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コンクリートのせん断強度とは?求め方や基準値も!(設計基準強度:せん断耐力:鉄筋コンクリートなど)

コンクリートのせん断強度の基本
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鉄筋コンクリート造の梁や壁、柱、床版を設計するとき、曲げ強度と並んで重要になるのがコンクリートのせん断強度です。

せん断破壊は変形があまり進まないまま急に起こる場合があり、安全性を確保するには、材料の性質だけでなく部材寸法、配筋、荷重条件をまとめて確認する必要があります。

この記事では、コンクリートのせん断強度の意味、せん断耐力の求め方、設計基準強度との関係、基準値を見る際の注意点を分かりやすく解説します。

コンクリートのせん断強度の基本

コンクリートのせん断強度の基本

それではまず、コンクリートのせん断強度について解説していきます。

せん断強度が示す抵抗力

コンクリートのせん断強度とは、部材にずれを起こそうとする力が作用したときに、内部で抵抗できる強さを指します。

例えば梁の両端を支え、その中央付近に荷重を載せると、梁の内部には曲げモーメントだけでなく、上下方向にずらそうとするせん断力も生じます。

このせん断力が大きくなり、コンクリートと鉄筋による抵抗の限界を超えると、斜め方向にひび割れが進展し、せん断破壊につながるおそれがあります。

せん断強度は、単にコンクリートそのものの強さだけを表す言葉ではなく、部材としてどこまでせん断力に耐えられるかを考える出発点です。

設計実務では、材料試験で得られる強度と、梁や壁として算定するせん断耐力を区別して扱います。

圧縮強度との違い

コンクリートで広く使われる設計基準強度は、主に圧縮に対する強さを基準にした数値です。

一方、せん断強度は圧縮強度よりかなり小さく、圧縮強度が高いからといって同じ割合でせん断に強くなるわけではありません。

コンクリートは圧縮には比較的強い材料ですが、引張力やひび割れには弱い特性を持ちます。

せん断力が作用する部材では、斜めひび割れの発生と広がりが耐力に大きく影響するため、圧縮試験の結果だけでは安全性を判断できません。

設計基準強度が大きいコンクリートでも、部材の有効せいが小さい場合、せん断スパンが短い場合、せん断補強筋が不足する場合には、必要なせん断耐力を確保できないことがあります。

