自動車やバイク、農機、発電機、エアコンなどの仕様を見ると、馬力とkWの両方が表示されていることがあります。
同じ力を表しているように見えても、PSとHPの違いや、ワットへの変換方法まで含めると迷いやすいところです。
この記事では馬力とkWの基本関係、実務で役立つ計算式、換算表の見方をわかりやすく整理します。
馬力とkWの基本関係

それではまず馬力とkWの関係について解説していきます。
馬力とキロワットの意味
馬力は、もともと馬がどれほどの仕事をできるかを基準として生まれた出力の単位です。
一方のkWはキロワットと読み、国際単位系で使われる出力の単位になります。
出力とは、一定時間にどれだけ仕事をしたかを示す量です。
自動車であれば加速力や最高速度に関わり、モーターやポンプなら回転や送水の能力に関係します。
kWは1000Wを表す単位であり、電気製品の消費電力や発電設備の能力でも広く用いられます。
馬力は日常的に理解しやすい表現ですが、技術資料や国際的な製品仕様ではkWでの表示が中心です。
PSとHPの単位差
馬力には主にPSとHPという二つの表記があります。
PSは仏馬力とも呼ばれ、日本の自動車カタログなどで長く使われてきた単位です。
HPは英馬力であり、海外製エンジン、工作機械、船舶用機器などで見かけることがあります。
両者は似ていますが、完全に同じ大きさではありません。
1PSは約0.7355kW、1HPは約0.7457kWという差があります。
数値が小さい機器では差が目立ちにくいものの、高出力のエンジンでは換算結果に数kW以上の開きが出る場合があります。
出力とトルクの関係
馬力やkWを読むときは、トルクとの違いも押さえておくと理解しやすくなります。
トルクは回転させる力の強さであり、単位はN・mです。
出力はトルクと回転数の組み合わせで決まり、高回転まで回るエンジンでは最大出力が大きくなりやすい傾向があります。
馬力やkWは仕事をする速さを示し、トルクは回そうとする力を示します。
加速感や登坂性能を判断するときは、最大出力だけでなく最大トルクと発生回転数も確認するとよいでしょう。
カタログの馬力が大きくても、低回転域の扱いやすさまで同じとは限りません。
馬力からkWへの換算方法
続いては馬力からkWへの換算方法を確認していきます。
PSをkWに換算する計算式
PSをkWに変換するときは、PSの数値に0.7355を掛けます。
kW = PS × 0.7355
たとえば100PSの場合は、100 × 0.7355で73.55kWです。
厳密な表示では小数点以下まで扱うことがありますが、日常的な比較なら小数第一位程度に丸めても問題ありません。
100PSはおよそ73.6kWと覚えておくと、車両の出力を見比べる際に便利です。
HPをkWに換算する計算式
HPをkWに換算する場合は、HPの数値に0.7457を掛けます。
kW = HP × 0.7457
たとえば100HPの場合は、100 × 0.7457で74.57kWです。
同じ100という数字でも、100PSと100HPではkW換算後の値が異なります。
部品表や輸入機械の仕様書を見るときは、単に馬力と書かれているだけで判断せず、PSかHPかを必ず確認しましょう。
kWから馬力へ戻す計算式
kWからPSへ換算するときは、kWの数値を0.7355で割ります。
kWからHPへ換算する場合は、0.7457で割る方法です。
PS = kW ÷ 0.7355
HP = kW ÷ 0.7457
80kWは約108.8PS、約107.3HPに相当します。
逆算では掛け算と割り算を取り違えないことが大切です。
電動モーターの定格出力を従来の馬力感覚で把握したいときにも、この換算式が役立ちます。
PS・kW・HPの換算表
続いてはPS・kW・HPの換算表を確認していきます。
小出力機器の換算目安
家庭用ポンプ、小型コンプレッサー、芝刈り機などでは、1馬力前後の仕様がよく使われます。
| PS | kW | HPの目安 |
|---|---|---|
| 1PS | 0.74kW | 0.99HP |
| 2PS | 1.47kW | 1.97HP |
| 3PS | 2.21kW | 2.96HP |
| 5PS | 3.68kW | 4.93HP |
| 10PS | 7.36kW | 9.87HP |
銘板にkW表記しかない場合でも、上の数値を目安にすれば従来の馬力表示と比較しやすくなります。
自動車とバイクの換算目安
自動車やバイクでは数十PSから数百PSまでの範囲が比較対象になりやすいでしょう。
