約数を求める問題では、思いついた数を順番に割っていく方法も使えます。
ただし数が大きくなるほど見落としや重複が起こりやすく、計算に時間がかかるでしょう。
そこで役立つのが、数を素数の積に表す素因数分解です。
指数と組み合わせの考え方を使えば、約数を漏れなく並べ、個数まで効率よく求められます。
この記事では中学生が取り組みやすい順序で、素因数分解を使った約数の求め方を詳しく紹介します。
素因数分解による約数の求め方

それではまず、素因数分解を使って約数を系統的に探す基本の方法について解説していきます。
約数と素因数の意味
約数とは、ある整数を割り切れる整数のことです。
たとえば12を割り切れる1、2、3、4、6、12は、すべて12の約数になります。
一方で素数とは、1とその数自身以外では割り切れない、2以上の整数です。
2、3、5、7、11などが代表的な素数でしょう。
整数を素数だけの掛け算に分けて表すことを、素因数分解と呼びます。
12なら、12=2×2×3と表せます。
同じ素数が複数回掛けられているときは、12=22×3のように指数で書くことも可能です。
約数は、この素因数の一部を選んで掛け合わせた数と考えられます。
素因数分解は、数の中身を素数の部品に分けて見る方法です。
約数は、その部品を必要な回数だけ選んで作れる数と考えると整理しやすくなります。
素因数分解から約数を作る流れ
例として、36の約数を求めてみましょう。
36を素因数分解すると、36=22×32です。
このとき2は0回、1回、2回のいずれかを選べます。
3についても、0回、1回、2回のいずれかを選ぶ仕組みです。
2を0回使うとは、2を掛けないことを表します。
同じように3を0回使う場合もあり、何も掛けない組み合わせは1になります。
36=22×32
2の選び方は1、2、22
3の選び方は1、3、32
それぞれを掛け合わせると、36の約数を作れます。
たとえば2×3=6、22×3=12、2×32=18です。
22×32=36も約数になります。
この方法なら、36より小さい数を一つずつ割る必要がありません。
使う素数と回数を決めることが、約数探しの中心になります。
小さい数での確認方法
最初は、24のように約数を確認しやすい数から練習するとよいでしょう。
24=23×3なので、2は0回から3回まで選べます。
3は0回か1回のどちらかです。
2だけで作れる数は1、2、4、8になります。
そこへ3を掛けると、3、6、12、24が作れます。
したがって24の約数は、1、2、3、4、6、8、12、24です。
小さい順に並べ直すと、答えを見直しやすくなります。
約数の組は、1とその数自身、2と12、3と8、4と6のように積が24になる組としても確認できます。
| 選んだ2の数 | 選んだ3の数 | できる約数 |
|---|---|---|
| 1 | 1 | 1 |
| 2 | 1 | 2 |
| 4 | 1 | 4 |
| 8 | 1 | 8 |
| 1 | 3 | 3 |
| 2 | 3 | 6 |
| 4 | 3 | 12 |
| 8 | 3 | 24 |
素因数分解と指数の使い方
続いては、指数を使って約数の候補を正確に整理する考え方を確認していきます。
指数が表す回数
指数は、同じ数を何回掛けるかを短く表す記号です。
23は2×2×2を表し、答えは8になります。
52なら5×5で、答えは25です。
約数の問題では、指数を見ると、その素数を何回まで使えるかがすぐに分かります。
たとえば72=23×32です。
72の約数を作るとき、2を4回使うことはできません。
2を4回使うと16が含まれ、72を割り切れなくなるためです。
指数以下の回数だけ選ぶという約束を守れば、約数ではない数を混ぜずに済みます。
指数がゼロの場合
約数作りでは、指数が0の選択も重要です。
たとえば60=22×3×5です。
60の約数1を作るときは、2も3も5も使いません。
これは20×30×50と考えられます。
どの数でも0乗は1なので、掛け算の値は1になります。
3だけを使わない約数なら、2a×5cの形です。
このように、使わない素因数にも0という指数を付けると、組み合わせが見通しよくなります。
60=22×31×51
約数は2a×3b×5cの形です。
aは0、1、2から選びます。
bとcはそれぞれ0、1から選びます。
指数を使った約数の書き方
約数をすべて書き出す場合は、指数の組を順番に変える方法が便利です。
たとえば84=22×3×7です。
まず2の指数を0、1、2と変えます。
次に3の指数を0、1と変え、さらに7の指数を0、1と変える流れです。
実際の約数は、2a×3b×7cの計算結果として得られます。
計算の途中では、同じ値が出ていないかも確認しましょう。
素因数分解が正しくできていれば、異なる指数の組から同じ約数が生まれることはありません。
これは素因数分解が一通りに決まる性質によるものです。
約数の個数を求める計算
続いては、約数を一つずつ書かなくても個数を求められる計算方法を確認していきます。
指数に一を足して掛ける方法
ある数がpa×qbの形に素因数分解できるとします。
約数に含めるpの個数は、0個からa個まで選べます。
したがって選び方はa+1通りです。
qについても同じで、選び方はb+1通りになります。
二つの選び方を組み合わせるため、約数の個数は指数に1を足した数の積で求められます。
180=22×32×5
2の指数は2なので選び方は3通りです。
3の指数も2なので選び方は3通りです。
5の指数は1なので選び方は2通りです。
約数の個数は3×3×2=18個になります。
この計算は、約数を列挙する前の答え合わせにも役立ちます。
書き出した約数が17個しかなければ、どこかに不足があると判断できるでしょう。
素数と平方数の約数の個数
素数の約数は、1とその素数自身の2個です。
たとえば13=131なので、約数の個数は1+1で2個になります。
