約数の和とは?求め方と公式も解説!(約数の総和:等比数列の和の公式:素因数分解を使う:例題:応用など)
整数の問題では、ある数を割り切れる数をすべて集め、その合計を求める場面がよくあります。
約数の和は、地道に約数を書き出しても計算できますが、素因数分解と公式を使えば大きな数でも効率よく求められます。
この記事では約数の総和の意味から、等比数列の和の公式につながる考え方、例題、応用までを順番に整理します。
約数の和の基本概念

それではまず約数の和の基本概念について解説していきます。
約数と約数の総和の意味
約数とは、ある整数を割ったときに余りが出ない正の整数のことです。
たとえば12の約数は1、2、3、4、6、12であり、これらをすべて足した値が約数の和、または約数の総和です。
12の場合は1+2+3+4+6+12=28となります。
約数の和は、約数の個数とは別の量なので、問題文で何を問われているかを最初に見極めることが大切です。
約数の個数なら12は6個ですが、約数の和なら28です。
同じ約数を扱うため混同しやすいものの、計算方法も答えの性質も異なります。
なお、学校数学で約数の和といえば、通常は正の約数だけを合計します。
負の約数も含める定義は別途説明がある場合に限られるため、特別な指示がなければ正の約数を対象にしましょう。
小さな数で確認する計算手順
小さい数では、約数を小さい順に列挙してから足す方法が分かりやすいでしょう。
たとえば18を考えると、1、2、3、6、9、18が約数です。
したがって約数の和は1+2+3+6+9+18=39になります。
約数を探すときは、平方根を境にして組を意識すると見落としを減らせます。
18では1と18、2と9、3と6が対応する組です。
このように、一方の約数を見つけると、もう一方は整数をその数で割って得られます。
18の約数の組は、1と18、2と9、3と6です。
合計は各組を足して19+11+9=39と考えても構いません。
ただし、36のような平方数では6と6が同じ約数になります。
平方根に当たる数を二重に足さないよう注意が必要です。
公式を使うべき数の特徴
約数を列挙する方法は直感的ですが、数が大きくなるほど手間が増えます。
たとえば360や1512のように約数が多い数では、書き出す途中で漏れや重複が起こりがちです。
そこで役立つのが、素因数分解から約数の和を直接求める公式です。
この公式なら、約数を一つずつ並べなくても総和を計算できます。
特に指数が付いた素因数の積で表される数では、計算の構造がはっきり見えてきます。
約数の和を求める基本方針は、小さい数では列挙で確認し、大きい数や一般式では素因数分解と公式を使うことです。
二つの方法を使い分けられると、計算結果の検算もしやすくなります。
素因数分解による公式
続いては素因数分解による公式を確認していきます。
素因数分解から作る約数の形
自然数Nを素因数分解して、N=pのa乗×qのb乗×rのc乗の形に表せたとします。
ここでp、q、rは異なる素数であり、a、b、cは0以上の整数です。
Nの約数は、それぞれの素因数を何乗ずつ選ぶかによって作られます。
pについてはpの0乗からpのa乗まで、qについてはqの0乗からqのb乗まで選べます。
指数0は1を表すため、素因数を使わない選択も含まれます。
たとえば72=2の3乗×3の2乗です。
72の約数は、2の指数を0から3、3の指数を0から2の範囲で選び、それらを掛け合わせた形になります。
約数を作る選択肢が素因数ごとに独立していることが、公式を理解する鍵になります。
約数の和の一般公式
N=pのa乗×qのb乗×rのc乗のとき、約数の和は次の積で求められます。
約数の和=(1+p+pの2乗+…+pのa乗)×(1+q+qの2乗+…+qのb乗)×(1+r+rの2乗+…+rのc乗)
各かっこの中は、特定の素因数について取り得るべき指数の和です。
それらを掛けると、すべての約数を一度ずつ足した結果になります。
72=2の3乗×3の2乗なら、約数の和は(1+2+4+8)×(1+3+9)です。
左側は15、右側は13なので、72の約数の和は15×13=195と分かります。
実際に約数をすべて列挙しても195になり、公式の正しさを確かめられます。