| PS | kW | HPの目安 |
|---|---|---|
| 50PS | 36.8kW | 49.3HP |
| 100PS | 73.6kW | 98.7HP |
| 150PS | 110.3kW | 148.0HP |
| 200PS | 147.1kW | 197.3HP |
| 300PS | 220.7kW | 296.0HP |
| 500PS | 367.8kW | 493.2HP |
200PSは約147kWであり、電気自動車のカタログをガソリン車と比較する場合にも使いやすい基準です。
ワット換算の考え方
kWをWに変換する方法はシンプルです。
1kWは1000Wなので、kWの数値に1000を掛ければWになります。
1PSは約735.5Wです。
1HPは約745.7Wです。
電力計算や電気料金の計算では、馬力ではなくWまたはkWにそろえると誤差を防ぎやすくなります。
ただし出力と消費電力は同じ意味ではありません。
モーターの出力が1kWでも、損失を含めた入力電力はそれより大きくなることがあります。
機器別の馬力表示と確認ポイント
続いては機器別の馬力表示と確認ポイントを確認していきます。
自動車の最高出力表示
自動車では最高出力がkWとPSで併記されるケースが一般的です。
たとえば100kWと表示されていれば、約136PSと換算できます。
ただし最高出力は特定の回転数で発生する最大値です。
実際の燃費、街乗りの扱いやすさ、追い越し時の加速などは、車重や変速機、モーター特性にも左右されます。
出力の大きさだけで車の性格を決めつけないことが、比較で失敗しないコツです。
モーターとコンプレッサーの定格出力
産業用モーターやコンプレッサーでは、0.75kW、1.5kW、2.2kWといった区分で販売されることが多くあります。
これはおおむね1PS、2PS、3PSに近い出力です。
ただし負荷の種類、連続運転時間、設置環境、電源電圧によって必要な能力は変わります。
置き換え時には馬力だけでなく、回転数、軸径、電流値、取付寸法も確認してください。
エアコンの馬力表記
業務用エアコンでは、馬力という呼び方が能力の目安として使われることがあります。
この場合の馬力は、モーター出力そのものではなく、冷房能力の区分として扱われる場合があります。
そのため、エアコンの1馬力を単純に0.7355kWへ変換して消費電力と考えるのは適切ではありません。
機器分野によって馬力が示す対象を確認することが重要です。
換算時に注意したい違い
続いては換算時に注意したい違いを確認していきます。
公称値と実測値の違い
カタログに掲載される出力は、定められた試験条件で測定した値です。
気温、気圧、湿度、燃料、吸気状態、電圧などが変われば、実際に得られる出力も変動します。
とくにエンジンは高地や高温環境で性能が変化しやすいため、数値を絶対的な性能として扱いすぎないほうがよいでしょう。
定格出力と最大出力の違い
定格出力は、機器が一定条件で継続的に出せる出力の基準です。
最大出力は短時間に発揮できる上限値として示されることがあります。
連続運転が必要なポンプや送風機では、最大値ではなく定格値を基準に選定する必要があります。
最大出力が大きくても、連続使用に適しているとは限りません。
業務用機器では定格出力、定格電流、使用率をまとめて確認しましょう。
丸め処理と表記ルール
換算表では見やすさを優先して、小数第一位や小数第二位で丸めることがあります。
そのため、換算後のPS、kW、HPを再計算すると、わずかな差が出る場合があります。
見積書や設計書では採用する換算係数を統一すると、数値の食い違いを防げます。
法令、認証、契約書に関わる性能値は、メーカーの公式仕様や適用規格を優先してください。
馬力とkWの関係のまとめ
馬力とkWはいずれも出力を示す単位であり、PSとHPでは換算係数が少し異なります。
PSからkWへは0.7355を掛け、HPからkWへは0.7457を掛ける方法が基本です。
逆にkWからPSを求める場合は0.7355で割り、kWからHPを求める場合は0.7457で割ります。
1PSは約0.74kW、100PSは約73.6kWと覚えておくと、日常的な比較がぐっとスムーズになります。
ただし自動車、モーター、エアコンでは、馬力が指す内容や確認すべき仕様が異なることがあります。
換算式だけに頼らず、最大出力、定格出力、トルク、消費電力まで確認し、用途に合った判断につなげましょう。