excel

【Excel】文字列の分割・セルを分ける方法|カンマで区切り位置・関数・Power Queryを徹底比較

当サイトでは記事内に広告を含みます

Excelで作業をしていると、一つのセルに複数の情報がまとめて入力されていて、それを分割したい場面に頻繁に遭遇します。

氏名を姓と名に分けたい、住所を都道府県・市区町村・番地に分割したい、CSVデータのカンマ区切りを列ごとに分けたいなど、文字列を効率的に分割できれば、データの整理や分析がスムーズに進み、業務効率が大幅に向上します

一つずつ手作業でコピー&ペーストしていては時間がかかりすぎますし、大量のデータでは現実的ではありません。

文字列を分割する方法は複数存在します。

区切り位置機能を使った視覚的な分割、LEFT・MID・RIGHT関数を組み合わせた関数による分割、最新のTEXTSPLIT関数やTEXTBEFORE/TEXTAFTER関数を使った方法、さらにはPower Queryを使った高度な分割まで、状況に応じて最適な手法が異なります。

本記事では、文字列分割の様々な方法を詳しく解説し、それぞれのメリット・デメリットや使い分けのポイントを紹介します。

データ処理の効率化と正確性を高めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

ポイントは

・区切り位置機能で簡単に固定幅やデリミタ分割が可能

・関数を使えば元データを残したまま柔軟に分割できる

・Power Queryなら複雑な条件でも自動化できる

です。

それでは詳しく見ていきましょう。

区切り位置機能で簡単に文字列を分割

それではまず、最も手軽で視覚的に分かりやすい区切り位置機能による文字列分割を確認していきます。

区切り位置機能の基本的な使い方

区切り位置機能は、カンマ・タブ・スペースなどの区切り文字や固定幅で文字列を複数の列に分割できるExcelの標準機能です。

「データ」タブの「区切り位置」ボタンから起動でき、ウィザード形式で簡単に操作できるため、初心者でも直感的に使えます。

まず、分割したい文字列が入力されているセル範囲を選択します。

次に「データ」タブの「区切り位置」ボタンをクリックすると、「区切り位置指定ウィザード」が起動します。

ここで「カンマやタブなどの区切り文字によってフィールドごとに区切られたデータ」または「スペースによって右または左に揃えられた固定長フィールドのデータ」のいずれかを選択します。

区切り位置機能の選択画面

📍

区切り文字タイプ

カンマ、タブ、
スペースなどで分割

📏

固定長タイプ

文字数で位置を指定
して分割

区切り文字タイプを選択した場合は、次のページで具体的な区切り文字(タブ、セミコロン、カンマ、スペース、その他)を指定します。

複数の区切り文字を同時に指定することも可能です。

データのプレビューが表示されるため、分割結果を確認しながら設定できます。

分割タイプ 適用例 特徴
区切り文字 「東京,大阪,福岡」をカンマで分割 不定長データに最適
固定長 「田中太郎19850415」を文字位置で分割 定型フォーマットに最適