せん断破壊の特徴

梁のせん断破壊では、支点付近から荷重作用点に向かうような斜めひび割れが目立つことがあります。

曲げ破壊では鉄筋が降伏し、比較的大きな変形を伴って破壊に近づくケースがありますが、せん断破壊は急激に進行しやすい点が特徴です。

そのため、一般的な鉄筋コンクリート設計では、曲げ耐力より先にせん断破壊が生じないように配慮します。

粘り強い破壊形態を確保するためには、せん断耐力に十分な余裕を持たせる考え方が重要でしょう。

せん断耐力を構成する要素

続いては、せん断耐力を構成する要素を確認していきます。

コンクリートが負担するせん断力

鉄筋コンクリート部材のせん断耐力は、まずコンクリート自身が負担する部分を考えます。

圧縮帯の働き、骨材のかみ合わせ、ひび割れ面の摩擦、主筋によるダボ作用など、複数の抵抗機構が関係します。

ひび割れがない状態では断面全体で抵抗できますが、ひび割れが発生した後は、ひび割れ面周辺の抵抗機構がより重要になります。

コンクリートの負担分は、設計基準強度、部材の有効せい、軸方向力、鉄筋比などの影響を受けます。

せん断耐力は一つの材料定数だけで決まるものではなく、部材条件によって変化する性能として理解することが大切です。

せん断補強筋が負担するせん断力

梁でよく用いられるスターラップやあばら筋は、せん断補強筋に分類されます。

斜めひび割れが発生すると、せん断補強筋はひび割れを横切る方向に働き、ひび割れの開きを抑えながらせん断力の一部を負担します。

補強筋の径、間隔、降伏強度、配置角度は、せん断補強効果に直接関係します。

補強筋を細かい間隔で適切に配置すると、ひび割れを分散させ、急激な耐力低下を抑えやすくなります。

概念的には、設計用せん断耐力はコンクリートが負担する分と、せん断補強筋が負担する分を合計して評価します。

せん断耐力はコンクリート負担分にせん断補強筋負担分を加えた値として扱われます。

ただし、実際の算定式には安全係数、適用範囲、上限値などがあり、単純な足し算だけで判断することはできません。

部材寸法とせん断スパン

せん断スパンとは、一般に集中荷重の位置と支点の距離を基にした、せん断力の伝わり方を評価するための長さです。

せん断スパンと有効せいの比率は、梁の破壊形態を考えるうえで重要な指標になります。

荷重位置が支点に近く、せん断スパンが短い場合は、アーチ機構による力の伝達が強くなり、通常の梁とは異なる挙動を示すことがあります。

反対に、部材が深い、あるいは有効せいが大きい場合には、寸法効果の影響を考慮すべき場面もあります。

同じ断面積でも、部材の形状と荷重位置が異なれば、評価すべきせん断耐力も変わります。

せん断強度と設計基準強度の関係

続いては、せん断強度と設計基準強度の関係を確認していきます。

設計基準強度の位置付け

設計基準強度は、コンクリートの品質や構造計算における基準となる圧縮強度です。

建築物や土木構造物では、用途、耐久性、施工条件、必要耐力に応じて設計基準強度を定めます。

せん断耐力の算定式でも設計基準強度を用いることが多いため、両者には密接な関係があります。

ただし、設計基準強度をそのまません断強度として扱うことはできません。

圧縮強度がせん断耐力に与える影響は、設計基準類で定められた係数や指数を通じて反映されます。

強度を高めた場合の注意点

高強度コンクリートを採用すると、圧縮耐力や剛性の向上が期待できる一方で、せん断に関する検討が簡単になるとは限りません。

高強度化により材料の性質が変化し、ひび割れ後の挙動や破壊時の変形性能に注意が必要となる場合があります。

また、強度の高いコンクリートほど、設計基準類でせん断補強筋量や耐力上限に関する条件が設けられていることがあります。

設計基準強度を上げる判断は、柱、梁、壁、基礎などの部材ごとに、曲げ、せん断、軸力、ひび割れ、施工性を合わせて検討することが必要です。

強度区分の選定は、せん断耐力だけを目的に決めるのではなく、構造全体のバランスで考えることが基本です。

設計用強度への換算

構造計算では、材料のばらつきや施工上の不確実性を考慮して、設計基準強度から設計用の強度を設定します。

許容応力度設計、終局強度設計、性能規定型の設計など、採用する設計法によって使用する数値や安全側の見込み方は異なります。

実験で得られた最大荷重をそのまま設計に使うのではなく、信頼性を確保するための係数や低減を反映する点が重要です。

算定時には、使用する基準書に定められた単位系を統一します。

強度をニュートン毎平方ミリメートルで扱うのか、断面寸法をミリメートルで扱うのかを途中で混在させないことが、計算ミスの防止につながります。

せん断耐力の求め方

続いては、せん断耐力の求め方を確認していきます。

設計せん断力の算出

せん断耐力を確認する前に、部材に作用する設計せん断力を求めます。

固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風荷重、地震荷重などを組み合わせ、対象断面に発生するせん断力を算出します。

梁では支点近傍でせん断力が大きくなりやすいため、危険断面の位置を基準に従って設定する必要があります。

壁や柱では、曲げモーメントとの組み合わせ、軸力、地震時の繰返し作用も検討対象となります。

せん断耐力の計算だけを正しく行っても、作用せん断力の設定が不適切なら安全性は確認できません。

コンクリート負担分の算定

コンクリートが負担するせん断耐力は、部材幅、有効せい、設計基準強度、引張鉄筋比などを用いて算定します。

一般に、有効せいは圧縮縁から引張主筋の重心までの距離であり、梁のせん断抵抗を評価するうえで重要な寸法です。

部材幅を大きくし、有効せいを確保すると、せん断抵抗に寄与する有効断面が増えます。

ただし、断面を大きくするだけでは配筋や定着、施工性との整合が取れないこともあるため、総合的な検討が求められます。

確認項目 せん断耐力への主な影響 確認時のポイント
設計基準強度 コンクリート負担分の基礎 適用基準の上限値も確認します
部材幅 抵抗断面の大きさ 開口部や欠損部に注意します
有効せい せん断抵抗機構に影響 主筋位置から正確に求めます
主筋比 ひび割れ後の抵抗に影響 必要な定着長さも確認します
軸方向力 ひび割れや圧縮帯に影響 柱と壁では特に重要です

