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ボルトせん断強度の計算方法は?公式や求め方も!(断面積:許容せん断応力:安全率など)

ボルトせん断強度計算の基本
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ボルトせん断強度の計算方法は?公式や求め方も!(断面積:許容せん断応力:安全率など)

機械部品や鉄骨、架台、配管支持金具などをボルトで接合する場合、引張強度だけでなくせん断強度の確認が欠かせません。

せん断による破損は、締結部が横方向にずれようとしたときに起こり、荷重条件やボルトの断面積、安全率の設定によって必要本数が変わります。

本記事では、ボルトせん断強度の基本公式と実務的な計算手順を、許容せん断応力、ねじ部断面積、単純せん断と二重せん断の違いまで含めて整理します。

材料表や規格値を参照するときの注意点も押さえれば、設計計算書の作成や既設ボルトの安全確認にも役立つでしょう。

ボルトせん断強度計算の基本

ボルトせん断強度計算の基本

それではまずボルトせん断強度計算の基本について解説していきます。

せん断強度が示す意味

せん断強度とは、部材を互いに逆向きへ滑らせるような力に対して、破断せずに耐えられる能力です。

ボルト接合では、締結された板材やブラケットが横方向の荷重を受け、その力がボルトの軸に対して直角に作用する状態を考えます。

たとえば壁面に固定した金具へ荷重が下向きに加わる場合、ボルトには引張力とせん断力が同時に発生することがあります。

このうち、ボルト軸を横から切るように働く成分がせん断力です。

せん断力が許容範囲を超えると、ボルト軸が切断されるだけでなく、接合材の穴が広がる、板材が破れる、締結部がずれるといった不具合につながります。

ボルトだけを計算対象にせず、接合される板材や穴周辺も確認することが、実用的な強度設計の出発点となります。

基本公式と必要な数値

ボルト一本に作用するせん断応力は、せん断力を有効断面積で割って求めます。

せん断応力 τ = せん断力 V ÷ 断面積 A

ボルト一本が負担するせん断力 V = 全せん断荷重 P ÷ 有効本数 n

安全率を考慮する場合の必要耐力 = 設計荷重 P × 安全率

τはせん断応力、Vはボルト一本にかかるせん断力、Aはせん断面における断面積を表します。

単位は、荷重をN、断面積をmm2で扱うと、応力はN/mm2となります。

N/mm2はMPaと同じ大きさなので、材料の許容応力表と比較しやすい単位です。

計算では、荷重、ボルト本数、ボルト径、ねじ部か軸部か、安全率、せん断面の数を先に整理すると、計算途中の取り違えを防げます。

許容値による判定方法

設計では、算出したせん断応力が材料の許容せん断応力以下であるかを確認します。

判定の考え方はシンプルですが、許容応力の根拠を明確にすることが重要です。

判定式 τ ≦ 許容せん断応力 τa

または 設計せん断力 V ≦ 許容せん断耐力 Va

許容せん断耐力 Va = 許容せん断応力 τa × 有効断面積 A

許容せん断応力は、材料の引張強さや降伏点から算出する方法と、設計基準やメーカー資料に掲載された値を使う方法があります。

許容値には安全率が織り込まれていることもあるため、すでに安全率を含む許容応力へ、さらに同じ安全率を重ねないよう注意が必要です。

建築、土木、機械、設備架台では適用する基準が異なるため、対象物に合う設計ルールを確認しましょう。

断面積とねじ部の扱い

続いては断面積とねじ部の扱いを確認していきます。

軸部断面積の求め方

ボルトの滑らかな軸部がせん断面に位置する場合、断面積は呼び径を用いた円の面積で計算できます。

軸部断面積 A = π × d2 ÷ 4

dはボルトの呼び径です。

M10ボルトなら d = 10mmとして、断面積はおよそ78.5mm2となります。

ここで使うのは、座金の外径やナットの対辺寸法ではなく、ボルト軸そのものの直径です。

