「特筆すべき」は、目立つ成果や他と異なる特徴を伝える際に便利な表現です。
一方で、報告書やメールで何度も使うと表現が単調になり、評価の根拠が曖昧に見える場合もあります。
相手との関係性や文書の目的に合わせて言い換えることで、内容の重要度をより正確に伝えられるでしょう。
この記事では、ビジネスで使いやすい類語、場面別の選び方、自然な例文を詳しく紹介します。
特筆すべきの言い換え一覧表とシーン別の使い分け

それではまず、特筆すべきの言い換えについて解説していきます。
特筆すべきは、注目に値する事実を取り上げる表現ですが、すべての場面に同じ言葉を当てはめる必要はありません。
成果を強調するのか、例外的な事情を示すのか、優れた特徴を紹介するのかによって、最適な語句は変わります。
評価や成果を伝える場面の言い換え
実績、改善効果、顧客からの評価などを説明する場面では、前向きな印象を持つ言葉が役立ちます。
ただし、根拠がないまま強い評価語を用いると大げさに受け取られるため、数値や具体例を添えることが大切です。
| 言い換え表現 | 主なニュアンス | 使いやすい場面 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 注目すべき | 関心を向ける価値がある | 報告書、分析資料、会議 | 今期は新規顧客数の増加が注目すべき点です。 |
| 特に優れている | 品質や成果の高さを示す | 評価コメント、推薦文 | 提案内容は課題整理の明確さが特に優れています。 |
| 顕著な | 変化や差が明らかである | 調査結果、業績報告 | 解約率には顕著な改善が見られました。 |
| 際立った | 周囲と比較して目立つ | 紹介文、採用評価 | 顧客対応における丁寧さが際立った強みです。 |
| 評価に値する | 努力や成果を認める | 社内評価、所見 | 短期間で体制を整備した点は評価に値します。 |
| 秀でた | 能力や技術が優れている | 人物紹介、スキル評価 | 彼はデータ分析と提案設計に秀でています。 |
| 大きな成果 | 結果の規模を端的に示す | 実績紹介、発表資料 | 新規市場での受注獲得は大きな成果といえます。 |
| 重要な成果 | 事業への影響を強調する | 経営報告、年度総括 | 今回の契約締結は中長期の成長に向けた重要な成果です。 |
| 目を見張る | 驚くほど優れている | やや柔らかい評価文 | 対応速度の向上は目を見張るものがあります。 |
| 印象的な | 相手の記憶に残る | 所感、イベント報告 | 参加者からの具体的な意見が印象的でした。 |
報告書や説明資料で使う場面の言い換え
客観性が求められる資料では、感情を強く含む語よりも、事実に基づいた表現が適しています。
数値の変化、比較対象、発生時期を示すと、特筆すべき理由が明確になります。
| 言い換え表現 | 向いている文書 | 伝わる内容 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 留意すべき | 業務報告、リスク資料 | 注意を払う必要がある事項 | 原材料価格の上昇は留意すべき要因です。 |
| 看過できない | 課題報告、監査資料 | 見過ごせない重要性 | 納期遅延の増加は看過できない課題です。 |
| 重要な | 幅広いビジネス文書 | 優先度の高さ | 顧客満足度の低下は重要な検討事項です。 |
| 見逃せない | 社内共有、口頭説明 | 注目する必要がある事実 | 競合の価格改定は見逃せない動きでしょう。 |
| 特に留意を要する | 規程、手順書、通知 | 慎重な対応の必要性 | 個人情報の取り扱いには特に留意を要します。 |
| 主要な | 企画書、戦略資料 | 複数要素の中で中心となるもの | 人材確保は主要な経営課題です。 |
| 特有の | 比較資料、製品資料 | 他と異なる性質 | この地域には季節需要という特有の傾向があります。 |
| 顕在化した | 課題分析、振り返り | 表面化した問題や傾向 | 運用負荷の増大が顕在化しました。 |
| 明確な | 分析資料、議事録 | 疑いなく確認できる状態 | 部門間で明確な認識差が見られます。 |
| 大きな影響を持つ | 経営会議資料 | 後続の判断への影響 | 制度変更は採用計画に大きな影響を持ちます。 |
メールや会話で使う場面の言い換え
メールでは、相手が読みやすく、意図をすぐ理解できる表現を選ぶことが重要です。
「特筆すべき」をそのまま使っても問題ありませんが、相手に行動を促したいときは「ご確認いただきたい点」などに置き換えると自然です。
| 言い換え表現 | 適した相手 | 使用時の印象 | 例文 |
|---|---|---|---|
| お伝えしたい点 | 社内外を問わず使用可能 | 柔らかく簡潔 | 本件でお伝えしたい点は、開始時期の変更です。 |
| ご確認いただきたい点 | 取引先、上司、関係部署 | 依頼の意図が明確 | 見積書についてご確認いただきたい点がございます。 |
