Excelで見積額、数量、単価、時間などを扱っていると、小数点以下を切り上げて整数や指定桁にそろえたい場面があります。
ただし、表示だけを整数に見せる方法と、計算結果そのものを切り上げる方法は異なります。
用途に合わない方法を選ぶと、セルでは100と見えているのに合計計算では99.2として扱われる、といった混乱につながるかもしれません。
小数点以下を実際に切り上げるならROUNDUP関数が基本です。
特定の単位へ切り上げるならCEILING関数が便利です。
表示だけを変えたいときはセルの書式設定を使用します。
この記事では、Excelで小数点以下を切り上げる関数、計算式、書式設定の使い分けを、サンプルデータとともに解説します。
数値の意味を変えたいのか、見た目だけを変えたいのかを最初に整理すると、適切な設定を選びやすくなります。
ROUNDUP関数で小数点以下を切り上げる方法
| 商品 | 計算前の数値 | 整数へ切り上げ |
|---|---|---|
| A商品 | 125.3 | 126 |
| B商品 | 80.01 | 81 |
| C商品 | 240 | 240 |
それではまず、最も基本となるROUNDUP関数について解説していきます。
ROUNDUP関数は指定した桁数に向かって数値を必ず大きい方向へ丸める関数です。
正の数を整数にする場合は、わずかでも小数があれば次の整数になります。
ROUNDUP関数の書式
ROUNDUP 数値 桁数
数値には切り上げたいセルまたは数値を指定し、桁数には残したい小数点以下の桁数を指定します。
小数点以下をすべて切り上げる計算式
小数点以下をすべて切り上げて整数にしたい場合は、桁数に0を指定します。
たとえばB2セルに125.3が入力されているとき、C2セルへROUNDUP関数を入力します。
=ROUNDUP(B2,0)
この式の結果は126です。
桁数の0は小数点以下を残さない指定であり、125.3の小数部分だけを捨てるのではなく、数値全体を必ず上方向へ丸める点が重要です。
そのため125.0の結果は125のままですが、125.0001であれば126になります。

サンプルデータで1行目が見出しの場合、C2セルに式を入力してからセル右下のフィルハンドルを下へドラッグすると、C3以降にも参照先を変えた式がコピーされます。
件数が多い表では、オートフィルを使うことで式の入力漏れを防ぎやすくなります。
小数点以下の指定桁を切り上げる計算式
小数第1位まで残して切り上げたいときは、桁数に1を指定します。
B2セルが125.31の場合、次の数式を入力すると125.4になります。
=ROUNDUP(B2,1)
小数第2位まで残す場合は桁数を2に変更します。
たとえば125.301を小数第2位まで切り上げると125.31です。
桁数は残したい桁の数と覚えると、0や1や2の指定を迷わず使えます。
単価を小数第1位単位で処理する、税額の計算結果を小数第2位まで管理する、といった表で役立ちます。
ROUNDUP関数で負の数を扱う注意点
ROUNDUP関数は、負の数でも絶対値が大きくなる方向へ丸めます。
たとえば-125.3にROUNDUP関数で桁数0を指定すると、結果は-126です。
数学的な大小関係では-126は-125.3より小さい数ですが、ROUNDUP関数はゼロから遠ざかる方向へ丸める仕様です。
値引き額、差額、損益など負の数が含まれる表では、想定どおりの結果かを確認しましょう。
【操作のポイント】整数へ切り上げる数式はROUNDUP 関数と0の組み合わせです。数式をコピーする前に、最初のセルで結果を確認します。
CEILING関数による単位ごとの切り上げ

| 利用時間 | 10分単位の請求時間 | 100円単位の金額 |
|---|---|---|
| 23分 | 30分 | 1,230円 |
| 41分 | 50分 | 1,300円 |
続いては、一定の単位に合わせて数値を切り上げるCEILING関数を確認していきます。
ROUNDUP関数が桁数を基準にするのに対し、CEILING関数は5、10、100、0.5などの基準値に合わせて切り上げます。
10単位へ切り上げる計算式
利用時間を10分単位で請求する場合、23分を30分、41分を50分にしたいことがあります。
B2セルの分数を10単位で切り上げる数式は次のとおりです。
=CEILING(B2,10)
CEILING関数の第1引数には対象の数値を指定し、第2引数には切り上げる単位を指定します。
