倍数算とは?解き方と問題の解法も!(線分図:比:割合:文章題:中学受験:小学生向け:つるかめ算との違いなど)
倍数算は、二つ以上の数量を比べながら、基準となる量をもとに答えを導く計算方法です。
中学受験の算数では頻出の考え方であり、文章題を線分図で整理する力にもつながります。
一見すると複雑な問題でも、何を一と見るかを決めれば、割合や比の問題として見通しがよくなります。
この記事では、小学生にもわかりやすい倍数算の意味、基本の解き方、文章題への使い方、つるかめ算との違いまで順番に紹介します。
倍数算の意味と答えを出す基本手順

それではまず、倍数算の考え方と基本手順について解説していきます。
基準の量を一と考える方法
倍数算では、ある数量を基準にして一と考え、その何倍に当たるかでほかの数量を表します。
たとえば、弟の持っているカードが十二枚で、兄は弟の三倍持っている場合、弟を一とすれば兄は三です。
二人分を合わせた量は、一と三を足して四となります。
この四が全体の何部分に当たるかを考えれば、全体の枚数や一人分の枚数を求められます。
倍数算で最初に決めるべきなのは、どの量を基準の一にするかという点です。
基準を取り違えると、その後の式が正しくても答えがずれてしまうため、文章を読んだ直後に確認する習慣が大切です。
弟のカードを一と考えます。
兄は弟の三倍なので三です。
二人の合計は一足す三で四です。
弟が十二枚なら、一に当たる量は十二枚となります。
兄は十二かける三で三十六枚です。
倍の関係を足した数で全体を分ける考え方
合計がわかっていて、それぞれが何倍かで示されている問題では、倍数を足して全体を分けます。
たとえば、赤いリボンと青いリボンの長さの合計が八十センチメートルで、赤が青の三倍なら、青を一、赤を三と見ます。
合計は四つ分なので、八十を四で割れば一つ分が求められます。
青は二十センチメートル、赤は六十センチメートルです。
計算だけを見ると割り算と掛け算の組み合わせですが、なぜ四で割るのかを図で説明できることが理解の目安になります。
問題文の数字をそのまま操作する前に、全体が何個分に分かれているのかを考えましょう。
差がわかる問題での基本的な見方
倍数算では、合計だけでなく二つの量の差が示される問題もよく出題されます。
兄が弟の四倍で、二人の持っている金額の差が九百円という場合を考えてみましょう。
弟を一、兄を四とすると、二人の差は三つ分です。
その三つ分が九百円なので、一つ分は三百円とわかります。
弟は三百円、兄は千二百円です。
差の問題では、大きい数から小さい数を引いた倍数に注目することがポイントになります。
倍数算の答えを出す流れは、基準を一にする、全体または差が何個分かを数える、一個分を求める、必要な量に戻す、という順番です。
この流れを守れば、文章が長い問題でも途中で迷いにくくなります。
線分図による倍数関係の整理
続いては、線分図を使って倍数の関係を整理する方法を確認していきます。
同じ長さの線を並べる描き方
線分図は、数量の大きさや関係を横線の長さで表す図です。
倍数算では、基準にする量を短い一本の線で描き、何倍の量には同じ長さの線を必要な数だけつなげます。
たとえば、みかんの数が兄は弟の三倍なら、弟の線を一本、兄の線を同じ長さで三本分描きます。
線の一本分が同じ量を表しているため、合計や差の意味が目で見てわかりやすくなります。
文章題を読んで頭の中だけで考えるよりも、同じ単位の線に置き換えることで数量の構造が見えます。
特に、問題文に何倍、何分の一、合計、差という言葉が出てきたら、線分図との相性がよいでしょう。
合計を使う線分図の読み取り方
合計を使う問題では、複数の線を並べたあと、全部で何本分になるかを数えます。
父と子の年齢の合計が五十歳で、父の年齢が子の四倍なら、子を一本、父を四本として描きます。
二人の年齢は合計五本分です。
五十歳を五で割れば、子の年齢に当たる一本分が十歳と求められます。
父は四本分なので四十歳です。
線の本数と数字の対応を丁寧に書くと、途中式の意味も説明しやすくなります。
| 問題でわかっていること | 線分図で見る部分 | 主な計算 |