| 特に重要な点 | 顧客、社内メンバー | 優先度を伝えやすい | 契約条件のうち特に重要な点をご案内します。 |
| 見ていただきたい点 | 比較的近い関係の相手 | 親しみやすい | 資料内で見ていただきたい点を整理しました。 |
| 留意いただきたい事項 | 案内メール、注意喚起 | 丁寧で事務的 | お申し込みに際し、留意いただきたい事項がございます。 |
| 大切なポイント | 説明メール、研修案内 | わかりやすく柔らかい | 運用開始前の大切なポイントを共有いたします。 |
| 特にご注目いただきたい点 | 提案メール、紹介文 | 訴求力がある | 導入効果について特にご注目いただきたい点です。 |
| ご留意ください | 期限や条件の案内 | 端的な注意喚起 | 受付期間が短いため、ご留意ください。 |
成果を伝えるなら「顕著な」「際立った」、注意点を伝えるなら「留意すべき」「看過できない」、メールで簡潔に伝えるなら「ご確認いただきたい点」が使いやすい表現です。
特筆の意味と特筆すべきの基本的な使い方
続いては、特筆という言葉の意味を確認していきます。
特筆は、特に取り上げて書くこと、または他と比べて目立つ事柄を指す言葉です。
「特筆すべき事項」「特筆すべき成果」のように用いると、多くの情報の中から重要な一点を示せます。
特筆の語感と使用場面
特筆には、少し改まった書き言葉の印象があります。
企画書、業務報告書、議事録、自己評価、推薦文などでは使いやすい一方、親しい相手への短い連絡では硬く感じられることもあるでしょう。
特筆すべきは、単に良いという意味ではなく、あえて取り上げる価値があるという意味です。
そのため、良い結果だけでなく、注意が必要な変化や例外的な条件にも使えます。
使用例として「特筆すべき点は、前年より問い合わせ件数が三割増えたことです」と書けば、数ある変化の中でも重要な事実を絞って示せます。
特筆すべきと特記すべきの違い
「特筆すべき」と似た語に「特記すべき」があります。
特記は、特別に記載することを意味し、注意書きや補足事項との相性がよい言葉です。
一方の特筆は、目立つ価値や注目度を含みやすく、成果や特徴を取り上げる場面に向いています。
たとえば申請書の備考欄では「特記すべき事項はありません」が自然であり、事業成果の報告では「特筆すべき成果」がなじみます。
特筆すべきの自然な例文
文脈に応じて、特筆すべき対象を具体的にすると文章の説得力が増します。
「本施策で特筆すべき点は、既存顧客の継続率が向上したことです」のように、対象と理由を続ける形が基本です。
「今回の対応において特筆すべき問題は確認されませんでした」とすれば、重大な問題がなかったことを落ち着いた調子で伝えられます。
抽象的に「特筆すべき成果がありました」とだけ書くよりも、何がどの程度優れていたのかを補うほうが親切でしょう。
ビジネスで使える類語のニュアンス
続いては、ビジネスで使える類語のニュアンスを確認していきます。
類語は意味が近くても、相手に与える印象や適した場面が異なります。
言葉の強さを調整することが、読み手に配慮したビジネス文章につながります。
注目すべきと重要な
「注目すべき」は、読み手に目を向けてほしい事柄を示す表現です。
新しい傾向、競合の動き、調査結果など、これから検討や判断につながる情報に向いています。
「重要な」は、優先度や影響度を端的に示す言葉であり、最も幅広い場面で使えます。
迷ったときは重要なを選べば無難ですが、情報の新しさや意外性まで伝えたいなら注目すべきが適しています。
顕著なと際立った
「顕著な」は、数値や事実に明らかな差がある場合に使いやすい語です。
売上の増減、作業時間の短縮、顧客満足度の変化など、比較できる材料があるときに力を発揮します。
「際立った」は、他との違いが印象的であることを伝える表現です。
商品特徴、人物の能力、接客品質など、数値だけでは表しにくい長所にも使えるでしょう。
「顕著な改善」は数値で確認できる改善に向きます。
「際立った強み」は、比較したときに印象に残る魅力を表す際に適しています。
留意すべきと看過できない
「留意すべき」は、今後の対応で注意を払う必要がある事項を穏やかに示します。
リスクを伝えつつも、必要以上に不安をあおらない点が特徴です。
「看過できない」は、見過ごすべきではない問題を強く指摘する言葉になります。
相手を責める印象につながる可能性もあるため、社外向けの文章では使用場面を慎重に選びたいところです。
課題を伝える文章では、事実の重大さに合わせて表現を選びます。
通常の注意事項には「留意すべき」、早急な対処が必要な問題には「看過できない」が適しています。
場面別に選ぶ特筆すべきの別の言い方
続いては、場面別に選ぶ別の言い方を確認していきます。
同じ内容でも、相手と媒体に合う言葉を選ぶことで、伝達の精度が高まります。
社内報告書での表現
社内報告書では、結論を急がず、客観的な情報と評価を分けて記載することが基本です。
「顕著な変化」「主要な要因」「留意すべき課題」などは、分析的な文脈になじみます。
