Excelで金額、数量、時間、単価などを扱うと、小数点以下を切り捨てたい場面があります。
ただし、セルに表示される小数だけを見えなくしたいのか、計算結果そのものを整数にしたいのかによって、使うべき方法は異なります。
表示形式だけを変更しても、セル内部の値や計算に使われる小数は残るため、請求金額や集計結果では特に注意が必要です。
小数点以下を切り捨てる主な方法は、表示だけを整数にする書式設定、計算結果を整数に変えるROUNDDOWN関数、関数を使わず数式で処理する方法です。
この記事では、サンプルデータを使いながら、Excelで小数点以下を切り捨てる方法を用途別に解説します。
サンプルデータは1行目に見出しがあり、B列に元の数値、C列に切り捨て後の結果を表示する想定です。
エクセルで小数点以下を切り捨てる方法1【表示形式の小数点以下を減らす操作】
| 行 | A列 | B列 | C列 |
|---|---|---|---|
| 1 | 商品名 | 単価 | 表示用単価 |
| 2 | ノート | 128.75 | 128 |
| 3 | ペン | 96.20 | 96 |
それではまず、関数を使わずに見た目だけ小数点以下を表示しない方法について解説していきます。
小数点以下の表示桁数を減らすボタン
Excelのホームタブには、小数点以下の表示桁数を増やすボタンと減らすボタンがあります。
整数で表示したいセル範囲を選択し、小数点以下の表示桁数を減らすボタンを必要な回数だけクリックすると、小数部分が表示されなくなります。
たとえば128.75のセルでは、表示桁数を0にすると129と表示される場合があります。
これは単純な切り捨てではなく、表示上の四捨五入が行われるためです。
そのため、値が128.75なら128にしたいという目的には、このボタンだけでは適しません。

画面上で小数を隠すだけでよい帳票や、概算値を読みやすくしたい表なら便利な操作です。
セルの書式設定による整数表示
対象セルを選択し、右クリックからセルの書式設定を開く方法もあります。
表示形式の分類で数値を選び、小数点以下の桁数を0に設定すると、セルは整数表示になります。
書式設定は元の値を変更しない表示上の設定であり、数式バーには小数を含む本来の値が残ります。
たとえばB2に128.75が入っていて書式を整数表示にしても、別セルでB2に10を掛けると1287.5として計算されます。
見積書の見た目を整える目的と、計算を切り捨てる目的を混同しないことが大切です。
表示形式で切り捨てに見せる際の注意点
小数点以下を0桁にした数値書式は、一般に四捨五入表示になります。
したがって、98.4は98と見えても、98.5は99と見えることがあります。
負の数でも表示の丸め方に注意が必要で、-98.5は-99と表示されることがあります。
書式設定が向くケースは、元データの精度を保持したまま、画面や印刷物だけを簡潔に見せたい場合です。
金額を必ず切り捨てて請求額を決める場合は、次のROUNDDOWN関数や数式を使いましょう。
【操作のポイント】表示桁数を0にしても値は変わりません。切り捨て計算が必要か、見た目の調整だけでよいかを先に決めます。
ROUNDDOWN関数による小数点以下の切り捨て

| 行 | A列 | B列 | C列 |
|---|---|---|---|
| 1 | 商品名 | 計算前の金額 | 切り捨て結果 |
| 2 | ノート | 128.75 | 128 |
| 3 | ペン | 96.20 | 96 |
続いては、Excelで確実に小数点以下を切り捨てる代表的なROUNDDOWN関数を確認していきます。
ROUNDDOWN関数の基本構文
ROUNDDOWN関数は、指定した桁数に向かって数値を切り捨てる関数です。
=ROUNDDOWN(数値,桁数)
数値には切り捨てたいセルや数値を指定し、桁数には残したい小数点以下の桁数を指定します。
小数点以下をすべて切り捨てて整数にする場合は、桁数を0にします。
C2セルへ=ROUNDDOWN(B2,0)と入力すると、B2の128.75は128になります。
関数の結果は表示だけではなく、セルに保存される計算値そのものが128になる点が重要です。
小数第1位や小数第2位での切り捨て
小数点以下をすべて消すのではなく、小数第1位まで残してそれ以降を切り捨てたいこともあります。
この場合は桁数を1にし、=ROUNDDOWN(B2,1)と入力します。
128.75の結果は128.7となり、小数第2位の5は切り捨てられます。
小数第2位まで残すなら、=ROUNDDOWN(B2,2)です。