|---|---|---|
| 二つの量の合計 | 線の本数を全部足す | 合計を本数で割る |
| 大きい量と小さい量の差 | 余っている線の本数 | 差を本数で割る |
| 一方の量 | わかっている線の本数 | 量を本数で割る |
| 全体の量 | それぞれの線を合計する | 一個分に本数を掛ける |
差を使う線分図の読み取り方
差が与えられる問題では、長い線と短い線を左端でそろえて描くと理解しやすくなります。
たとえば、Aさんの歩いた距離がBさんの三倍で、二人の距離の差が四百メートルなら、Bさんを一本、Aさんを三本で表します。
左端をそろえると、AさんにはBさんより二本分多い部分があるとわかります。
差の四百メートルは二本分なので、一本分は二百メートルです。
Bさんは二百メートル、Aさんは六百メートルとなります。
差が何本分なのかを線分図で確認してから割り算をすると、三倍だから三で割るという誤りを防げます。
AさんはBさんの三倍です。
Bさんを一本とすると、Aさんは三本です。
差は三本引く一本で二本分です。
差が四百メートルなら、一本分は二百メートルです。
比と割合を使った倍数算の考え方
続いては、比と割合に結び付けて倍数算を考える方法を確認していきます。
倍数と比の置き換え
二つの量の一方がもう一方の三倍であるとき、その比は三対一です。
兄の人数が妹の人数の二倍なら、兄と妹の人数の比は二対一と表せます。
倍数算と比は別の単元のように見えても、量の関係を同じ大きさのまとまりで見る点は共通しています。
倍数の問題を比に直せるようになると、三つ以上の量を扱う問題にも応用しやすくなります。
たとえば、AがBの二倍、BがCの三倍なら、Cを一としたときBは三、Aは六です。
したがってA対B対Cは六対三対一となります。
百分率と小数で表した倍数
割合の問題では、一倍を百分率では百パーセント、小数では一と表します。
一・二倍は百二十パーセントであり、〇・八倍は八十パーセントです。
定価の二割引は、定価の八十パーセント、つまり〇・八倍を支払うことを意味します。
このように、倍数算の考え方は買い物の割引、食塩水の濃度、人口の増減などにも使われます。
何パーセントを何倍に直すかを意識すると、割合の文章題で式を立てやすくなります。
百パーセントを基準の一として読むことが、割合を苦手にしないための基本です。
定価が二千円で、二割引の場合を考えます。
支払う割合は百パーセント引く二十パーセントで八十パーセントです。
八十パーセントは〇・八倍です。
二千かける〇・八で、支払う金額は千六百円です。
基準量が変わる場合の注意点
倍数や割合では、何を基準にしているかが変わると意味も変わります。
去年の売上が今年の売上の二倍という文と、今年の売上が去年の売上の二倍という文では、基準が反対です。
前者では今年を一と見たとき去年が二であり、後者では去年を一と見たとき今年が二です。
また、二倍増えるという表現は、元の量に二倍分が加わるため、合計では三倍になる場合があります。
問題文で単に二倍になったと書かれているのか、二倍増えたと書かれているのかも読み分けましょう。
基準量、比べる量、割合の三つを言葉で確認することが、計算ミスの予防になります。
倍数算では、答えの数字だけでなく、何を一と置いたかを式や図に残すことが重要です。
基準が明確なら、比、割合、百分率へ問題の形が変わっても考え方をつなげられます。
文章題の解き方と式の立て方
続いては、倍数算の文章題を解くための読み方と式の立て方を確認していきます。
条件を短い言葉に分ける方法
文章題が長いときは、一度に全部を理解しようとせず、条件を短い言葉に分けて書き出すとよいでしょう。
たとえば、赤玉は白玉の二倍、赤玉と白玉の合計は三十個、という二つの条件に整理します。
次に、白玉を一、赤玉を二と置けば、合計は三つ分です。
三十を三で割って白玉を求め、その結果を二倍すれば赤玉も求められます。
文章題では、答えを急いで計算するより、条件を図と対応させる時間を取るほうが結果的に近道になります。
数量、単位、何倍か、合計か差かを順に探すと、必要な情報を見落としにくくなります。