呼び径が大きくなるほど断面積は直径の二乗に比例して増えるため、ボルト径を少し上げるだけでもせん断耐力への影響は大きくなります。

たとえばM10からM12へ変更した場合、直径比は1.2倍ですが、軸部断面積は約1.44倍に増加します。

ただし、穴径や縁端距離、板厚とのバランスが不十分なら、ボルト径だけを大きくしても接合部全体の強度向上にはつながりません。

ねじ部有効断面積の考え方

せん断面がねじ部を通る場合は、滑らかな軸部の面積ではなく、ねじ谷の影響を考慮した有効断面積を使うのが基本です。

ねじ部は谷径が小さく、応力が集中しやすいため、同じ呼び径でも軸部より断面積が小さくなります。

せん断面にねじ山がかかる条件では、ねじ部の有効断面積で安全側に評価します。

一般的な並目ねじでは、引張応力を評価するための有効断面積が規格表に掲載されています。

せん断計算で使用する断面積は、適用する規格、設計指針、ボルト種類により異なる場合があるため、機械設計では社内基準や材料証明書も確認すると安心です。

特に全ねじボルト、寸切りボルト、ねじ部が接合板の位置に来る施工では、軸部として扱わないようにしましょう。

代表的な断面積の比較

次の表は、一般的なメートル並目ねじの呼び径と、軸部断面積および参考となるねじ部有効断面積の目安です。

呼び径 軸部断面積の目安 ねじ部有効断面積の目安 ねじ部を通る場合の注意点
M6 28.3mm2 20.1mm2 小径のため荷重分担や穴の変形を慎重に確認します
M8 50.3mm2 36.6mm2 架台や軽量部品ではねじ部位置を確認します
M10 78.5mm2 58.0mm2 軸部とねじ部で耐力差が大きくなります
M12 113.1mm2 84.3mm2 板厚と穴径の関係も確認します
M16 201.1mm2 156.7mm2 高荷重では偏心による荷重増加に注意します
M20 314.2mm2 244.8mm2 締付け管理と接合材側の支圧強度も重要です

表の値は概算確認に便利ですが、正式な設計では対象ねじのピッチ、強度区分、適用規格に対応する最新の数値を使用してください。

また、ボルトの破断面がどこに生じるかを施工図から読み取り、実際のせん断面が軸部かねじ部かを先に判断することが大切です。

許容せん断応力と安全率

続いては許容せん断応力と安全率を確認していきます。

材料強度からの概算方法

許容せん断応力を概算する際には、ボルト材料の引張強さや降伏点を基準にする考え方があります。

せん断破壊と引張破壊の関係は材料や破壊条件により異なるため、単純に引張強さと同じ値を使うことはできません。

設計の初期検討では、引張強さに一定の係数を掛け、さらに安全率を考慮して目安を求める場合があります。

許容せん断応力は、単なる材料強度ではありません。

荷重の変動、加工誤差、締付け状態、腐食、疲労、施工品質を含めて安全に使うための設計値として扱います。

たとえば静的な荷重だけを受ける一般機械と、振動や繰返し荷重を受ける搬送設備では、同じボルト材料でも求める安全率が変わります。

材料強度からの換算値は概略検討には役立ちますが、最終判断では該当する規格や設計要領を優先しましょう。

安全率を設定する視点

安全率は、想定荷重に対してどの程度の余裕を見込むかを示す値です。

安全率を大きくすると必要なボルト径や本数は増えますが、予測しにくい使用条件への耐性は高まります。

一方で、過度に大きなボルトを選ぶと、板材の縁端距離が不足したり、締結スペースが狭くなったりすることもあります。

安全率は、単に大きければよい数値ではなく、用途に応じた合理的な設定が求められます。

使用条件 安全率を高めに考える要因 確認したい事項
静的な一般設備 荷重の見積もり誤差 最大積載量、ボルト本数、施工状態
振動する機械 繰返し荷重、ゆるみ、疲労 振幅、運転回数、ゆるみ止め
屋外設備 腐食、温度変化、風荷重 防錆仕様、腐食代、気象条件
人が近接する設備 落下や転倒時の危険性 フェールセーフ、二重化、点検頻度
吊り具や支持金具 衝撃荷重、偏荷重 法令、専門規格、使用禁止基準

