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【Excel】エクセルでエラーを一括で非表示・表示しない方法|エラー値を無視して見やすくするテクニック

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エクセルで数式を使っていると、#N/A、#REF!、#VALUE!、#DIV/0!といったエラー表示が出てしまうことがあります。

これらのエラーは、見た目が悪い、印刷時に目立つ、集計結果に影響する、資料としての体裁が整わないといった問題を引き起こします。

特にVLOOKUP関数やINDEX・MATCH関数を使った参照表、割り算を含む計算式、条件付きの集計表などでは、データが未入力の段階でエラーが表示されてしまい、作業中も見づらくなります。

Excelには、エラー表示を非表示にする複数の方法が用意されています。

IFERROR関数を使った数式での対処、条件付き書式による視覚的な非表示、エラーチェックオプションの設定まで、目的に応じて最適な手法を選択できるのです。

本記事では、エクセルでエラー値を一括で非表示にし、見やすい資料を作成する実践的な方法を詳しく解説します。

エラー表示を消して資料の体裁を整えたい方は、ぜひ最後までお読みください。

ポイントは

・IFERROR関数でエラーを空白や任意の値に変換

・条件付き書式でエラーを視覚的に非表示

・エラーチェックオプションで警告を無効化

です。

それでは詳しく見ていきましょう。

IFERROR関数でエラーを一括非表示にする基本

それではまずIFERROR関数を使ってエラーを一括非表示にする基本について解説していきます。

IFERROR関数の基本構文と使い方

エラーを非表示にする最も確実で推奨される方法が、IFERROR関数を使って数式自体にエラー処理を組み込む方法です。

この関数を使えば、エラーが発生した場合に代わりの値を表示できます。

IFERROR関数の基本的な構文は非常にシンプルです。第1引数に元の数式を指定し、第2引数にエラー時に表示したい値を指定します。

=IFERROR(元の数式, エラー時の表示)

例えば、VLOOKUP関数でエラーが出る場合を見てみましょう。通常の数式が「=VLOOKUP(A2,データ範囲,2,FALSE)」だとすると、これをIFERROR関数で囲みます。

=IFERROR(VLOOKUP(A2,データ範囲,2,FALSE), “”)

このように記述すると、VLOOKUP関数がエラーを返した場合、セルには空白(””)が表示されます。#N/Aエラーが表示される代わりに、何も表示されないため、見た目がすっきりします。

エラー時の表示は自由に設定できます。空白以外にも、「-」「データなし」「0」など、用途に応じた値を指定できます。

例えば「=IFERROR(A2/B2, 0)」とすれば、割り算でゼロ除算エラー(#DIV/0!)が発生した場合に、0を表示します。

元の数式 IFERROR適用後 エラー時の表示
=VLOOKUP(A2,範囲,2,0) =IFERROR(VLOOKUP(A2,範囲,2,0),””) 空白
=A2/B2 =IFERROR(A2/B2,0) 0
=SUMIF(範囲,条件,合計範囲) =IFERROR(SUMIF(範囲,条件,合計範囲),”該当なし”) 該当なし

集計表では「=IFERROR(SUMIF(範囲,条件,合計範囲), “該当なし”)」のように、エラー時に「該当なし」と表示することで、利用者にとって分かりやすい表現にできるでしょう。

既存の数式にIFERRORを一括追加する方法

すでに多数の数式が入力されているシートで、後からIFERROR関数を追加したい場合、置換機能を使って一括で追加できます。

ただし、この方法は数式の構造によっては注意が必要です。

最も安全な方法は、補助列を使う方法です。元の数式がある列の隣に新しい列を挿入し、そこにIFERROR関数を使った数式を作成します。

例えば、C列に「=VLOOKUP(A2,Sheet2!A:B,2,0)」という数式がある場合、D列に「=IFERROR(C2,””)」と入力します。

この数式を下方向にコピーすれば、C列のすべての結果に対してエラー処理が適用されます。動作を確認した後、D列をコピーしてC列に「値貼り付け」し、元の数式を置き換えることも可能です。

直接数式を置換する場合は、検索と置換機能を使います。ただし、すべての数式が同じ構造である必要があります。

例えば、すべてのセルに「=VLOOKUP(」で始まる数式がある場合、Ctrl + Hで検索と置換を開き、「検索する文字列」に「=VLOOKUP(」、「置換後の文字列」に「=IFERROR(VLOOKUP(」と入力します。

さらに、数式の最後に閉じ括弧とエラー処理を追加する必要があります。ただし、数式内に複数の閉じ括弧がある場合、正しく動作しない可能性があるため、慎重に行う必要があります。

複数種類のエラーに対応する応用例

IFERROR関数はすべてのエラーを同じように扱いますが、エラーの種類によって異なる対応をしたい場合もあります。

そのような場合は、IFNA関数やERROR.TYPE関数を組み合わせます。

特定のエラーだけを処理したい場合は、IFNA関数が便利です。IFNA関数は#N/Aエラーだけを処理し、他のエラーはそのまま表示します。

=IFNA(VLOOKUP(A2,データ範囲,2,FALSE), “”)