カンマ・タブ・スペース区切りの分割

最も一般的な使用例は、CSVデータやコピー&ペーストしたデータをカンマやタブで分割するケースです。

例えば、「山田太郎,営業部,東京支店」というデータを3つの列に分割したい場合、区切り文字としてカンマを指定します。

具体的な手順として、まず分割したいデータ範囲を選択し、「データ」タブから「区切り位置」を起動します。

「カンマやタブなどの区切り文字によって…」を選択して「次へ」をクリックし、区切り文字で「カンマ」にチェックを入れます。

プレビュー画面で分割結果を確認し、問題なければ「次へ」をクリックして表示形式を確認し、「完了」をクリックします。

カンマ区切りデータの分割例

分割前

山田太郎,営業部,東京支店

分割後

山田太郎
営業部
東京支店

タブ区切りのデータも同様に処理できます。

Webページやテキストファイルからコピーしたデータは、多くの場合タブで区切られているため、区切り文字として「タブ」を選択すれば適切に分割されます。

スペース区切りの場合は「スペース」を選択しますが、連続するスペースを1つの区切りとして扱う「連続した区切り文字は1文字として扱う」オプションも活用できます。

固定幅での文字列分割方法

区切り文字がない固定長データの場合は、文字数の位置を指定して分割する固定長タイプを使います。

例えば、「田中太郎19850415東京」という文字列で、最初の4文字が氏名、次の8文字が生年月日、残りが住所という構造の場合に有効です。

区切り位置ウィザードで「スペースによって右または左に揃えられた固定長フィールドのデータ」を選択すると、データのプレビュー画面で分割位置を指定できます。

プレビュー画面の分割したい位置をクリックすると、縦線が表示されて区切り位置が設定されます。

縦線をドラッグすれば位置を調整でき、ダブルクリックすれば削除できます。

固定長分割の操作方法

👆

プレビュー画面の
分割位置を
クリック

📏

縦線が表示され
分割位置が
設定される

必要に応じて
ドラッグで調整
または削除

区切り位置機能を使用する際の重要な注意点として、分割結果は元のデータのセルから右側に展開されます。

つまり、分割元のセルの右隣に既にデータがある場合、そのデータは上書きされて失われてしまいます。

事前に右側の列が空いていることを確認するか、分割前に十分な空き列を挿入しておくことをおすすめします。

また、区切り位置機能は元データを直接書き換えるため、元に戻したい場合は即座に「元に戻す」(Ctrl+Z)を実行する必要があります。

重要なデータの場合は、事前にシートをコピーしてバックアップを取っておきましょう。

関数を使った柔軟な文字列分割

続いては関数を使って、元データを保持したまま文字列を分割する方法を確認していきます。

LEFT・MID・RIGHT関数による分割

関数を使った分割の基本は、LEFT・MID・RIGHT関数で文字列の各部分を個別に抽出する方法です。

この方法なら、元のデータを残したまま別の列に分割結果を表示できるため、元データが必要な場合や、後から分割方法を変更する可能性がある場合に適しています。

例えば、A列に「2024-11-17」という日付形式の文字列があり、これを年・月・日に分割したい場合を考えます。

B列に「=LEFT(A1, 4)」で年を抽出し、C列に「=MID(A1, 6, 2)」で月を抽出し、D列に「=RIGHT(A1, 2)」で日を抽出します。

これらの数式を下方向にコピーすれば、すべての行のデータが分割されます。

日付文字列の関数による分割

元データ (A列) 年 (B列) 月 (C列) 日 (D列)
2024-11-17 2024 11 17
=LEFT(A1,4) =MID(A1,6,2) =RIGHT(A1,2)

ただし、この方法は分割位置が固定されている場合にのみ有効です。

区切り文字の位置が変動する場合は、FIND関数やSEARCH関数と組み合わせて動的に位置を検索する必要があります。

関数 用途 数式例
LEFT 左側から取得 =LEFT(A1, 4)
MID 中央部分を取得 =MID(A1, 6, 2)
RIGHT 右側から取得 =RIGHT(A1, 2)

FIND関数と組み合わせた動的分割

区切り文字の位置が一定でないデータを分割する場合は、FIND関数またはSEARCH関数で区切り文字の位置を検索し、その結果を使って分割します。

例えば、「山田太郎,営業部,東京支店」のようなカンマ区切りデータで、各項目の文字数が変動する場合です。

最初の項目を抽出するには「=LEFT(A1, FIND(“,”, A1)-1)」という数式を使います。

FIND関数で最初のカンマの位置を検索し、その位置の1つ手前までをLEFT関数で取得します。

2番目の項目を抽出するには「=MID(A1, FIND(“,”, A1)+1, FIND(“,”, A1, FIND(“,”, A1)+1)-FIND(“,”, A1)-1)」のように、2つのFIND関数を組み合わせて1つ目のカンマの次から2つ目のカンマの手前までを取得します。

FIND関数を使った動的分割

元データ 1番目 2番目
山田太郎,営業部,東京 山田太郎 営業部
=LEFT(A1,FIND(“,”,A1)-1) =MID(A1,FIND(“,”,A1)+1,…)

最後の項目を抽出する場合は、RIGHT関数とLEN関数を組み合わせて「=RIGHT(A1, LEN(A1)-FIND(“,”, A1, FIND(“,”, A1)+1))」のようにします。

文字列全体の長さから最後のカンマの位置を引いた文字数だけ右から取得します。

TEXTSPLIT・TEXTBEFORE・TEXTAFTER関数(Microsoft 365)

Microsoft 365またはExcel 2021以降では、TEXTSPLIT関数を使えば一度に複数列への分割が可能です。

この関数は区切り文字を指定するだけで、自動的に複数の列に分割結果を展開してくれる強力な関数です。

構文は「=TEXTSPLIT(文字列, 列区切り文字, [行区切り文字], [空を無視], [一致モード], [パッド])」で、基本的には最初の2つの引数だけで使えます。

例えば「=TEXTSPLIT(A1, “,”)」とすると、A1セルのカンマ区切りデータが自動的に複数列に分割されます。

スピル機能により、必要な列数分が自動的に展開されるため、非常に効率的です。

TEXTSPLIT関数の動作イメージ

元データ

東京,大阪,福岡,札幌

=TEXTSPLIT(A1,”,”)

東京
大阪
福岡
札幌

TEXTBEFORE関数とTEXTAFTER関数は、特定の区切り文字の前後を取得する関数です。

「=TEXTBEFORE(A1, “,”)」で最初のカンマより前を、「=TEXTAFTER(A1, “,”)」で最初のカンマより後を取得できます。

これらは複数回の出現にも対応しており、第3引数で何番目の区切り文字を基準にするかを指定できます。

関数を使った分割方法の最大のメリットは、元データを変更せずに分割結果を得られることです。

元のデータが更新されれば、数式により自動的に分割結果も更新されます。

ただし、数式が残るため、ファイルサイズが大きくなる可能性があります。

最終的に固定値として残したい場合は、数式をコピーして「値として貼り付け」を行うと良いでしょう。

また、TEXTSPLIT関数などの新しい関数は、古いバージョンのExcelでは使えないため、ファイルを共有する相手のExcelバージョンを考慮する必要があります。