合計からそれぞれを求める問題
お菓子を姉と妹で分けたところ、二人の個数の合計は四十八個で、姉は妹の五倍でしたという問題を考えてみましょう。
妹を一とすると姉は五なので、合計は六つ分です。
四十八を六で割ると、妹は八個とわかります。
姉は八かける五で四十個です。
最後に八と四十を足して四十八になるかを確かめると、検算になります。
求めた二つの答えを合計に戻して確かめる習慣は、入試問題でも役立つでしょう。
差からそれぞれを求める問題
姉の貯金は妹の七倍で、二人の貯金の差は千八百円という問題では、妹を一、姉を七と見ます。
差は七引く一で六つ分です。
千八百を六で割ると、一つ分は三百円になります。
妹は三百円、姉は二千百円です。
このとき、千八百を七で割ってしまう誤りが起こりやすいため注意が必要です。
七は姉の全体を表し、差を表しているのは六であることを線分図で確かめましょう。
| 問題の言葉 | 図で確認すること | 一個分の求め方 |
|---|---|---|
| 合計は何個 | 二つの線を合わせた本数 | 合計を合計本数で割る |
| 差は何円 | 長い線の余りの本数 | 差を本数の差で割る |
| AはBの何倍 | Bを一本にしたAの本数 | わかる量に応じて決める |
| 全部で何人 | 各グループの合計本数 | 一個分に全本数を掛ける |
中学受験に多い応用問題とつるかめ算の違い
続いては、中学受験で見られる応用問題とつるかめ算との違いを確認していきます。
三つの量を扱う倍数算
中学受験では、二つの量だけでなく三人や三種類の量の関係を扱う問題も出ます。
たとえば、Aの本数はBの二倍、Bの本数はCの三倍で、三人の合計が六十本という設定です。
Cを一とすると、Bは三、Aは六になります。
合計は十個分なので、六十を十で割ればCは六本です。
Bは十八本、Aは三十六本と求められます。
関係が二段階になっている場合は、一番小さい基準へそろえると、比が簡単になります。
つるかめ算との使い分け
つるかめ算は、二種類のものの個数と合計金額や合計本数などから、それぞれの個数を求める考え方です。
一方の個数がもう一方の何倍という条件が中心なら、基本的には倍数算が向いています。
一個当たりの値段や足の本数の違いを使って個数を求めるなら、つるかめ算で考える場面でしょう。
ただし、実際の問題では倍数関係と単価の違いが同時に出ることもあります。
その場合は、線分図で人数や個数の関係を整理してから、つるかめ算の式へ進むと理解しやすくなります。
倍数算は、数量の比を中心に考える方法です。
つるかめ算は、二種類の一個当たりの違いと合計を利用する方法です。
問題文の中心条件が何倍なのか、一個当たりの違いなのかを見分けることが使い分けの鍵になります。
よくある間違いと見直しの方法
倍数算で多い間違いは、基準にした量を逆にすること、合計の本数を足し忘れること、差の本数を間違えることです。
また、求めた一個分に必要な倍数を掛け忘れ、基準の量だけを書いてしまうこともあります。
見直すときは、答えを問題文の条件へ戻して確認します。
たとえばAがBの四倍という条件なら、求めたAをBで割って四になるかを確かめましょう。
合計や差の条件にも戻して、元の数字と一致するかを確認すれば安心です。
図、式、答えの三つが同じ関係を示しているかを見ることが、確実な見直しにつながります。
倍数算のまとめ
倍数算とは、ある量を一と決め、その何倍に当たるかで数量の関係を整理する計算方法です。
合計がわかる問題では倍数を足した数で全体を割り、差がわかる問題では倍数の差で差の量を割ります。
線分図を描けば、全体が何個分か、差が何個分かを視覚的に確認できます。
比や割合の問題でも、基準を一と考える倍数算の視点が役立つでしょう。
文章題を解くときは、何を基準にするか、合計なのか差なのか、答えをどの条件で確かめるかを順に整理してください。
倍数算は計算のテクニックではなく、数量の関係を正しく読むための考え方です。
基本の線分図と一個分を求める手順を繰り返し練習すれば、中学受験の複雑な文章題にも落ち着いて取り組めるようになります。