この数式では、#N/Aエラーの場合のみ空白が表示され、#REF!や#VALUE!などの他のエラーはそのまま表示されます。データが見つからない場合と、数式自体に問題がある場合を区別したいときに有効です。

関数 対象エラー 用途
IFERROR すべてのエラー エラー全般を非表示
IFNA #N/Aのみ 検索結果なしのみ処理
ISERROR + IF 条件指定可能 エラーの種類別処理

より細かく制御したい場合は、ERROR.TYPE関数を使います。この関数はエラーの種類を数値で返すため、エラーごとに異なる処理が可能です。

例えば、ゼロ除算エラーの場合のみ「計算不可」と表示し、他のエラーは空白にしたい場合は、IF関数とISERROR関数を組み合わせることで実現できます。

IFERROR関数を使う際は、エラーを完全に隠してしまうことに注意が必要です。

数式に本当に問題がある場合でも、エラーが表示されないため気付きにくくなります。

開発段階ではエラーを表示させておき、最終的な仕上げの段階でIFERROR関数を追加するという運用が推奨されます。

条件付き書式でエラーを視覚的に非表示

続いては条件付き書式を使ってエラーを視覚的に非表示にする方法を確認していきます。

条件付き書式の基本設定

数式自体は変更せずに、エラーが表示されているセルの文字色を背景色と同じにすることで、視覚的にエラーを非表示にできます。

この方法は、元の数式を保持したまま見た目だけを変更したい場合に便利です。

条件付き書式を設定するには、まずエラーを非表示にしたい範囲を選択します。次に「ホーム」タブの「条件付き書式」から「新しいルール」を選択します。

「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択し、数式欄に以下のように入力します。

=ISERROR(A1)

この数式は、セルがエラーの場合にTRUEを返します。範囲の最初のセル(ここではA1)を参照する形で記述します。絶対参照($記号)は使わず、相対参照で記述することで、選択範囲全体に適用されます。

次に「書式」ボタンをクリックして、フォントの色を白(または背景色と同じ色)に設定します。OKをクリックすると、エラーが表示されているセルの文字が白くなり、見えなくなります。

セルを選択すると数式バーには元の数式が表示されるため、必要に応じて確認や編集ができます。エラーが解消されれば、自動的に通常の色で表示されるようになります。

この方法の利点は、数式を変更しないため、後からエラーの原因を調査しやすい点です。デバッグ作業中は条件付き書式を一時的に解除すれば、すべてのエラーが再表示されます。

エラーの種類別に色分けする応用

すべてのエラーを一律に非表示にするのではなく、エラーの種類によって異なる書式を適用することもできます。

例えば、#N/Aは非表示にするが、#REF!は赤色で表示するといった設定が可能です。

まず#N/Aエラーだけを非表示にする条件付き書式を設定します。範囲を選択して「新しいルール」を作成し、数式欄に以下のように入力します。

=ISNA(A1)