公式で掛け算になる理由
掛け算の形になる理由は、展開した各項が約数そのものを表すからです。
(1+2+4+8)×(1+3+9)を展開すると、1、2、4、8にそれぞれ1、3、9を掛けた項が並びます。
そこには1、2、3、4、6、8、9、12など、72の約数がすべて現れます。
同じ約数が二度現れないのは、素因数分解が一意に決まるためです。
つまり約数ごとに、2を何回掛けたか、3を何回掛けたかという情報が一つに定まります。
公式の各因子は、素因数一つに注目した約数候補の和です。
因子を展開して選ぶ組合せ全体が、元の数の全約数に対応します。
等比数列の和の公式
続いては等比数列の和の公式との関係を確認していきます。
各因子に現れる等比数列
約数の和の公式に出てくる1+p+pの2乗+…+pのa乗は、等比数列の和です。
初項は1、公比はp、項数はa+1となります。
等比数列の和の公式を使うと、1+p+pの2乗+…+pのa乗は(pのa+1乗-1)÷(p-1)と表せます。
ここでpは素数なので1ではなく、分母が0になる心配はありません。
指数が大きいときほど、等比数列の公式による省略効果が大きくなります。
たとえば2の10乗までを一つずつ加えるより、2の11乗-1を使う方が速く正確です。
一つの素因数だけを持つ場合
Nがpのa乗という形、つまり素数のべき乗なら、約数の和は一つの等比数列だけです。
たとえば81=3の4乗の約数は1、3、9、27、81です。
合計は1+3+9+27+81=121になります。
3の4乗の約数の和=(3の5乗-1)÷(3-1)です。
(243-1)÷2=121となります。
素数のべき乗は、公式の仕組みを理解するために最適な例です。
約数の個数もa+1個となるため、個数の公式との比較にも向いています。
複数の素因数への適用
複数の素因数を持つ数では、各素因数について等比数列の和を作り、最後に掛け合わせます。
たとえば540=2の2乗×3の3乗×5です。
約数の和は(1+2+4)×(1+3+9+27)×(1+5)です。
等比数列の公式を用いれば、第一因子は7、第二因子は40、第三因子は6と求められます。
よって540の約数の和は7×40×6=1680です。
素因数分解の指数を見誤ると全体が変わるため、掛け算を始める前に分解式を確認しましょう。
特に10や100の倍数では、2と5の指数を取り違えないことが重要です。
例題による計算手順
続いては例題による計算手順を確認していきます。
84の約数の和を求める例題
84を素因数分解すると、84=2の2乗×3×7です。
したがって約数の和は(1+2+4)×(1+3)×(1+7)となります。
それぞれを計算すると7、4、8です。
よって84の約数の和は7×4×8=224です。
約数を列挙して確かめるなら、1、2、3、4、6、7、12、14、21、28、42、84となります。
これらを足しても224となり、公式と一致します。
公式の答えに不安があるときは、小さな例で列挙による検算を行うと理解が深まります。
1000の約数の和を求める例題
1000は10の3乗であり、素因数分解すると2の3乗×5の3乗です。
約数の和は(1+2+4+8)×(1+5+25+125)です。
第一因子は15、第二因子は156になります。
したがって1000の約数の和は15×156=2340です。
等比数列の公式で確認すると、第一因子は(2の4乗-1)÷(2-1)=15です。
第二因子は(5の4乗-1)÷(5-1)=156となります。
大きな数でも、素因数分解ができれば約数を全部書き出す必要はありません。
指数ごとに和を作り、各因子を掛ける流れを守ることがポイントです。
平方数を含む例題
144=2の4乗×3の2乗について、約数の和を求めてみましょう。
公式は(1+2+4+8+16)×(1+3+9)です。
第一因子は31、第二因子は13なので、答えは31×13=403です。
144は平方数であり、平方根の12が約数になります。
列挙して計算する場合には12を一度だけ加える必要がありますが、公式ではその心配はありません。
約数の組を使う計算と公式計算の違いを把握すると、問題に応じて自然に方法を選べるでしょう。
約数の和の応用場面
続いては約数の和の応用場面を確認していきます。