Power Queryで高度な文字列分割を自動化

続いては、より複雑な分割条件や繰り返し処理に対応できるPower Queryを使った方法を確認していきます。

Power Queryによる区切り文字分割

Power Queryは、データの変換処理を記録して自動化できる強力なツールです。

一度設定すれば、データを更新するたびに同じ分割処理を自動的に実行してくれるため、定期的にインポートするデータの処理に最適です。

Power Queryを起動するには、分割したいデータ範囲を選択し、「データ」タブの「テーブルまたは範囲から」をクリックします。

Power Queryエディターが開いたら、分割したい列を選択し、「列の変換」タブの「列の分割」→「区切り記号による分割」を選択します。

区切り記号のドロップダウンからカンマ、タブ、スペースなどを選択するか、カスタムで任意の文字を指定できます。

Power Queryによる分割手順

📊

「データ」→
「テーブルまたは
範囲から」

✂️

「列の分割」→
「区切り記号による
分割」

⚙️

区切り記号を選択
→「閉じて読み込む」

分割の詳細オプションとして、「各区切り記号の出現箇所」では「左端の区切り記号」「右端の区切り記号」「各区切り記号」から選択できます。

「各区切り記号」を選択すれば、すべての区切り文字で分割され、複数の列が生成されます。

設定が完了したら「閉じて読み込む」をクリックすると、分割結果が新しいシートまたは既存のシートに読み込まれます。

分割オプション 説明 用途
左端の区切り記号 最初の区切り文字で2列に分割 姓名を分割する場合など
右端の区切り記号 最後の区切り文字で2列に分割 ファイルパスと名前の分離など
各区切り記号 すべての区切り文字で複数列に分割 CSVデータの完全分割など

文字数による固定長分割

Power Queryでは、区切り文字がない固定長データも分割できます。

「列の分割」から「位置による分割」を選択すると、文字数または文字位置を指定して分割できます。

「位置」オプションでは、分割する位置をカンマ区切りで指定します。

例えば「4,12」と入力すれば、4文字目と12文字目で分割され、3つの列が生成されます。

「文字数」オプションでは、各列の文字数を指定できます。

「繰り返し」にチェックを入れれば、同じ文字数で繰り返し分割することも可能です。

条件付き分割とクリーニング処理の組み合わせ

Power Queryの強みは、分割と同時にデータクリーニングや変換処理を組み合わせられる点です。

例えば、分割前に余分なスペースを削除したり、特定の文字を置換したり、大文字小文字を統一したりといった処理を一連の流れとして設定できます。

「列の変換」タブには、「トリミング」(前後のスペース削除)、「クリーン」(印刷不可能な文字削除)、「大文字/小文字」(文字種変更)などの機能があります。

これらを分割前に適用しておけば、より正確な分割結果が得られます。

すべての処理はクエリとして記録されるため、次回データを更新する際は「更新」ボタンをクリックするだけで同じ処理が自動実行されます。

Power Queryの処理フロー例

データ
読み込み

トリミング
処理

文字列
分割

結果を
シートへ

Power Queryを使う際の注意点として、クエリの結果は別のテーブルとして出力されるため、元のデータとは別に管理されます。

元データを更新した場合は、Power Queryの「更新」を実行する必要があります。

また、Power Queryで作成したクエリは、ファイルに保存されるため、同じファイルを他の人が開いても同じ変換を実行できます。

ただし、複雑なクエリは処理に時間がかかることがあるため、大量データの場合はパフォーマンスに注意が必要です。

定期的に同じ処理を繰り返す場合や、複雑な変換ロジックが必要な場合は、Power Queryが最も効率的な選択肢になるでしょう。

まとめ 文字列分割の全手法|区切り位置・関数・Power Queryを徹底比較

エクセルの文字列分割方法をまとめると

・区切り位置機能:データタブから簡単操作、カンマ・タブ・固定長に対応、元データを直接分割

・LEFT・MID・RIGHT関数:元データを保持、FIND関数と組み合わせて動的分割も可能

・TEXTSPLIT関数:Microsoft 365限定、一度に複数列へ自動展開、最も簡潔な記述

・Power Query:複雑な条件に対応、データクリーニングと組み合わせ可能、処理の自動化に最適

これらの方法にはそれぞれメリットがあり、状況に応じて使い分けることが重要です。

単発の簡単な分割なら区切り位置機能、元データを保持したいなら関数、定期的な処理ならPower Queryが適しているでしょう。

ただし、データ形式が統一されていない場合は注意が必要です。

区切り文字の数が行によって異なる場合や、区切り文字自体がデータに含まれている場合は、エラーや意図しない結果になる可能性があります。

Excelの文字列分割テクニックを適切に活用して、データ整理の効率化を実現していきましょう!