ISNA関数は#N/Aエラーの場合のみTRUEを返します。書式で文字色を白に設定すれば、#N/Aだけが非表示になります。

次に#REF!エラーに対して別のルールを作成します。同じ範囲を選択して、再度「新しいルール」を作成し、エラーの種類を判定する数式を入力します。

書式で文字色を赤、太字に設定すれば、#REF!エラーだけが目立つようになります。

このように、エラーの重要度や種類に応じて、視覚的な扱いを変えることができます。

データが未入力で#N/Aが出るのは正常だが、#REF!や#VALUE!は数式の問題なので修正が必要、といった運用が可能になるでしょう。

印刷時だけエラーを非表示にする設定

画面上ではエラーを確認したいが、印刷時だけエラーを表示したくないという場合もあります。

この場合は、ページ設定のオプションを使います。

ページ設定からエラーの印刷方法を指定するには、「ページレイアウト」タブの右下にある小さな矢印をクリックして、「ページ設定」ダイアログを開きます。

「シート」タブを選択し、「セルのエラー」ドロップダウンメニューを確認します。

ここで「空白」を選択すると、印刷時にすべてのエラーが空白として印刷されます。画面上はエラーが表示されたままですが、印刷結果には表示されません。

他のオプションとして「–」を選択すると、エラーの代わりにダッシュ記号が印刷されます。「#N/A」を選択すると、すべてのエラーが#N/Aとして印刷されます。

この方法は、数式も条件付き書式も変更せずに、印刷結果だけをコントロールできるため、作業中の確認と最終成果物の見栄えを両立できます。

ただし、この設定はシート単位で行われるため、複数のシートがある場合は、それぞれのシートで設定が必要です。

条件付き書式でエラーを非表示にする場合、数式自体は変更されていないため、エラーの原因は残ったままです。

あくまで「見た目を整える」方法であり、エラー自体を解決する方法ではありません。

根本的な解決が必要な場合は、IFERROR関数を使うか、数式自体を修正することをおすすめします。

エラーチェックオプションで警告を無効化

続いてはエラーチェックオプションで警告を無効化する方法を確認していきます。

エラーチェックの基本設定

Excelには、潜在的なエラーを検出して警告する機能があり、セルの左上に緑色の三角マークが表示されます。

この警告マークを非表示にする設定が可能です。

エラーチェックの設定を変更するには、「ファイル」タブから「オプション」を開き、「数式」を選択します。

「エラーチェック」セクションに、「バックグラウンドでエラーチェックを行う」というチェックボックスがあります。

このチェックを外すと、エラーチェック機能が完全に無効になり、緑色の三角マークが表示されなくなります。ただし、これはExcel全体の設定なので、すべてのファイルに影響します。

特定の種類のエラーチェックだけを無効にしたい場合は、その下にある個別のチェックボックスで調整できます。

例えば「数値が文字列として保存されている」のチェックを外せば、文字列として保存された数値に対する警告だけが非表示になります。

「数式内のセルの省略」「データ範囲内に空白セルを含む数式」「数式の不整合」など、項目ごとに有効・無効を切り替えられます。

業務の性質上、特定の警告が不要な場合は、その項目だけを無効にすることで、必要な警告は残しつつ、不要な警告を消すことができるでしょう。

個別セルのエラー無視設定

Excel全体の設定を変更せず、特定のセルやエラーだけを無視することもできます。

緑色の三角マークが表示されているセルで、個別に無視設定を行えます。

エラーインジケーター(緑色の三角マーク)が表示されているセルを選択すると、セルの左側に黄色い菱形のアイコンが表示されます。

このアイコンをクリックすると、エラーに関する情報と対処オプションが表示されます。

メニューの中に「エラーを無視する」という項目があります。これをクリックすると、そのセルのエラーチェックが無視され、緑色の三角マークが消えます。

ただし、エラー自体は残っており、数式に問題がある場合は計算結果も正しくありません。

複数のセルのエラーを一括で無視したい場合は、対象セルを範囲選択した状態で、エラーインジケーターのアイコンから「エラーを無視する」を選択します。

選択範囲内のすべてのセルでエラーチェックが無視されます。

この方法は、意図的に文字列として数値を保存している場合や、特殊な数式構造を使っている場合など、エラー警告が誤検出されているケースで有効です。

エラーチェックのリセット方法

一度無視したエラーを再度チェックしたい場合、エラーチェックをリセットする必要があります。

Excelオプションから、無視したエラーをすべて復元できます。

エラーチェックをリセットするには、「ファイル」→「オプション」→「数式」を開きます。

「エラーチェック」セクションの「無視したエラーのリセット」ボタンをクリックします。

確認ダイアログが表示されたら、OKをクリックします。これにより、これまで無視設定をしたすべてのエラーが再度チェックされ、緑色の三角マークが表示されるようになります。

ただし、このリセットは開いているすべてのブックに対して実行されるため、他のファイルで無視していたエラーも復活します。

特定のファイルだけでリセットしたい場合は、該当ファイルだけを開いた状態でリセットを実行すると良いでしょう。

エラーチェック機能は、数式の誤りや潜在的な問題を発見するのに役立ちます。完全に無効化するのではなく、必要に応じて個別に無視設定をしたり、定期的にリセットして再チェックしたりする運用が推奨されます。

エラーチェック機能を無効にすると、本当に問題がある数式も検出されなくなります。

特に複雑な計算を行うファイルでは、エラーチェックを有効にしておくことで、思わぬミスを早期に発見できます。

見た目の問題だけであれば、条件付き書式やIFERROR関数を使う方が、安全性を保ちながらエラーを非表示にできるでしょう。

まとめ エクセルでエラーを一括非表示にする方法

エクセルでエラーを一括非表示にする方法をまとめると

・IFERROR関数:数式自体にエラー処理を組み込み、エラー時に空白や任意の値を表示

・IFNA関数:#N/Aエラーだけを処理し、他のエラーは表示したまま

・条件付き書式:数式を変更せず、エラーセルの文字色を背景色と同じにして視覚的に非表示

・印刷設定:画面上はエラーを表示したまま、印刷時だけ空白や記号に変換

・エラーチェックオプション:緑色の三角マークを非表示にする設定

これらの方法を状況に応じて使い分けることで、見やすい資料を効率的に作成できます。

特にIFERROR関数を使った方法は、数式として機能を保ちながらエラーを非表示にできるため、最も推奨される方法です。

ただし、エラーを非表示にすることで、本当に問題がある数式も見えなくなることに注意が必要です。

開発段階ではエラーを表示させて問題を把握し、最終的な仕上げ段階で非表示にするという運用が理想的です。

また、条件付き書式やエラーチェックの無効化は、あくまで見た目を整える方法であり、エラーの根本原因は解決されていません。

エクセルのエラー非表示機能を正しく活用して、美しく分かりやすい資料を作成していきましょう!