけると、元の数そのものになります。
そのため、5は5の倍数であり、12は12の倍数でもあります。
初めて学ぶときには、倍数は大きくなる数だけだと思いやすいところです。
しかし、5×1=5なので、5は5の倍数に含まれます。
どの自然数も自分自身の倍数であると覚えると、問題で迷いにくくなるでしょう。
ゼロを含める場合の扱い
0については、授業や問題の条件によって扱いを確認する必要があります。
0は3×0、5×0、100×0のように表せるため、整数の考え方では多くの数の倍数と考えられます。
一方で、小学校の練習問題では、倍数を1倍、2倍、3倍と並べるため、0を省いて扱うことも少なくありません。
倍数を答える問題では、問題文に0を含めるかどうかの指定がないかを確認しましょう。
学校の基本問題では、正の整数の倍数として答える場面が多い傾向です。
まずは、元の数を1倍した数から順に並べる方法を身につけると理解しやすいでしょう。
倍数の具体例と並び方
続いては、倍数の具体例と並び方を確認していきます。
二の倍数と三の倍数
2の倍数には、2、4、6、8、10、12などがあります。
2ずつ増えていく数の並びと考えると、規則が見えやすくなります。
3の倍数には、3、6、9、12、15、18などがあります。
こちらは3ずつ増えていく並びです。
| 元の数 | かける整数 | できる倍数 |
|---|---|---|
| 2 | 1 | 2 |
| 2 | 2 | 4 |
| 2 | 3 | 6 |
| 3 | 1 | 3 |
| 3 | 2 | 6 |
| 3 | 3 | 9 |
6は2の倍数であり、同時に3の倍数でもあります。
このように複数の数の倍数になる数は、あとで学ぶ公倍数にも関係します。
五の倍数と十の倍数
5の倍数には、5、10、15、20、25などがあります。
一の位を見ると、5または0で終わるという共通点があります。
10の倍数は、10、20、30、40のように、一の位が必ず0になります。
計算をしなくても、数字の並びから判断できる場合があるのです。
一の位に注目する見分け方は、素早く答えを出すときに役立ちます。
35は5の倍数です。
一の位が5だからです。
70は10の倍数です。
一の位が0だからです。
大きい数でも変わらない倍数の考え方
倍数の考え方は、数が大きくなっても変わりません。
たとえば120は、12×10と表せるので12の倍数です。
また、120は3×40、5×24、10×12とも表せます。
つまり120は、3、5、10、12など多くの数の倍数です。
ある数が何の倍数かを調べるときは、割り算で余りが出ないかを確かめるとよいでしょう。
倍数の見分け方と計算方法
続いては、倍数の見分け方と計算方法を確認していきます。
割り算で確かめる方法
ある数が別の数の倍数かどうかは、割り算で判断できます。
割り切れて余りが0になるなら、割られる数は割る数の倍数です。
28÷7=4
余りが0なので、28は7の倍数です。
29÷7は余りが出るため、29は7の倍数ではありません。
この方法は、2の倍数や5の倍数のような規則を知らない場合にも使えます。
余りが0になるかどうかが、倍数を見分ける基本です。
二と五と十の倍数の判定
2の倍数は、一の位が0、2、4、6、8の偶数です。
5の倍数は、一の位が0または5の数になります。
10の倍数は、一の位が0の数です。
| 調べる倍数 | 見分けるポイント | 例 |
|---|---|---|
| 2の倍数 | 一の位が偶数 | 46、128、930 |
| 5の倍数 | 一の位が0または5 | 15、240、985 |
| 10の倍数 | 一の位が0 | 30、450、1200 |
一の位だけで判断できるため、筆算を使わなくても答えられる問題が多いでしょう。
ただし、見分け方を暗記するだけでなく、かけ算の結果から確かめる姿勢も大切です。
三と九の倍数の判定
3の倍数は、各位の数字を足した数が3の倍数になる数です。
たとえば123では、1と2と3を足すと6になります。
6は3の倍数なので、123も3の倍数です。
9の倍数も同じように、各位の和が9の倍数かどうかで調べられます。
たとえば279は、2と7と9を足すと18です。
18は9の倍数なので、279は9の倍数になります。
3の倍数を調べるときは、数字を全部足して3で割り切れるかを確認します。
9の倍数も同じ手順で、足した数が9で割り切れるかを見る方法です。
桁数が多い数でも使えるため、覚えておくと便利な判定法でしょう。
約数との違いと関係
続いては、約数との違いと関係を確認していきます。
割り切れる数を表す約数
約数とは、ある数を余りなく割り切れる数です。
たとえば12の約数は、1、2、3、4、6、12です。
12÷1、12÷2、12÷3、12÷4、12÷6、12÷12のすべてで余りが出ません。