「特筆すべき成果」と書く場合には、売上、件数、期間、比較対象のいずれかを続けると内容が具体化します。
評価語だけを置かず、根拠を一文内または直後に示すことが、報告書の信頼性を保つコツです。
取引先へのメールでの表現
取引先へのメールでは、相手が次に何を確認すればよいかが分かる書き方を意識します。
「特筆すべき点」よりも「ご確認いただきたい点」「特に重要な点」としたほうが、依頼の目的を明確にしやすい場合があります。
感謝を伝えるときは「特にご尽力いただいた点」「多大なご協力をいただいた点」など、相手の行動を具体的に示す表現が好まれます。
曖昧な称賛よりも、何に感謝しているのかを伝えるほうが、誠実な印象につながるでしょう。
自己評価や面接での表現
自己評価や面接では、「特筆すべき」を使いすぎると自己評価が強く見えすぎることがあります。
「成果として挙げられる点」「工夫した点」「改善につながった取り組み」のように、事実を中心にした表現へ言い換えると自然です。
成果を説明する際は、行動、課題、結果の順に整理すると、相手が再現性をイメージしやすくなります。
「特筆すべき成果は、問い合わせ対応の手順を見直し、初回回答までの時間を短縮したことです」のように説明するとよいでしょう。
特筆すべきを使ったビジネス例文
続いては、特筆すべきを使ったビジネス例文を確認していきます。
例文を参考にしながら、自社の状況や相手との関係に合う言葉へ調整してください。
成果報告に使う例文
「今月の営業活動で特筆すべき点は、紹介経由の商談化率が大幅に向上したことです。」
「今回のプロジェクトでは、関係部署との連携を早期に整えられた点が特筆すべき成果といえます。」
「前年同期と比較すると、リピート購入の増加が最も注目すべき変化です。」
「業務手順の統一により、確認漏れが減少したことは評価に値する結果でしょう。」
課題や注意点に使う例文
「特筆すべき課題として、繁忙期における問い合わせ対応の遅れが挙げられます。」
「今後の運用では、担当者ごとの判断差が生じやすい点に留意する必要があります。」
「契約更新時期が集中することは、事前に確認しておきたい重要な事項です。」
「一部の地域で発生している配送遅延は、看過できない状況となっています。」
柔らかく伝えたい場合は「特筆すべき課題」を「今後確認したい点」に置き換えられます。
相手との関係性を踏まえ、指摘の強さを調整するとよいでしょう。
提案書や紹介文に使う例文
「本サービスの特筆すべき特徴は、導入後の運用支援まで一貫して提供できる点です。」
「特にご注目いただきたいのは、既存の仕組みを大きく変えずに導入できることです。」
「他社製品と比較した際の際立った強みは、設定作業の負担を抑えられる点にあります。」
「利用者から高く評価されているのは、問い合わせへの迅速な対応です。」
提案書では、優れているという評価だけで終わらせず、導入先にどのような利点があるかまで示すことが重要です。
言い換え表現を自然に使う文章作成のポイント
続いては、言い換え表現を自然に使う文章作成のポイントを確認していきます。
適切な類語を知るだけでなく、文章全体の流れに合わせることで、より読みやすい文書になります。
強調する理由を具体化する工夫
特筆すべき、注目すべき、重要なといった語句の後には、理由や根拠を置くのが基本です。
「特筆すべき点は改善したことです」では内容が曖昧ですが、「特筆すべき点は、処理時間を二日短縮したことです」と書けば理解しやすくなります。
比較対象を示す場合は、前年、前月、従来、他社、目標値などを明確にするとよいでしょう。
評価の強さを調整する工夫
最上級の評価を連続させると、読み手は内容を冷静に判断しにくくなります。
通常の改善には「重要な」、明確な差がある場合には「顕著な」、例外的な価値がある場合には「特筆すべき」と使い分けると、文章にメリハリが生まれます。
強い言葉ほど、具体的な根拠とセットで使うことを意識してください。
読み手に合わせた言葉選び
経営層向けの資料では、重要性と影響を端的に示す表現が求められます。
現場メンバー向けの案内では、具体的な行動につながる「確認してほしい点」「注意してほしい点」が効果的です。
取引先には、断定的すぎる表現を避け、「ご留意いただきたい事項」「ご確認いただきたい点」といった丁寧な言い回しが安心感につながります。
言い換えの目的は、難しい言葉へ置き換えることではありません。
何を重要と考え、読み手にどのような行動や理解を求めるのかを明確にすることが、本来の目的です。
まとめ
特筆すべきの言い換えには、注目すべき、顕著な、際立った、留意すべき、重要な、ご確認いただきたい点などがあります。
成果を紹介する場面では「顕著な」「際立った」、課題を共有する場面では「留意すべき」「看過できない」、メールでは「ご確認いただきたい点」が使いやすいでしょう。
言葉の選択では、強調したい内容と、その理由を具体的に示すことが大切です。
相手、媒体、目的に応じた類語を使い分ければ、ビジネス文章はより明確で信頼感のあるものになります。