23を10単位で切り上げると30になり、30はすでに10の倍数なので30のままです。
端数を含む料金を決まった区切りで処理する場合に適した方法です。
100円単位へ切り上げる計算式
見積書や請求書で金額を100円単位にそろえたいときも、CEILING関数を使用できます。
たとえばB2セルが1,230の場合、1,300へ切り上げる式は次のとおりです。
=CEILING(B2,100)
1,201や1,299のような数値も、結果は1,300になります。
金額を千円単位に切り上げるなら、第2引数を1000に変更します。
見積金額の端数処理では、社内規定や取引先との取り決めに応じて単位を決めることが大切です。
CEILING関数とROUNDUP関数の使い分け
小数点以下だけを切り上げるならROUNDUP関数が分かりやすい選択です。
一方で、5個単位、10分単位、100円単位のように、倍数に合わせる必要がある場合はCEILING関数が向いています。
たとえば124.2を整数へ切り上げる場合はROUNDUP関数で125になります。
同じ124.2を10単位へ切り上げる場合はCEILING関数で130になります。
何桁残すかではなく、何の倍数に合わせるかで考えると判断しやすくなります。
【操作のポイント】料金や数量の区切りが決まっている場合は、CEILING関数の第2引数へ単位を入力します。
INT関数とTRUNC関数による小数処理
| 元の数値 | INT関数 | TRUNC関数 |
|---|---|---|
| 125.8 | 125 | 125 |
| -125.8 | -126 | -125 |
続いては、切り上げと混同しやすいINT関数とTRUNC関数を確認していきます。
これらは基本的に小数部分を取り除くための関数であり、正の数を小数点以下で切り上げる用途には適しません。
INT関数の処理内容
INT関数は、数値を最も近い小さい整数へ切り下げます。
正の125.8に対してINT関数を使うと125になります。
負の-125.8では-126になるため、単に小数部分を削除する関数ではないことに注意が必要です。
整数の範囲を下限側へそろえたい場合には便利ですが、見積額を上乗せ方向へ処理する場面には向きません。
TRUNC関数の処理内容
TRUNC関数は、指定した桁より下の数字を切り捨てます。
B2セルの小数点以下を削除する式は次のとおりです。
=TRUNC(B2,0)
正の125.8は125になり、負の-125.8は-125になります。
TRUNC関数はゼロに近づく方向で小数部分を落とすため、負の数ではINT関数と結果が異なります。
小数点以下を表示も計算も不要にしたい場合には使えますが、端数を上へ調整したい目的にはROUNDUP関数を選びましょう。
切り上げと切り捨てを取り違えない判断
請求金額、必要人数、配送個数のように不足を避けたい数値では、一般的に切り上げが必要です。
一方で、実績データの整数部分だけを抽出する場合や、単純に小数を除外する場合には切り捨てが適することがあります。
計算式を入力する前に、端数が出たときの業務上の扱いを決めることが重要です。
125.1を125にしたいのか126にしたいのかを明確にすれば、使用する関数を選び間違えにくくなります。

【操作のポイント】INT関数とTRUNC関数は切り上げ関数ではありません。端数を増やす必要があるときはROUNDUP関数またはCEILING関数を使用します。
セルの書式設定による小数点以下の表示
| 元の値 | 小数表示を0桁にした見た目 | 実際の計算値 |
|---|---|---|
| 125.3 | 125 | 125.3 |
| 80.8 | 81 | 80.8 |
続いては、数値を変えずに小数点以下を非表示にするセルの書式設定を確認していきます。
表示形式では丸めたように見えますが、セル内部の値は変わりません。
集計や計算に影響させたくない場合に便利な方法です。
小数点以下の表示桁数を減らす操作
対象セルを選択し、ホームタブの数値グループにある小数点以下の表示桁数を減らすボタンをクリックします。
クリックするたびに、小数点以下の表示桁数が1桁ずつ少なくなります。
太字 B
罫線
中央揃え
小数点以下の表示桁数を減らす
➤
| A | B | C | |
|---|---|---|---|
| 1 | 商品 | 単価 | 数量 |
| 2 | A商品 | 125 | 3 |
