電動機やポンプ、車のエンジン、工作機械などの性能を見ると、キロワットと馬力の両方が使われていることがあります。
同じ出力を示す単位でありながら、PSとHPでは基準が異なるため、単純に数字だけを比べると判断を誤るおそれがあります。
この記事では、kWと馬力の基本的な関係、計算式、4キロワットを馬力へ直す例、実務で役立つ換算表までをわかりやすく整理します。
キロワットと馬力の換算関係

それではまずキロワットと馬力の換算関係について解説していきます。
kWと馬力が示す出力
キロワットは国際単位系で使われる電力や仕事率の単位で、1kWは1秒間に1,000ジュールの仕事をする大きさです。
モーター、ヒーター、発電機、太陽光発電設備などでは、定格出力をkWで表すケースが一般的でしょう。
一方の馬力は、もともと馬が荷物を引く能力を目安に作られた出力の単位です。
現在も自動車、船舶、コンプレッサー、農業機械などで広く使われており、馬力という言葉だけではPSかHPかを確認する必要があります。
出力とは、力そのものではなく、一定時間にどれだけ仕事を行えるかを示す量です。
そのため、同じkW値でも機械の回転数やトルク、負荷のかかり方によって、実際の使いやすさは変わります。
PSとHPの違い
日本でよく見かけるPSは仏馬力であり、メートル馬力とも呼ばれます。
1PSはおよそ0.7355kWで、逆に1kWは約1.3596PSです。
HPは英馬力であり、主に海外製品の仕様書や北米系の資料で使われます。
機械分野で使われることが多いmechanical horsepowerでは、1HPは約0.7457kWとなります。
したがって、1HPは1PSより少し大きく、同じkWを馬力に換算すると、HPで示した数値はPSより小さくなります。
1kWは約1.36PS、約1.34HPです。
カタログに馬力だけが書かれている場合は、PSかHPかを確認してから比較することが大切です。
実用上の換算の考え方
概算であれば、kWに1.36を掛けてPSを求める方法が便利です。
HPへ直す場合は、kWに1.34を掛けると、おおよその値を得られます。
反対に馬力からkWを求める場合は、PSに0.7355を掛ける、またはHPに0.7457を掛ける計算です。
PSへの換算式
馬力 PS = キロワット kW × 1.3596
HPへの換算式
馬力 HP = キロワット kW × 1.3410
端数処理の基準は、用途によって異なります。
設備選定や契約容量の判断では小数点以下まで確認し、日常的な会話や目安の比較では小数第1位程度に丸めると読みやすいでしょう。
PSとHPの定義差
続いてはPSとHPの定義差を確認していきます。
仏馬力であるPS
PSはフランス語の表現に由来する単位で、日本では自動車の旧来の出力表示として特に知られています。
1PSは、75kgの物体を1秒間に1m持ち上げる仕事率を基準とし、約735.5Wに相当します。
日本の自動車ではkW表示が基本となっていますが、性能イメージを伝えやすいことから、PS換算値を併記する場面もあります。
1馬力という表現を見ても、それがPSを指すとは限りません。
国内向けの古い機械カタログや自動車関連の会話ではPSを指すことが多いものの、製品の正式な仕様欄を確認する姿勢が重要です。
英馬力であるHP
HPはhorsepowerの略で、英語圏で定着した馬力の表記です。
機械的馬力では550ポンドの重りを1秒間に1フィート持ち上げる仕事率を基準とし、約745.7Wです。
輸入車のエンジン出力、海外メーカーのモーター、空調設備、ポンプの資料などではHP表記が現れることがあります。
同じ数字の10馬力であっても、10PSと10HPでは実際のkW値が異なります。
差は大きく見えないかもしれませんが、複数台の設備を合計したり、余裕率を計算したりする場合には無視できません。
電気馬力などの周辺単位
馬力にはPSとHP以外にも、電気馬力やボイラー馬力などの種類があります。
電気馬力は1HPを746Wとして扱う表現で、電動機の定格出力との換算で見かけることがあります。
ボイラー馬力は蒸気発生能力を表す特殊な単位であり、一般的なモーター出力の換算には使いません。
このように、馬力は単位名だけで換算係数を決められない場合があります。
取扱説明書、銘板、仕様書に記載された単位記号を確認し、用途に合う係数を選ぶことが安全です。
キロワットから馬力への計算方法