補強筋負担分を加えた評価

せん断補強筋がある部材では、補強筋の断面積、配置間隔、降伏強度などから補強筋の負担分を算定します。

スターラップの間隔を大きくしすぎると、斜めひび割れが補強筋を十分に横切らず、期待した効果を得にくくなるおそれがあります。

このため、必要な補強筋量だけでなく、最大間隔や最小補強量に関する規定も確認します。

概念的な確認手順は、作用せん断力を求め、コンクリート負担分を算定し、必要に応じてせん断補強筋負担分を加え、最終的に設計用せん断耐力と比較する流れです。

算定結果に余裕がある場合でも、補強筋の定着、折曲げ形状、かぶり厚さ、施工誤差まで確認することが欠かせません。

基準値と設計基準類の確認

続いては、基準値と設計基準類の確認を進めていきます。

基準値を読む際の考え方

せん断強度やせん断耐力に関する基準値は、単独の数値だけを抜き出して使うものではありません。

対象が建築構造なのか、道路橋などの土木構造なのか、通常強度コンクリートなのか、高強度コンクリートなのかによって、適用する規定が変わります。

さらに、許容応力度設計用の値と終局状態を検討するための値では、意味合いが異なります。

基準値は、適用条件、部材種別、荷重状態、材料強度の範囲とセットで確認することが必要です。

鉄筋コンクリート梁の確認事項

鉄筋コンクリート梁では、曲げに必要な主筋量を確保したうえで、せん断に必要なあばら筋を配置します。

支点近傍はせん断力が大きくなりやすく、補強筋の配置密度を高めることがあります。

また、主筋の定着不足や折曲げ位置の不適切さは、せん断破壊に関係するため、配筋詳細図まで含めて確認する必要があります。

耐震設計が必要な建物では、地震時に想定される部材端部の大きなせん断力にも対応できるよう、保有耐力設計の考え方を取り入れる場合があります。

壁と柱での検討事項

耐力壁は地震や風による水平力を負担する主要部材であり、せん断耐力の評価が建物全体の安全性に直結します。

開口部の周辺では応力が集中しやすく、壁の有効断面や補強筋の配置を慎重に検討する必要があります。

柱では軸力とせん断力が同時に作用するため、軸圧縮力の大きさがせん断抵抗や靭性に与える影響を確認します。

壁、柱、梁のいずれでも、せん断耐力だけを局所的に満たすのではなく、接合部、定着部、開口補強部を含めた力の流れを連続して確認することが重要です。

構造計算書の数値と配筋図の内容に矛盾がないかを照合する作業が、実務では特に大切になります。

施工品質とひび割れ対策

続いては、施工品質とひび割れ対策を確認していきます。

配筋精度の重要性

設計上必要なせん断補強筋が図面に記載されていても、施工時に位置や間隔がずれれば、本来の性能を発揮しにくくなります。

あばら筋の本数、径、間隔、フック形状、主筋への定着状況を確認することが必要です。

鉄筋が過密になると、コンクリートの打込みや締固めが難しくなり、充填不良の原因になることもあります。

設計段階から施工性を見込み、必要に応じて断面寸法や配筋方法を調整する視点が求められます。

コンクリートの品質管理

コンクリートの強度を安定して確保するには、調合計画、受入検査、打込み、締固め、養生の各工程が重要です。

材料分離やジャンカ、コールドジョイントが生じると、設計で見込んだ断面性能を確保できないおそれがあります。

特に鉄筋が集中する梁端部や壁端部では、締固め不足を防ぐための施工計画が欠かせません。

せん断耐力は計算上の値だけで完成するものではなく、施工品質によって初めて構造性能として実現されます。

ひび割れの点検と補修

供用中のコンクリート部材で斜め方向のひび割れが確認された場合は、単なる乾燥収縮ひび割れと決め付けず、位置、方向、幅、進行性を調査します。

荷重条件の変化、漏水、鉄筋腐食、不同沈下、地震後の損傷なども合わせて確認すると、原因を判断しやすくなります。

補修方法は、ひび割れ注入、断面修復、繊維補強、鋼板補強などから、劣化状況と必要性能に応じて選定します。

ひび割れの幅だけで健全性を判断せず、ひび割れの方向、発生位置、荷重時の変化、周辺部材との関係を記録して、構造技術者による評価につなげることが重要です。

コンクリートのせん断強度のまとめ

コンクリートのせん断強度は、部材に生じるずれの力に対する抵抗を考えるための重要な性能です。

鉄筋コンクリート部材では、コンクリートが負担するせん断抵抗と、スターラップなどのせん断補強筋が負担する抵抗を組み合わせ、設計せん断力に対して安全性を確認します。

設計基準強度はせん断耐力の算定に関係しますが、圧縮強度だけでせん断の安全性を判断することはできません。

部材幅、有効せい、主筋比、せん断スパン、軸方向力、補強筋量、配筋詳細まで含めた検討が必要になります。

急激なせん断破壊を避け、粘り強い構造性能を確保することが、鉄筋コンクリート設計における大切な目的です。

適用する設計基準類の条件を確認し、構造計算と施工図、現場の品質管理を一貫させることで、信頼性の高いコンクリート構造を実現できるでしょう。