ボタンによる操作は、表を見やすく整える目的に適しています。
ただし、表示が125でも数式バーには125.3が残っているため、値そのものを整数に変換したわけではありません。
セルの書式設定から表示形式を指定する操作
対象セルを選択して右クリックし、セルの書式設定を開く方法でも表示桁数を変更できます。
表示形式の分類から数値を選び、小数点以下の桁数を0に設定すると、小数部分を表示しない形式になります。
通貨、会計、パーセンテージなどでも同様に桁数を指定できます。
列全体の表示を統一したい場合は、列見出しを選択してから設定すると効率的です。
表示形式と計算結果の違い
たとえばA2セルに125.3、A3セルに80.8があり、どちらも小数点以下を0桁表示にすると、画面には125と81が表示されます。
しかしSUM関数で合計を計算すると、内部では125.3と80.8が計算され、合計は206.1です。
表示上の125と81を足して206と考えると、見た目と集計値が一致しないことがあります。
請求額や個数などで計算結果まで整数化したい場合は、書式設定だけで済ませず、ROUNDUP関数を使う必要があります。
【操作のポイント】表示形式は見た目を整える機能です。合計値や後続の計算に端数処理を反映したい場合は、別セルで切り上げ関数を使用します。
掛け算と消費税計算における切り上げ
| 単価 | 数量 | 計算結果 | 切り上げ後 |
|---|---|---|---|
| 398.5 | 3 | 1,195.5 | 1,196 |
| 1,250 | 1.1 | 1,375 | 1,375 |
続いては、掛け算や消費税計算の結果を切り上げる計算式を確認していきます。
元になる単価や数量を先に丸めるか、計算結果を最後に丸めるかで金額が変わる可能性があります。
掛け算の結果を整数へ切り上げる数式
単価と数量の掛け算結果を整数へ切り上げる場合は、ROUNDUP関数の数値部分に計算式を入れます。
=ROUNDUP(B2*C2,0)
単価が398.5、数量が3なら、計算結果は1,195.5です。
この式では掛け算を実行した後、その結果を1,196へ切り上げます。
計算式全体をROUNDUP関数の中に入れることが、端数処理を最後に行うためのポイントです。
消費税額を切り上げる数式
税抜金額に税率を掛けて、消費税額を1円単位で切り上げたい場合にもROUNDUP関数を使えます。
税抜金額がB2セル、税率がC2セルに入力されているときの例です。
=ROUNDUP(B2*C2,0)
税抜金額と税込金額を混同しないように、何を計算している列なのかを見出しで明確にしておくと安心です。
税の端数処理には取引先との契約や会計上のルールが関わることがあるため、実務では社内基準を確認してください。
明細ごとの切り上げと合計後の切り上げ
複数の明細がある場合、各行で切り上げてから合計する方法と、合計してから最後に切り上げる方法があります。
たとえば小数を含む明細が複数あると、どちらの方法を採用するかで最終金額が異なることがあります。
明細単位で端数処理を行う必要があるなら、各行にROUNDUP関数を入れてからSUM関数で集計します。
合計額だけを端数処理するなら、SUM関数をROUNDUP関数で囲みます。
=ROUNDUP(SUM(D2:D10),0)
切り上げるタイミングも計算ルールの一部です。
【操作のポイント】掛け算や合計の結果を切り上げるときは、最終的に端数処理したい計算式全体をROUNDUP関数で囲みます。
まとめ エクセルの小数点以下を切り上げる方法
| 目的 | 適した方法 |
|---|---|
| 整数へ切り上げる | ROUNDUP 関数の桁数を0 |
| 10や100の単位へ切り上げる | CEILING 関数 |
| 見た目だけ整数にする | セルの書式設定 |
Excelで小数点以下を切り上げるなら、基本はROUNDUP関数を使用します。
小数点以下をすべて切り上げて整数にする式は、=ROUNDUP 対象セル 0です。
10分単位や100円単位など、指定した倍数へそろえる場合はCEILING関数が便利です。
セルの書式設定は値を変えずに見た目だけを整える機能なので、計算にも端数処理を反映したい場合には関数を使用しましょう。
掛け算、消費税、合計などを含む表では、いつ切り上げるかによって結果が変わる可能性があります。
用途に応じて関数と書式設定を使い分け、正確で見やすいExcelの表を作成していきましょう。