続いてはキロワットから馬力への計算方法を確認していきます。
kWをPSへ変換する式
キロワットをPSへ変換するときは、kWの数値に1.3596を掛けます。
たとえば2.2kWのモーターであれば、2.2に1.3596を掛けるため、約2.99PSとなります。
実務上は約3馬力として呼ばれることが多いでしょう。
2.2kW × 1.3596 = 2.99112PS
換算結果は約3.0PSです。
ただし、モーターの販売単位としての3馬力と、換算上の3PSが完全に同じ条件を意味するわけではありません。
電圧、周波数、効率、連続運転か短時間運転かといった条件も、選定時には確認が必要です。
kWをHPへ変換する式
キロワットをHPへ変換する場合は、kWに1.3410を掛けます。
同じ2.2kWで計算すると、約2.95HPです。
PSに換算した場合より数値がわずかに小さくなる理由は、1HPの基準値が1PSより大きいためです。
海外の設備資料を読むときは、モーター容量の数字だけでなく、電源仕様や定格電流もあわせて確認すると判断しやすくなります。
特に置き換え購入では、馬力表記よりkW表記を基準に比較する方法が確実です。
4キロワットを馬力に換算する例
4キロワットは何馬力かという疑問は、ポンプやコンプレッサーを選ぶ際によく出てきます。
PSへ換算するなら、4に1.3596を掛けます。
4kW × 1.3596 = 5.4384PS
4kWは約5.44PSです。
HPへ換算すると、4kW × 1.3410 = 約5.36HPとなります。
つまり、4kWは目安として約5.4馬力です。
ただし、市販機器では5馬力級や5.5馬力級といった呼び方がされる場合もあるため、換算値と製品の呼称を同一視しないことが重要です。
馬力からキロワットへの計算方法
続いては馬力からキロワットへの計算方法を確認していきます。
PSをkWへ変換する式
PSをkWへ直す場合は、PSの数値に0.7355を掛けます。
5PSの機械なら、5に0.7355を掛けて約3.68kWです。
機械の入力電力と出力を混同しないことも大切でしょう。
モーターの銘板に書かれたkWは通常は軸出力を示し、実際に消費する電力は効率や負荷率によってそれより大きくなります。
電気料金やブレーカー容量を検討するなら、出力kWだけで結論を出さず、定格電流や入力容量も調べる必要があります。
HPをkWへ変換する式
HPをkWへ変換する際は、HPの数値に0.7457を掛けます。
たとえば10HPであれば、10に0.7457を掛けて約7.46kWです。
これは10PSをkWへ変換した場合の約7.36kWより、少し大きい値になります。
PSからkWへ直す式はPS × 0.7355です。
HPからkWへ直す式はHP × 0.7457です。
PSとHPを取り違えると、設備容量の比較で約1.4パーセントの差が生じます。
小型機器では差が目立ちにくい一方、大出力設備では数百Wから数kWの差につながることがあります。
効率を含めた電力の見積もり
馬力をkWへ換算した値は、機械が取り出す出力を把握するための基本値です。
一方、コンセントや配電盤から必要となる電力を見積もるには、効率を考慮します。
たとえば軸出力が3.7kWで効率が90パーセントのモーターなら、入力は3.7を0.9で割った約4.11kWが目安です。
さらに三相交流では力率も関係するため、電流値を求める計算はより複雑になります。
設備工事や容量設計では、出力の換算と電源側の設計計算を分けて考えることが基本です。
キロワットと馬力の換算表
続いてはキロワットと馬力の換算表を確認していきます。
小型機器で使いやすい換算表
小型ポンプ、換気扇、卓上機械、小型コンプレッサーなどでは、1kW前後から数kWの出力がよく使われます。
以下の表では、kWをPSとHPへ換算した値を示します。
| 出力 kW | 換算値 PS | 換算値 HP | 主な規模の目安 |
|---|---|---|---|
| 0.2 | 約0.27 | 約0.27 | 小型送風機など |
| 0.4 | 約0.54 | 約0.54 | 小型ポンプなど |
| 0.75 | 約1.02 | 約1.01 | 1馬力級の機器 |
| 1.5 | 約2.04 | 約2.01 | 小型工作機械など |
| 2.2 | 約2.99 | 約2.95 | 3馬力級の機器 |
| 3.7 | 約5.03 | 約4.96 | 5馬力級の機器 |