人身事故や重大な設備停止につながる用途では、一般的な概算式だけで設計を完結させないことが重要です。

専門規格の確認、設計責任者による照査、必要に応じた試験を組み合わせてください。

許容応力と安全率の重複

計算書でよくあるミスは、材料の基準強度、許容応力、安全率の関係が混ざることです。

基準強度から安全率で割って許容応力を求める方式なら、計算の後段で再度同じ安全率を掛ける必要はありません。

反対に、材料強度そのものを用いて耐力を算出した場合は、設計荷重側を安全率で増加させる、または耐力側を安全率で低減させる処理が必要になります。

安全率の扱いは計算書内で一つの方式に統一します。

許容応力設計と終局耐力設計の考え方を混在させると、必要以上に厳しくなる場合と危険側になる場合の両方があります。

設計荷重が通常荷重なのか、係数を掛けた荷重なのかも明記すると、第三者が見ても計算根拠を追いやすくなります。

既設設備を評価する場合も、当時の基準と現在求められる安全水準が異なる可能性を意識しましょう。

単純せん断と二重せん断

続いては単純せん断と二重せん断を確認していきます。

単純せん断の荷重状態

単純せん断は、ボルトに一つのせん断面が生じる接合形式です。

代表例として、二枚の板材を重ねて一本のボルトで締結し、一方の板材が横方向へ引かれる状態が挙げられます。

この場合、ボルトは板材の境界位置で一回切られるような力を受けます。

単純せん断における許容せん断耐力は、基本的にボルト一本の有効断面積に許容せん断応力を掛けて求めます。

複数本のボルトがあるときは、荷重が均等に分担されるかを確認します。

接合部が対称で、荷重の作用線がボルト群の重心に近いほど、均等分担に近づきます。

二重せん断の耐力評価

二重せん断は、中央の部材を両側の板材で挟み、ボルトに二つのせん断面が生じる形式です。

フォーク形状のリンク、両側から挟むブラケット、耳金を使った接合などで見られます。

条件が適切で二つのせん断面が均等に働くなら、ボルト一本のせん断耐力は単純せん断のおよそ二倍として評価できます。

単純せん断の耐力 Va = τa × A

二重せん断の耐力 Va = 2 × τa × A

せん断面数は、実際に部材が滑ろうとする境界の数で数えます。

ただし、部材厚さの違い、穴のがた、偏心、組立誤差があると、二つの面へ完全に均等な荷重が伝わるとは限りません。

二重せん断だから必ず二倍と決めつけず、接合形状と荷重伝達経路を確認する必要があります。

偏心荷重とボルト群の影響

ボルトが複数本ある接合部では、単純に全荷重を本数で割れないケースがあります。

荷重の作用位置がボルト群の重心から離れていると、せん断力に加えて回転させようとする力が発生します。

この回転作用により、外側にあるボルトほど大きな荷重を負担することがあります。

偏心荷重を受けるブラケット、片持ち金具、モーター架台、配管ラックの支持部では特に注意が必要です。

ボルト本数を増やしても、偏心を放置すると一部のボルトに荷重が集中します。

荷重の作用線をボルト群の重心へ近づける配置は、強度と耐久性の両面で有効です。

設計の初期段階では、ボルトを対称に配置できないか、ブラケットの形状を変更できないか、補強リブを追加できないかを検討するとよいでしょう。

必要なら、ボルト群の弾性解析や接合部の詳細計算を行い、最も大きい荷重を受けるボルトで判定します。

計算手順と具体例

続いては計算手順と具体例を確認していきます。

計算前に整理する条件

ボルトせん断強度を求める前に、荷重条件と接合条件を一覧にすると計算がスムーズです。

必要な情報には、作用荷重、荷重の向き、ボルト本数、ボルト径、強度区分、せん断面の位置、接合板の板厚などがあります。

荷重は常時荷重だけではなく、積載荷重、起動停止時の慣性力、風圧、地震、衝撃なども必要に応じて加えます。

ボルトが複数本ある場合、荷重が均等に伝わる対称配置か、偏心を含む配置かも確認しましょう。

図面上のボルト配置と、荷重が伝わる実際の経路を一緒に見ることで、机上計算だけでは見落としやすい問題を減らせます。

M10ボルト四本の計算例

ここでは、M10ボルトを四本使用した接合部が、合計12kNのせん断荷重を受ける例を考えます。

荷重はボルト四本に均等に分担され、単純せん断であり、せん断面はねじ部にかかるものとします。

M10のねじ部有効断面積を58.0mm2、許容せん断応力を100N/mm2として概算します。