桁数は残したい桁の数であり、捨てたい桁の数ではないと覚えると入力ミスを防げます。
桁数が0なら整数、1なら小数第1位、2なら小数第2位までを残します。
負の数を切り捨てる場合の結果
負の数にROUNDDOWN関数を使うと、数値は0に近づく方向へ丸められます。
たとえば=ROUNDDOWN(-128.75,0)の結果は-128です。
これは数学でいう絶対値を小さくする方向の処理であり、-129にする処理とは異なります。
負の数をより小さい整数へ丸めたい場合はINT関数やFLOOR関数も検討しましょう。
返品額、差額、値引き額などで負の数を扱う表では、テスト用の値を入力して期待どおりの結果になるか確認することをおすすめします。
【操作のポイント】整数化には=ROUNDDOWN(B2,0)を入力します。下方向へオートフィルすると、各行の計算結果をまとめて作成できます。
関数を使わない小数点以下の切り捨て計算式
| 行 | A列 | B列 | C列 |
|---|---|---|---|
| 1 | 商品名 | 元の数値 | 整数部分 |
| 2 | ノート | 128.75 | 128 |
| 3 | ペン | 96.20 | 96 |
続いては、ROUNDDOWN関数を使わずに小数点以下を処理する計算式について確認していきます。
INT関数による整数化
INT関数は、数値を指定した整数以下に切り捨てる関数です。
=INT(数値)
C2セルに=INT(B2)と入力すると、128.75は128になります。
正の数だけを対象にするなら、ROUNDDOWN(B2,0)と同じように使える便利な方法です。
一方で、-128.75をINT関数で処理すると-129になります。
負の数ではINT関数は常に小さい整数へ進むため、ROUNDDOWN関数の結果とは異なります。

TRUNC関数による小数部分の削除
TRUNC関数は、指定した桁より下の数値を切り捨てる関数です。
=TRUNC(数値,桁数)
小数点以下をすべて削除するなら、=TRUNC(B2,0)と入力します。
桁数を省略して=TRUNC(B2)と入力しても、整数部分だけを取り出せます。
負の数では、TRUNC(-128.75)の結果は-128です。
この動きはROUNDDOWN関数と近く、0に近づく方向で小数部分を取り除きたい場合に適しています。
データを整数化する意図が明確な表では、TRUNC関数も読みやすい選択肢になります。
割り算と整数部を組み合わせる考え方
十の位、百の位、千円単位などで切り捨てたいときは、桁を移動させてから整数化する考え方を使えます。
たとえば12875円を百円単位で切り捨てる場合、=ROUNDDOWN(B2,-2)と入力すると12800になります。
関数の仕組みを理解するためには、100で割って整数化し、再び100を掛ける流れを考えると分かりやすいでしょう。
百円単位の考え方は、元の数値を100で割る、整数部分だけを残す、100を掛け直すという流れです。
計算式の例は=INT(B2/100)*100です。
金額の端数処理では、どの単位で切り捨てるかを事前に決め、請求ルールと数式を一致させる必要があります。
【操作のポイント】正の数だけならINT関数でも整数化できます。負の数がある表では、0へ近づけるのか小さい値へ進めるのかを確認します。
小数点以下の切り捨て結果を数式で作成する手順
| 行 | A列 | B列 | C列 |
|---|---|---|---|
| 1 | 商品名 | 税抜価格 | 切り捨て価格 |
| 2 | ノート | 128.75 | =ROUNDDOWN(B2,0) |
| 3 | ペン | 96.20 | =ROUNDDOWN(B3,0) |
続いては、入力した切り捨て数式を下の行へコピーし、実務用の一覧表へ反映する手順を確認していきます。
先頭セルへの数式入力
まず、結果を表示する最初のセルであるC2をクリックします。
数式バーまたはセルに=ROUNDDOWN(B2,0)と入力し、Enterキーを押しましょう。
これにより、B2の小数を切り捨てた結果がC2に表示されます。
参照セルB2は、元データが入っている同じ行のセルを指定することが基本です。
列の位置が異なる場合でも、切り捨てたい値が入ったセル番地に読み替えれば同じ考え方で使えます。
オートフィルによる数式コピー
C2に数式を入力したら、セル右下にある小さな四角形のフィルハンドルへマウスポインターを合わせます。
ポインターが黒い十字になった状態で、必要な行まで下方向へドラッグします。