| 4.0 | 約5.44 | 約5.36 | ポンプや送風機など |
表の数値は換算上の目安であり、実際の製品分類はメーカーごとに異なる場合があります。
中大型設備で使いやすい換算表
生産設備、大型ポンプ、冷凍機、集じん機などでは、数kWから数十kWのモーターが使われます。
設備の更新や能力比較では、同じ単位にそろえたうえで検討すると、仕様の差を見落としにくくなります。
| 出力 kW | 換算値 PS | 換算値 HP | 参考となる馬力級 |
|---|---|---|---|
| 5.5 | 約7.48 | 約7.38 | 7.5馬力級 |
| 7.5 | 約10.20 | 約10.06 | 10馬力級 |
| 11 | 約14.96 | 約14.75 | 15馬力級 |
| 15 | 約20.39 | 約20.12 | 20馬力級 |
| 18.5 | 約25.15 | 約24.81 | 25馬力級 |
| 22 | 約29.91 | 約29.50 | 30馬力級 |
| 37 | 約50.31 | 約49.62 | 50馬力級 |
7.5kWは約10PS、22kWは約30PSと覚えると、主要な容量を素早くイメージできます。
換算表を使う際の注意点
換算表は単位を読み替えるための便利な資料ですが、機械を選定するためのすべての情報ではありません。
たとえばポンプでは揚程と吐出量、コンプレッサーでは吐出空気量と圧力、車両ではトルクと車重が性能に大きく関係します。
モーターでは定格出力に加えて、極数、回転数、電圧、周波数、始動方式、使用環境の確認が必要です。
換算表は出力の比較に使い、機器の最終選定は必ず仕様書の定格条件で行います。
必要な能力に余裕がない場合は、専門業者やメーカーへ確認する方法が安心です。
特に既設機器との入れ替えでは、馬力が同じでも取付寸法や回転数が異なることがあります。
用途別の確認ポイント
続いては用途別の確認ポイントを確認していきます。
自動車とバイクの出力表示
自動車やバイクでは、エンジン出力をkWで表記し、補助的にPSが紹介されることがあります。
加速性能や最高速度を考える際、出力の大きさは重要ですが、それだけで走りを決めるわけではありません。
車両重量、変速比、最大トルク、タイヤの性能、空気抵抗なども影響します。
そのため、カタログ上のPS値を比較するときは、発生回転数とトルクも一緒に見ることがポイントです。
海外仕様のHPを国内仕様のPSと比較したい場合には、まずkWへ戻してから比較すると混乱を防げます。
モーターと産業機械の定格出力
産業用モーターでは、kWが定格出力として表示されることが基本です。
古い設備の資料や現場での呼び方には馬力が残っているため、更新工事では両方の単位を理解しておくと役立ちます。
3.7kWを5馬力、7.5kWを10馬力、15kWを20馬力と呼ぶ例は多く見られます。
ただし、実際には負荷の種類によって必要な始動トルクや運転パターンが異なります。
ポンプやファンのような二乗低減トルク負荷と、コンベヤや破砕機のような一定トルク負荷では、適した選定条件も変わるでしょう。
電気契約とブレーカー容量
機器の出力が何kWかを知っても、そのまま契約電力やブレーカー容量に置き換えることはできません。
モーターの効率、力率、始動時の突入電流、同時運転する機器の数などを考慮する必要があります。
家庭用の100V機器と工場などで使われる三相200V機器でも、必要な配線や保護装置は異なります。
馬力換算は出力の理解に役立ちますが、電気工事の設計値として単独では使えません。
安全性に関わる工事や容量変更は、電気工事士や設備業者へ相談したうえで進めることが大切です。
キロワットと馬力の変換方法のまとめ
キロワットと馬力は、どちらも機械やエンジンの出力を表す単位です。
PSは仏馬力、HPは英馬力であり、同じ馬力という呼び方でも基準値が異なります。
kWをPSへ換算する場合は1.3596を掛け、kWをHPへ換算する場合は1.3410を掛けます。
反対にPSをkWへ換算するなら0.7355を掛け、HPをkWへ換算するなら0.7457を掛ければ計算できます。
4kWは約5.44PS、約5.36HPであり、目安として約5.4馬力です。
単位換算ではPSとHPを見分け、設備選定ではkWだけでなく定格電流、効率、回転数、使用条件まで確認しましょう。
換算表を活用しながら、目的に合った単位で正確に性能を比較することが、機器選びの失敗を減らす近道です。