ボルト一本あたりのせん断力 V = 12000N ÷ 4本 = 3000N

ボルト一本あたりのせん断応力 τ = 3000N ÷ 58.0mm2

τはおよそ51.7N/mm2となります。

算出した51.7N/mm2は、仮定した許容せん断応力100N/mm2以下です。

この条件では、ボルトのせん断応力だけを見る限り、許容範囲内と判断できます。

ただし、これはボルト軸のせん断に限定した確認です。

板材の穴周辺に生じる支圧、板の端部から抜ける破断、ボルトの引張応力、繰返し荷重による疲労は別途評価する必要があります。

必要本数を逆算する方法

既知の荷重に対して必要なボルト本数を求めたい場合は、ボルト一本あたりの許容せん断耐力から逆算します。

たとえば、ねじ部有効断面積58.0mm2、許容せん断応力100N/mm2のM10ボルトを使うなら、一本あたりの許容せん断耐力は5800Nです。

全せん断荷重が18kNで、均等分担が期待できる場合、18kNを5.8kNで割ると約3.1本となります。

したがって、せん断力だけの単純計算では四本以上が必要となります。

本数は端数を切り上げるだけでなく、ボルト配置の対称性、施工性、将来の荷重増加、万一の一本不具合も考慮して決めます。

二本より四本のほうが常に有利とは限らず、取付板の幅が狭い場合は穴間隔や縁端距離の不足が問題になるため、接合部全体で検討してください。

接合部全体の安全確認

続いては接合部全体の安全確認を確認していきます。

支圧と板材の破損

ボルトに横荷重が加わると、ボルト軸は接合板の穴の内側を押します。

この押し付けによる局部的な応力が支圧です。

ボルト自体に余裕があっても、板材が薄い、材料が軟らかい、穴径が大きすぎると、穴が長円形に変形することがあります。

支圧破壊が進むと締結部のがたが増え、荷重分担が乱れ、振動や疲労の原因にもなります。

板材の支圧強度は、板厚、ボルト径、材料強度、穴の状態を踏まえて確認します。

ボルトを高強度品へ変更しても、板材が弱ければ接合部の許容荷重は上がらない点が重要です。

縁端距離と穴間隔

ボルト穴が板材の端に近すぎると、荷重が加わった際に端部まで裂けるような破断が起こる可能性があります。

また、ボルト同士の間隔が狭すぎると、穴の間で板材が破断したり、締付け作業が難しくなったりします。

必要な縁端距離や穴間隔は、ボルト径、穴径、板材の種類、製作方法、適用規格によって定められます。

穴を現場合わせで追加工する場合は、設計時の位置からずれていないか、穴径が過大になっていないかを確認してください。

長穴を使う接合では、荷重方向、長穴の向き、座金の仕様も強度に影響します。

施工上の逃げとして長穴を設けるだけではなく、荷重伝達の仕組みを考えた上で仕様を決める必要があります。

引張力と疲労の確認

ブラケットや支持金具では、せん断力だけが作用する理想状態は多くありません。

荷重が接合面から離れた位置にかかると、ボルトには引張力も生じます。

せん断と引張が同時に作用する場合は、それぞれを個別に確認するだけでなく、組み合わせた状態での評価が必要です。

さらに、繰返し荷重を受ける箇所では、最大荷重が許容範囲内でも、長期間の応力変動によって疲労破壊が起きることがあります。

振動する設備では、強度計算と同じくらいゆるみ対策が重要です。

適正な締付けトルク、座金、ねじロック剤、ダブルナットなどは、使用環境に合わせて選定します。

定期点検では、ナットのゆるみ、赤錆、穴の変形、接合面のずれ、ボルトの伸びを確認しましょう。

設計値に余裕があっても、腐食やゆるみによって実際の耐力は低下するため、維持管理まで含めた考え方が必要です。

ボルトせん断強度計算のまとめ

ボルトせん断強度は、せん断力を有効断面積で割ってせん断応力を求め、許容せん断応力と比較して判定します。

せん断面が滑らかな軸部にあるか、ねじ部にかかるかで使う断面積が変わるため、最初に破断を想定する位置を見極めることが重要です。

単純せん断と二重せん断では耐力評価が異なり、偏心荷重がある接合では各ボルトの負担が均等にならない場合があります。

安全率は材料強度や許容応力との関係を整理し、同じ考え方を重複させないように扱いましょう。

また、実際の接合部ではボルトのせん断破断だけでなく、板材の支圧、穴周辺の破断、縁端距離、引張力、疲労、腐食、ゆるみまで確認する必要があります。

概算では公式を活用しつつ、重要設備や人に危険が及ぶ用途では、適用規格と詳細な設計条件に基づいて安全性を判断してください。