一方で平方数は、約数の個数が奇数になる特徴があります。
36=22×32なので、約数の個数は3×3で9個です。
約数は通常、小さい数と大きい数が対になって現れます。
しかし平方数では、6×6=36のように同じ数同士の組が一つだけできます。
この中央の約数があるため、個数が奇数になるわけです。
平方数かどうかは、約数の個数を考える際の大切な見分け方です。
個数と実際の約数の使い分け
問題文が約数の個数を尋ねているなら、すべてを書き出す必要はありません。
素因数分解を行い、指数に1を足して掛ければ短時間で答えられます。
反対に、約数をすべて求める問題では、個数だけでは不十分です。
素因数の組み合わせを実際に計算して、小さい順に並べる必要があります。
個数の公式と列挙の方法は別々ではなく、互いに確認し合える関係です。
先に個数を求めてから書き出すと、途中で終わりにする目安ができます。
約数を列挙する問題でも、最初に個数を計算しておくと安心です。
予定した個数に達するまで確認することで、見落としを減らせます。
約数を漏れなく並べる手順
続いては、答えを見やすく整理しながら約数を漏れなく並べる手順を確認していきます。
小さい順に並べる方法
約数を列挙するときは、最終的に小さい順へ並べるのが基本です。
たとえば48の約数は、48=24×3と素因数分解できます。
2の累乗は1、2、4、8、16です。
これらに3を掛けた数は3、6、12、24、48になります。
二つのグループを合わせ、小さい順にすると1、2、3、4、6、8、12、16、24、48です。
書いた順番のまま答えにせず、並べ替えるひと手間を加えましょう。
数字の大小を比較する習慣は、計算ミスの発見にもつながります。
積の組で確かめる方法
約数は、元の数になる二つの数の積として考えることもできます。
48なら1×48、2×24、3×16、4×12、6×8という組です。
この形で確認すると、約数が対になっていることが分かります。
小さい方の因数は、元の数の平方根まで調べれば十分です。
48の平方根は6より少し大きいので、1から6までの割り算を確認すれば組を見つけられます。
ただし大きな数や素因数が多い数では、素因数分解のほうが整理しやすい場面も多いでしょう。
積の組による確認は、列挙後の見直しに特に向いています。
| 積の組 | 48の約数 |
|---|---|
| 1×48 | 1、48 |
| 2×24 | 2、24 |
| 3×16 | 3、16 |
| 4×12 | 4、12 |
| 6×8 | 6、8 |
表を使った組み合わせ整理
素因数が二種類程度なら、表を使うと組み合わせを視覚的に整理できます。
72=23×32を例に考えます。
横に2の累乗、縦に3の累乗を書き、交わる場所に積を入れていく方法です。
すべてのマスを埋めれば、約数もすべて出そろいます。
この表には4×3で12マスあります。
つまり72の約数は12個であることも同時に分かります。
| 3の累乗 | 1 | 2 | 4 | 8 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 2 | 4 | 8 |
| 3 | 3 | 6 | 12 | 24 |
| 9 | 9 | 18 | 36 | 72 |
表が完成したら、マスの数と公式で求めた約数の個数が一致するかを確認しましょう。
系統的に書く工夫が、試験での取りこぼしを防ぎます。
中学生向けの効率的な解き方
続いては、中学生が計算問題で使いやすい効率的な解き方を確認していきます。
素因数分解を先に終える習慣
約数の問題を見たら、最初に素因数分解を書く習慣を付けるとよいでしょう。
90であれば、90=9×10=2×32×5と分解できます。
途中で9や10のような合成数を使っても構いません。
最後にはすべて素数だけの掛け算に直すことが大切です。
2、3、5、7、11のような小さい素数で割れるかを順に試すと、計算が進みます。
偶数ならまず2で割れます。
各位の和が3の倍数なら3で割れるというルールも便利でしょう。
割り切れるかの判定を活用すれば、素因数分解の時間を短縮できます。
問題別の考え方
約数をすべて求める問題では、素因数の指数を0から順に変えて組み合わせます。
約数の個数を求める問題では、指数に1を足して掛けます。
最大公約数を求める問題では、共通する素因数の小さい指数を選びます。
最小公倍数を求める問題では、出てくる素因数の大きい指数を選ぶ流れです。
同じ素因数分解でも、問題によって注目する部分が異なります。
何を求める問題なのかを最初に確認すると、不要な計算を避けられます。
約数の列挙では指数の組み合わせを作ります。
約数の個数では指数に1を足して掛けます。
問題のゴールを先に見極めることが、効率的な計算への近道です。
よくある間違いと見直し
よくある間違いは、1を素数に含めてしまうことです。
1は素数でも合成数でもないため、素因数分解の部品には入りません。
また、指数を見落として、23を2×3と計算してしまう例もあります。
23は2を3回掛ける意味なので、2×2×2です。
約数を並べた後には、すべてが元の数を割り切るかを確認しましょう。
さらに、約数の個数の公式による答えと、列挙した個数を比べると安心です。
素因数分解、個数、列挙の三つを照らし合わせれば、計算の正確さが高まります。
約数の求め方のまとめ
約数を素因数分解で求めるときは、まず数を素数だけの掛け算に直します。
その後、各素因数を0回から指数の回数まで使う組み合わせを考えます。
組み合わせを掛け合わせれば、約数を漏れなく作れるでしょう。
約数の個数だけを求める場合は、各指数に1を足して掛ける方法を使います。
約数をすべて書く場合には、表や積の組を利用し、小さい順に整理するのがおすすめです。
素因数分解は約数だけでなく、最大公約数や最小公倍数にもつながる重要な考え方になります。
基本の手順を繰り返し練習し、数の構造をつかんでいきましょう。