倍数がかけ算をもとに広がっていく考え方なのに対し、約数は割り算で数を分ける考え方といえるでしょう。
倍数と約数は、かけ算と割り算でつながる関係です。
十二を例にした比較
12を使うと、倍数と約数の違いをはっきり比べられます。
| 分類 | 意味 | 12に関する例 |
|---|---|---|
| 12の倍数 | 12に整数をかけてできる数 | 12、24、36、48 |
| 12の約数 | 12を余りなく割れる数 | 1、2、3、4、6、12 |
12の倍数は、どこまでも続きます。
一方で、12の約数は決まった個数しかありません。
この違いは、問題を読むときの大きな手がかりになります。
二つの数における表現の読み方
8は4の倍数です。
同じ内容を別の見方でいうと、4は8の約数です。
この二つは、数の順番を入れ替えると意味が変わるため注意しましょう。
8が4で割り切れることから、8は4の倍数となります。
また4は8を割り切れる数なので、4は8の約数です。
大きいほうの数が小さいほうの数で割り切れるとき、大きい数は小さい数の倍数です。
同時に、小さい数は大きい数の約数になります。
文章題では、どちらが倍数でどちらが約数なのかを、割り算の式で確認すると安心です。
小学校五年生で学ぶ倍数の問題
続いては、小学校五年生で学ぶ倍数の問題を確認していきます。
倍数を順番に書く問題
もっとも基本的な問題は、ある数の倍数を小さい順に書く問題です。
たとえば7の倍数を五つ書くなら、7、14、21、28、35と答えます。
7に1、2、3、4、5をかければよいので、九九の延長として考えられるでしょう。
途中で数を飛ばさないためには、かける整数を順番に増やしていく方法がおすすめです。
元の数ずつ足していく方法でも、同じ答えを作れます。
共通する倍数を探す問題
二つの数に共通する倍数を、公倍数といいます。
たとえば4の倍数は4、8、12、16、20、24と続きます。
6の倍数は6、12、18、24、30と続く並びです。
両方にある12や24は、4と6の公倍数になります。
4の倍数は4、8、12、16、20、24
6の倍数は6、12、18、24、30
共通する12と24が公倍数です。
共通する倍数のうち、最も小さい正の数を最小公倍数と呼びます。
4と6では12が最小公倍数です。
文章題での倍数の使い方
倍数は、同じ間隔で起こるできごとを考える文章題でも使われます。
たとえば、4分ごとに鳴るベルと6分ごとに鳴るベルが同時に鳴ったとします。
次に同時に鳴るのは、4と6の最小公倍数である12分後です。
このような問題では、それぞれの倍数を書き出し、最初に重なる数を探します。
繰り返しの間隔が出てきたら、最小公倍数を使う場面かもしれません。
何を求める問題なのかを読み取り、倍数と約数を使い分けることが重要です。
倍数の理解を深めるポイント
続いては、倍数の理解を深めるポイントを確認していきます。
かけ算の式に戻る習慣
倍数の問題で迷ったら、かけ算の式に戻る習慣をつけましょう。
42が6の倍数かを知りたいときは、6×7=42と表せるかを考えます。
表せるなら42は6の倍数です。
この方法なら、判定の規則を忘れていても確かめられます。
九九や筆算を使って確認することは、理解を確かなものにしてくれるでしょう。
数字の規則を使う練習
一の位や各位の和に注目する練習をすると、倍数を素早く見分けられます。
たとえば684は一の位が4なので、2の倍数です。
さらに6と8と4を足すと18となるため、3の倍数でもあり、9の倍数でもあります。
一つの数が複数の数の倍数になることを確かめる練習は、数の見方を広げます。
計算結果だけでなく数字の特徴にも目を向けてみましょう。
間違えやすい表現の確認
倍数と約数では、数の順番を逆にしてしまう間違いがよくあります。
18は3の倍数ですが、3は18の倍数ではありません。
3は18の約数です。
また、倍数は必ず元の数より大きいという考え方も誤りです。
元の数に1をかけた数も倍数に含まれるため、18は18の倍数になります。
問題文を読んだら、どの数を何で割るのか、あるいは何に整数をかけるのかを落ち着いて考えることが大切です。
まとめ
倍数とは、ある数に整数をかけてできる数です。
たとえば4の倍数には、4、8、12、16、20があり、4ずつ増えていきます。
ある数が別の数の倍数かどうかは、割り算で余りが0になるかを調べると判断できます。
2、5、10の倍数は一の位から見分けられ、3と9の倍数は各位の数字の和で確認できます。
約数はある数を割り切れる数であり、倍数とは反対側から見た関係です。
倍数はかけ算、約数は割り算と考えると、意味を整理しやすくなるでしょう。
最小公倍数や分数の通分にもつながる内容なので、基本の例を何度か書き出して身につけてみてください。