完全数と過剰数の判定
約数の和は、完全数や過剰数、不足数を調べるときにも使われます。
自分自身を除いた正の約数の和が元の数に等しい数を完全数といいます。
たとえば6の約数は1、2、3、6で、自分自身を除いた和は1+2+3=6です。
そのため6は完全数です。
約数の総和をSとすると、自分自身を除いた約数の和はS-Nで求められます。
約数の総和が2Nに等しければ完全数という判定もできます。
総和が2Nより大きければ過剰数、小さければ不足数です。
互いに関係する数の調査
約数の和を利用すると、友愛数のような数の組も調べられます。
友愛数とは、ある数の自分自身を除く約数の和が別の数になり、その別の数でも同じ操作をすると元の数へ戻る組です。
代表例として220と284が知られています。
220の自分自身を除く約数の和は284であり、284の自分自身を除く約数の和は220になります。
このような性質を確かめる際、各数の約数をすべて書く方法もありますが、素因数分解の公式が計算の助けになります。
数論では約数和関数という考え方があり、正の約数の和を対応させる関数として扱います。
プログラミングと入試問題での活用
プログラミングでは、ある範囲の完全数を探す問題や、約数和に関する判定問題がよく出題されます。
一つの整数の約数を探すなら、平方根まで調べて約数の組を追加する方法が効率的です。
一方、数学の記述問題では、素因数分解と公式を示すことで計算根拠を簡潔に伝えられます。
入試問題では約数の個数、約数の積、最大公約数、最小公倍数と組み合わされることもあります。
約数の和だけを孤立した公式として覚えず、素因数の指数に注目する習慣を身に付けると応用しやすくなります。
問題文に条件が多い場合でも、まず対象の整数を素因数分解するところから始めると整理しやすいでしょう。
計算時の注意点
続いては計算時の注意点を確認していきます。
素因数分解の指数の確認
約数の和の公式では、指数を一つ間違えるだけで答えが大きく変わります。
たとえば72=2の3乗×3の2乗であるにもかかわらず、2の2乗×3の2乗とすると、8の因子が抜け落ちます。
分解後は、実際に掛け戻して元の数になるか確認しましょう。
指数が大きい数では、素因数を縦に書き出して数える方法も有効です。
公式に代入する前の素因数分解こそが最重要の準備と考えると、計算ミスを減らせます。
約数の個数との取り違え
約数の個数は、N=pのa乗×qのb乗のとき(a+1)×(b+1)で求めます。
これは約数の和の公式とはまったく異なります。
72=2の3乗×3の2乗の約数の個数は(3+1)×(2+1)=12個です。
一方、約数の和は195です。
個数を求める式では指数に1を足して掛けますが、総和を求める式では素因数の累乗を足して掛けます。
両者の違いを表にすると、次のようになります。
| 求めるもの | 72で使う式 | 結果 |
|---|---|---|
| 約数の個数 | (3+1)×(2+1) | 12 |
| 約数の和 | (1+2+4+8)×(1+3+9) | 195 |
途中計算の整理方法
複数の因子を扱うときは、各かっこの値を先に別々に計算すると見通しがよくなります。
たとえば2の6乗×3の4乗では、2の項の和と3の項の和を混ぜずに処理します。
等比数列の公式を使う場合も、分子と分母を一つの因子ごとに完結させるのが安全です。
暗算で急ぐより、指数、因子の和、最後の積という順で書く方が正答に近づきます。
小さな検算を途中に入れることは、特に掛け算が大きくなる問題で役立ちます。
約数の和の要点まとめ
約数の和とは、ある整数を割り切れる正の約数をすべて足した値です。
小さい数は約数を列挙して求められますが、大きな数では素因数分解を利用する方法が便利です。
N=pのa乗×qのb乗×…の形なら、各素因数について1から最高指数までの累乗を足し、それらを掛け合わせます。
各因子は等比数列の和なので、(pのa+1乗-1)÷(p-1)の公式を使えば短く計算できます。
約数の個数の公式と約数の和の公式は別物であることも、忘れないようにしましょう。
例題で列挙と公式の両方を試し、素因数分解から計算を組み立てる流れを身に付ければ、完全数や友愛数などの応用問題にも対応しやすくなります。