するとC3には=ROUNDDOWN(B3,0)、C4には=ROUNDDOWN(B4,0)というように、行番号を自動調整した数式が入ります。
先頭セルの数式だけを正しく作れば、オートフィルで大量データにも対応できるのがExcelの利点です。
隣接するB列にデータが連続している場合は、フィルハンドルをダブルクリックして最終行まで自動コピーする方法もあります。
値貼り付けによる計算結果の固定
数式の結果を固定したいときは、数式が入ったC列をコピーし、形式を選択して貼り付けから値を選びます。
値貼り付け後は数式ではなく結果の数値だけが残るため、B列の元データを変更してもC列の数字は変わりません。
提出用のデータ、他システムへ渡すCSV用の表、確定した請求一覧などでは便利な処理です。
ただし、後から元データを修正して再計算したい表では、値貼り付けを行う前に元ファイルを保存しておくと安心です。
数式を残す表は自動更新向きです。
値貼り付けした表は、確定値として渡す用途に向いています。
【操作のポイント】C2に数式を入れ、フィルハンドルで下へコピーします。提出前に値貼り付けを使う場合は、数式入りの元データも保管します。
金額や税額での端数処理と書式設定の使い分け
| 行 | A列 | B列 | C列 |
|---|---|---|---|
| 1 | 内容 | 計算値 | 端数処理後 |
| 2 | 税込金額 | 1102.80 | 1102 |
| 3 | 割引後金額 | 845.99 | 845 |
続いては、金額計算で小数点以下を切り捨てるときの考え方と、表示形式との使い分けを確認していきます。
税額計算で切り捨てる位置
消費税を計算すると、小数を含む結果になることがあります。
たとえば税抜価格B2に10パーセントを掛け、税額だけを切り捨てるなら、=ROUNDDOWN(B2*10%,0)と入力します。
=ROUNDDOWN(B2*10%,0)
税込価格を求めてから合計を出すのか、各商品の税額を切り捨ててから合計するのかで、最終金額が変わることがあります。
端数処理は数式の中でどの段階に入れるかによって合計額が変化するため、社内ルールや取引条件に合わせる必要があります。
処理方法を決めたら、同じ表の中で統一することが実務上の基本です。
表示だけを整数にするケース
売上分析や予算比較では、細かな小数を残したまま、グラフや一覧表だけを見やすくしたいことがあります。
このようなケースでは、数値の表示形式を0桁にする方法が向いています。
内部計算には小数を使い続けられるため、平均単価、比率、構成比などの精度を維持できます。
分析用の元データは小数を保持し、報告用の表示だけを整えると、再計算や検証をしやすくなります。
元データ列と表示用列を分ける設計にすると、切り捨ての有無を後から確認しやすいでしょう。
切り捨てと四捨五入の選択基準
端数処理には切り捨て、切り上げ、四捨五入があります。
常に下の整数へ処理するならROUNDDOWN関数、近い整数へ丸めるならROUND関数を使います。
小数が少しでもあれば上の整数へ進める必要がある場合はROUNDUP関数を使いましょう。
=ROUNDDOWN(B2,0)は小数点以下を切り捨てます。
=ROUND(B2,0)は小数第1位を基準に四捨五入します。
=ROUNDUP(B2,0)は小数点以下があれば切り上げます。
どの関数が正しいかは計算の目的ではなく、端数処理のルールによって決まる点を押さえましょう。
【操作のポイント】金額の端数処理では、合計前か合計後かも重要です。計算式の位置をそろえ、書式設定だけで済ませないようにします。
まとめ エクセルで小数点以下を切り捨てる方法
Excelで小数点以下を切り捨てるには、表示だけを整えたいのか、計算結果そのものを整数にしたいのかを最初に判断することが重要です。
見た目だけを変えたい場合は、ホームタブの表示桁数やセルの書式設定を使えます。
ただし、表示形式は四捨五入表示になる場合があり、セル内部の小数値は残ります。
実際の計算結果を切り捨てたい場合は、=ROUNDDOWN(B2,0)が最も分かりやすい基本式です。
正の数を整数化するだけならINT関数やTRUNC関数も使えますが、負の数では結果の考え方が異なります。
金額、税額、数量などの端数処理では、どの段階で切り捨てるかによって合計値が変わることもあります。
元データを残したうえで結果列に数式を作り、必要に応じてオートフィルや値貼り付けを使い分けましょう。
目的に合った方法を選べば、Excelの小数点以下の処理を正確かつ効率的に進められます。